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輝星のグランギルド  作者: yuuberu
2章 ギルド編
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第6話 初めての依頼 中編

視点 ユキト



ユキト「俺たちは左周りだな。さっそく行こうぜ!」


シュート「分かりました!」


アストたちが歩き始めたのを見送り、俺たちも逆回りに歩き始めた。ギルドを設立して初めての依頼。いつも以上にワクワクしている自分がいる。さっそく、ゴブリンを探すために、周辺の匂いを嗅いでみた。


ユキト「こっちから匂いがするな。随分近いところに巣を作ったんだな。」


自然の匂いとは似合わない、獣のような匂いを嗅ぎ分ける。俺の住んでいたスノードル国ではモンスターとの戦いが絶えない国だったので、匂いは昔から嗅ぎ分けられるようになっていた。


シュート「ホントですね、なら早く行きましょう!」


シュートもいつも以上にテンションがあがっているように見える。初の依頼だというのに、全員かなり余裕がある。もちろん俺もそのうちの1人だけど。


ユキト「早く水浴びしてみたいからか?」


シュート「それもありますよ!でも、こうやって誰かの役に立てるのがすごく嬉しいんです!」


シュートは誰よりも優しいから、これが彼の本心なのは分かっていた。だけど、まだ俺たちは子供だし、まだまだヤンチャなところもある。


ユキト「じゃあ尚更早く終わらせないとな。きっとあいつらもすぐに終わらせてくるはずだ。俺たちも負けられないぞ!」


シュート「もちろんです!任せてください!」


やる気満々のシュートと共に、臭いの方向へと向かう。少し歩くと、匂いがだいぶ強くなってきた。


シュート「あっ!いましたよ!」


俺の視界にも、6匹ほどのゴブリンの姿が目に入った。一度木の裏に隠れ、ゴブリンたちの様子を伺う。


ユキト「あそこが巣で間違いなさそうだな。」


シュート「どうやって倒しますか?この辺りは木が多いので、俺の炎の魔法はあまり使えないですよ?」


ユキト「じゃあ、"あれ"を使ってみたらどうだ?せっかくだし、初の実践をするのも良いんじゃないか?」


シュート「"あれ"ですか…!?でも…そうですね。あまり慣れてはないですけど、使えるようになりたいので、やってみます!でも、もしまずくなったら助けてもらっても良いですか?」


ユキト「おう!任せろ、俺がフォローするから大丈夫だ!」


俺がいうと、シュートは木の影から飛び出し、ゴブリンたちに向かって突っ込んでいった。



———



視点 シュート



俺は、最近とある魔法を研究していた。


シュート(俺の取り柄は炎魔法…自分が九尾だということと、能力のおかげで十分に炎魔法だけなら強い…。でも、近接での戦闘はユキトさんやライキみたいに得意じゃないから、敵が近くに来られると負ける可能性がある…。だから、これを覚えたいんだけどな…)


そう思いながら、俺は図書室から借りてきた魔導書の1冊を手に取った。


この魔導書は、主に幻惑に関する魔法について記述されている。幻を作り出したり、幻惑を見せて相手を混乱させ、自分の姿を見えなくさせるといったことができる。狐族の九尾には、代々幻惑魔法に関する力が受け継がれている。


だから、俺も同じ九尾のため、幻惑魔法が使えるはずなのだ。ギルドを設立することを決めた今、みんなと同じくらい強くなりたい。そのために、この幻惑魔法は絶対に覚えておきたいのだ。


シュート「…ダメだ、全然分からない…。」


何分間か魔導書を読みつづけてみたが、全く書いてあることの意味が分からず、手詰まりの状態になっていた。


シュート(やっぱり…こういう時は…)


