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ダラダラっと第二十二回!

「行くわよ!(エン)!!」


 炎とヴィラさんが叫んだ瞬間だった。何もなかった空間から爆炎が発生し、そして…


「はわっ!?」


「そうか、トワちゃんはヴィラの魔法を初めて見たんだったね?大丈夫だよ、こちらに被害が出るようなヘマなんてしないから」


「凄い爆発でびっくりしましたよ…」


「でも、かっこよかったな!ヴィラ!本当に凄かった!!」


「ふふん♪当たり前じゃない?」


「…残念だが、効いてないみたいだぜ?」


「え?嘘!?炎が…飲まれてる?」


 ヴィラさんの言った通り、ドルドーニュの身体に着いた火はことごとくその身体に吸い込まれるように消えていった。


「嘘でしょ!?並の魔物なら、今ので跡形もなくなってるわよ!!」


「並の魔物じゃないってことだろ?なにしろ、元が人間なんだからな…」


「そうですよ!元は人間、ドルドーニュさんだったんです!元に戻す方法はないんですか!?」


「トワ…お前、あんなに不快な目に遭わされていたってのに、そんな相手でも助けようってのか?」


「そのトワって嬢ちゃんは、底なしのお人好しみたいだぜ?俺を運べと言った時に分かっただろ?」


「そうだったな…」


「さすがはトワちゃんだ!でも、残念ながら治す方法どころか、今まで人間が魔物になるなんて話しすら聞いたことないんだ」


「そう…ですか」


「大丈夫。トワの優しい気持ちはみんな分かってる。でもね」


「うん、分かってる…。どうにもならないことだってたくさんあるんだって事は…。私だって、ドルドーニュさんみたいな人を助けようとして、みんなに何かあったら絶対後悔するのは分かってます。だから、せめて彼が罪を犯す前に終わらせてあげて下さい…」


「本人が正気でも、罪だと思わないだろうがな!!」


「本当に、トワちゃんの爪の垢でも飲ませてあげない所だね!!」


 ドルドーニュの攻撃が激しくなって来た。さっきの魔法で少しこちらを脅威に思ってる?違うかな?


「ああ、もう!こんな肉ダルマに私の魔法を防がれるなんて許せない!!みんな、離れて!!もう一発お見舞いしてやるわ!!」


「っと、ありゃマジだな!離れるぞ!!」


「分かってるよ!!」


「細切れになれ!!(ラン)!!!」


 わっ!?今度は、凄い風の乱気流みたいなのがドルドーニュを襲っている?