俺は1人の友達のもとに尋ねた。


アスト「幻惑魔法か、確かに難しい方の部類だね。炎とか、水とかは実体があるから想像もしやすいけど、幻惑は実体なんて無いし、魔力技術も必要になるからね。」


魔導書を読みに読んで、魔法が得意な友達はそう言う。やっぱり彼から見ても幻惑魔法は難しいようだ。


シュート「じゃあ…俺じゃあ扱うのは難しいんですかね…?」


アスト「そんなことないよ、シュートは九尾だから、幻惑魔法を扱える適正はあるだろうし、想像力を鍛えて、魔法技術を理解すればできるようになるんじゃないかな。」


シュート「なるほど…でもその技術とかはどうやって身につけたら良いんですか?」


アスト「もしよかったら教えようか?宝石魔法にも幻惑魔法に似たものがあるから、それに近い感じで教えれると思うんだ。」


シュート「良いんですか!?お願いします!」


こうして、俺はアストさんと一緒に幻惑魔法について勉強し、なんと、わずか1週間で習得することに成功した。アストさんの教え方はとても丁寧で、理解できなかった技術も理解できるようになってしまったから、本当にすごいと思う。まだ慣れてないので、失敗したり、魔力を大きく消耗してしまうが、戦闘においてはかなり大きな武器を手に入れることができた。



———



俺は勢いよく飛び出した。その音でゴブリンたちも俺に気づいたようだ。全員棍棒を手に持ち、俺に向かって襲いかかってくる。きっと、俺が1人だから油断をしているはずだ。


シュート「よし…俺の新しいお披露目だ!

幻惑魔法 イリュージョンテイルズ!!」


俺は九つの尻尾を大きく揺らした。すると、九つの尻尾から炎がでてきて、炎は俺のような姿に形を変えた。そして、徐々に炎は、見た目も全く俺と同じになるように変化した。


「ギャイッ!?」


ゴブリンたちはそれを見て困惑し始める。それはそうだ、目の前に全く同じ人物が10人いるのだ。


俺の新しい魔法、イリュージョンテイルズは俺の分身を9つ作り出す魔法だ。分身の正体は俺の魔力と炎。幻惑はアストが言っていたように実体がない。なら、実体があるもので幻を作ってみたらどうかとアストにアドバイスされた。それが、俺の得意な炎を使って、分身を作る方法だった。


尻尾に魔力を込めて、実体となる炎を集める。それを幻惑で俺へと姿を変える。それが、俺のイリュージョンテイルズだ。ただし、今回は初めてなので9つ全部作ったが、その分魔力の消費も多いし、作った幻惑は自分で魔力を使って動かさないといけないのだ。だから、魔力で動かさなかったら突っ立ってるままだし、偽物だとすぐバレるし、一体一体動かすとなると、ものすごく頭も使う。だから集中力も必要になる。


魔力の効率が良い魔法ではないので、よっぽどのことが無い限り9つ全部作ったりはしないだろう。動かすことも考えると、頑張って3つが限界だ。


シュート(でも…今回はあいつらを倒すだけ…!行くぞ!)


ひとまず、幻惑を3つ動かす。他の幻惑は、ゴブリンたちが逃げないように逃げ道を塞ぐ場所に立ってもらっている。


「ギャギャ!!?」


「グギャアッ!?!?」


2匹のゴブリンが攻撃を仕掛ける。しかし、炎で作った幻惑のため、触れた瞬間幻惑はあっさり消えたが、その代わりゴブリンの体が大きく燃え始めた。そう、この幻惑は触れると、幻惑の魔力が崩れてすぐ消えるが、その代わり爆弾のように溜まっていた炎も解き放たれるようになっている。


「ギャギャッ!?」


その様子を見て、ゴブリンたちは一ヶ所に固まり始める。どうやらかなり幻惑に恐れているようだ。


シュート(と言っても…かなり無理してるから…そろそろ魔力がきれそう…。)


少しずつ魔力の維持ができなくなってきた。そのせいで、残った幻惑も消えそうになっている。


ユキト「おらぁぁー!!」


その時、ユキトさんが空を飛行し、一ヶ所に固まったゴブリンたちの前に着地したかと思うと、大剣で薙ぎ払い、一瞬でゴブリン全員を切り倒した。


ユキト「そろそろ魔力切れになりそうだったからさ、ごめんな。勝手なことさせてもらった。」


シュート「いえ…正直かなりキツかったので助かりました。」


ユキト「でもすごいじゃないか!あそこまで使いこなせるようになってたなんて驚いたぜ!」


ユキトさんはそう言って俺の頭を撫でてくる。こうやって褒めてくれるユキトさんは、まるでお兄さんのように感じる。


シュート「アストさんのおかげですよ。後でちゃんとアストさんにも教えてあげないとですね。」


ユキト「だな、俺たちの方はこれで終わりだし、アストたちと合流しようぜ。」


こうして、無事巣を破壊できた俺たちは村へと戻った。

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