「本当に細切れにしやがった…これだからヴィラはおっかねぇ」


「そうだね…怒らせないように気を付けないとね」


「お前は手遅れじゃないか?」


「え?どういうことだい?」


「分かってない時点で手遅れだな…」


「すげえ!ヴィラ!俺にも魔法を教えてくれ!!」


「ハルトは才能なさそうだから無理ね」


「なさそうって酷くないか!?」


「みんな…どうやら終わってないみたい」


「な!?あれだけバラバラにされたのにか!?」


「凄い生命力だね…いや、生命と呼んで良いのか怪しいくらいだね」


「でも、何とかしないと…人を無差別に襲うかもしれないわ」


「少なくとも、トワを狙うやつは放っておけねぇ!!」


「そう、そこが一番大事なところ」


「仲間を狙う以上はきっちり落とし前をつけてやらねぇとな!!」


「みんな…」


 これだけ攻撃しても、無傷で立ち上がる怪物相手に誰一人戦意を喪失していない。この人たちは本当に凄い…


「でも、どうするの?このままじゃ…」


「…日が落ちてるから時間が掛かるけど…あれしかないかな?」


「どれくらいかかる?」


「20…いや、30分くらいかかりそうだ!…いけるかい?」


「はっ!誰に言ってやがる?あんな肉ダルマ、俺一人でも30分なんて余裕だぜ!」


「自分も筋肉ダルマの癖によく言う…。私も30分なら何とかやれる?」


「私もあと数発は撃てる!だけど、違う魔法を使っても足止め程度にしかならないと思うわ」


「30分後にはうちのリーダーが決めると言ってるんだ?それまで持てば問題ないだろ?」


「普段はトワを狙う害虫だけど、いざって時は頼れる…気がする私たちのリーダー」


「締まらない言い方よね?あってはいるけど…まあ、とにかくしくじらないでよね!!」


「みんなの期待に応えて見せるよ!!」


「何をするか分かりませんが、私を救って頂いた時のように期待してます!!」


「これは…しくじれないな!!」


 そう言って、ルーファスさんは目を閉じて何やら集中するような態勢に入った。


「頼むぜ?ちっ!?やっぱり間違いねぇな!!ヴィラが魔法をぶち込むたびに、こいつは活性化されてやがるな!?」


「やっぱりそう言う事?さっきの風だって、本当は塵になるくらい細かくしてやるつもりだったのに…結構大きな塊にしか出来なかったものね!!」


「ってことで、魔法はもう使うなよ!」


「分かってるわよ!だから、こうやって小手先の投げナイフ術を使ってるんじゃない!!」


「そいつは術じゃないだろ!魔法使いだからって見栄を張るなよ!!」


「煩いわね!!敵に集中しなさいよ!!」


「やってるってのっ!!」


 二人とも、軽口を叩きながらも上手く連携してドルドーニュの猛攻を防いでいる。だけど、こちらの攻撃は効かずに防錆一方の状態、このままじゃ…


「お、俺もいくぞ!」


「ダメ!ハルトがいってもやられるだけ」


「でも!?」


「接近戦闘しか出来ない私たちは、いざと言う時のために控えているしかない」


「ギュネスだって拳で戦ってるじゃないか!?」


「よく見る。ギュネスは、その風貌から力任せに戦っているイメージがあると思う。だけど、本当は技の方が凄い」


「え!?」


「今のところも、真正面から受けずに攻撃を逸らした。…今のはよけきれないと判断して叩き落した。力の使いどころを知ってるからこそ出来る事。むやみに、力任せで戦っていたら…すぐにばててやられてしまう」


「…そっか、俺は同じ舞台で戦うにはまだまだ不足してるって事か…」


「そう悲観的にならない。私たちの出番もあるかもしれない」


「なあ?マリーって何か喋り方が安定してないけど…何でなんだ?」


「可愛い妹が出来てから何か調子が悪い気がする…。トワが可愛すぎるのがいけない」


「そ、そうっすか…」


「褒めてもらったとこ悪いが、結構早い段階で出番が来るかもしれないぞ!?だあ!しつけえな!!」


「無駄口叩いてるから狙われるのよ!しっかりやりなさい…よね!!」


 何だかんだで、ヴィラさんって魔法なしでも凄い…何で、あんな的確に投げられるんだろう?


「ちょっと!このままじゃナイフがもたないわよ!!」


「ちっ!?仕方ねぇ。俺とマリーの力押しで時間を稼ぐしかないか…」


「え!?ギュネス!?」


「は?俺じゃねぇ!?トワ!?避けろ!!」


「え…!?」


 二人の意識が離れるのを待っていたかのような最悪のタイミングで、私に今まで見せなかった矢のような肉片を飛ばして来た!?これ…死ぬかも…


「ちっ!?がぁ!?」


「ジェストさん!?」


「いてえな!?ちきしょう!!思った以上に身体が動きやがらねえ…」


「だ、大丈夫ですか!?背中を…!?」


「掠っただけでこんなに痛い何て聞いてねえぞ?こりゃ、マジでトワの膝枕で癒してもらうしかねえなあ?」


「何で私を庇って…」


「先に俺を救ったのはお前だろ?俺はな…借りを作りっぱなしなんてのはまっぴらごめんなんだよ」


「…ありがとうご…ジェストさん!!」


「くそっ!?お前だけでも逃げろ!!」


「助けてもらっておいて一人だけ逃げられるわけないじゃないですか!?」


「助けた意味がなくなるだろうが!?」


「そんな言い方!?」


 そうしている間にも、上空からたくさんの矢のような肉片が迫って来ていた。どうやら、意地でも僕を冥土の道連れにしたいらしい…


「なら、せめて俺の身体を盾に」


「そんなの無駄」


「ちゃんと出番があったな!!」


「お姉ちゃん!?晴人君!!」


「トワ、摑まって!!」


「おい、不本意だけど掴まれ!!」


「てめえ…何故」


「良いから掴まれ!トワが悲しむだろうが!!」


「そう言う事か…仕方ねえな!」


「ひゃ!?」


「くっ!?」


 何とかぎりぎり、マリーお姉ちゃんと晴人のお陰でかわすことに成功した。本当に助けてもらってばかり…


「ちっ!?俺たちを無視してトワを狙うとは…本当に根性まで腐った奴だぜ!!」


「今まであんな攻撃しなかった…もしかして、こいつ段々学習して身体を効率よく使えるように…?っと、これが最後のナイフよっ!?」


「ったく!ただでさえ援護がなくなるってのに、あんな飛び道具まであるんじゃ…」


「トワに何をしてくれやがんだ!この肉ダルマがぁ!潰れろぉ!!!」


「は?うおぉ!?」


「うわわわ!?マリー!?私たちまでころす気なの!?」


 ・・・目の前で起こった事をお伝えします。マリーお姉様が、近くにあった巨大な岩を気合いで持ち上げ、投げました。投げました!!で…


「・・・潰れやがったな?さすがにしんではいないだろうが…動きを少し封じられたみたいだぜ?」


「マリー…トワが関わるとさらに恐ろしい力を発揮するようになったのね…。トワを泣かすのは、命に係わるかもしれないわ…」


「ああ、覚えておくか…」


 さすがに、あの岩石の下敷きにされたらすぐには…嘘!?


「ギュネスさん!ヴィラさん!!そいつ、這い出てきますよ!!」


「ったく、本当にしつこい奴だな…!?」


「本当にね…」


「おい!ルーファス!!まだなのか!?」


「ありがとう、みんな…今ちょうど、溜まったところだよ!!」


「なに…あれ…?」


 ルーファスさんから光が溢れている…そうとしか言えない光景がそこにはあった。


「二人とも、後は任せてくれ」


「全く、これだけ待たされたんだから一発で決めろよ?」


「本当よ?後で、ルーファスの奢りでどこかで食事ね!」


「…加減してくれると助かるよ」


「ルーファスさん!?」


「せっかちだね、ドルドーニュ!!」


 ルーファスさんを見て脅威だと思ったのか、ドルドーニュは肉片を飛ばして攻撃してきた。だけど、ルーファスさんはそんな攻撃を光の一撃で消し飛ばした!?


「凄い…」


「あれがルーファスの切り札だ!待たせやがって全く!トワが怪我してたら許さないところだぞ!!」


「お姉ちゃん、落ち着いて!!」


「マリーが何か怖いな…」


「そっか、晴人君はこの状態のお姉ちゃんを見た事なかったよね…」


「トワちゃん、危険な目に遭わせてごめん。でも、これで終わりにする!!」


「ルーファスさん…」


「ドルドーニュ!トワちゃんはお前みたいな奴でも救えるなら救いたいと思っている!だが、僕たちではお前を救う事は出来ないみたいだ!だから…これは僕の独断だ!!お前を…倒す!!恨むなら僕だけを恨め!!」


「ト゛ワ゛…ト゛ワ゛ト゛ワ゛ト゛ワ゛!!ト゛ワ゛ーー!!!」


「消え去れ!!ドルドーニュ!!!」


 ルーファスさんが叫ぶと同時に、光がドルドーニュを貫いた!!光が通った部分には穴が開き、そこから光が溢れてドルドーニュの全身を包んだ…


「消えていく…終わったのか?」


 油断なく構えているギュネスさんがそう言ったと同時に、ドルドーニュが私の方に手だった物を伸ばした。


「ちっ!?まだトワを狙ってるのか!?」


「待ってください!もう…届きません…」


「ト゛ワ゛!ト゛ワ゛あ゛あ゛!!」


「ドルドーニュさん…貴方は、そんな姿になってまで私を求めるんですね…。それは、貴方にとっての本気の愛だったのでしょうか?それすら、もう確認することは出来ません…」


「ト゛…ワ゛…」


「私は今まで、こんなに誰かに求められることはありませんでした。だから、ありがとう。そして、ごめんなさい。私は、まだそちらにはついて行けません」


「ト゛・・・ワ゛」


 ドルドーニュが光に包まれて消えていく…。その光景は、人が天に導かれていくようにも見えて…


「トワ…泣いているのか?」


「自分でも理由が分かりません…。人の死に触れて悲しいのか…この幻想的な風景に感極まってしまったのか…」


「トワは優しすぎるな。だが、人はそれぞれだ。それを否定することは俺たちには出来ねぇからな…」


「トワちゃんくらい徹底した優しさを持ってると色々大変だね。これからは、もっと気を引き締めないといけないな…」


「そう思うならもっと早くして欲しかったわ。実際、トワが危なかったんだし」


「それを言われると…」


「終わりよければ全て良し?」


「マリーが元に戻ってる…」


「あ!?」


「どうした?っておい!まさか!?」


「ドルドーニュの身体が消えてない!?」


「トワ!?無闇に近づくな!?」


「・・・大丈夫です。もう…彼は動くことはないでしょう」


「そうか…」


「ドルドーニュ…貴方は許されない事をたくさんしました。そして、もうそれを償う事も出来なくなりました。だから…欲に流され続けて疲れたでしょう?ですから、これからは欲を捨ててゆっくり休んでください。おやすみなさい…ドルドーニュ」


 その時、そよ風が吹き抜けた。それは、確かに私に…


「トワ…何か凄い!まるで…」


「女神様だ!女神様が降臨されたぞ!?」


「…え?」


「あんなに慈しみにあふれた表情で、あのドルドーニュを送るなんて!?何と慈悲深い!!」


「あ、あの…?」


「闇に飲まれ化け物になったドルドーニュを溢れんばかりの光を持って救い、天に優しく誘うなど女神様以外に出来るわけがない!!」


「え!?あの光はルーファスさんのでですね!?」


「女神様!ドルドーニュに無理やりとは言え従ってしまった私たちをお救い下さい!?」


「「「お救い下さい!!」」」


「ええっ!?だ、だから違うんです!?みなさん!助けて下さい!!」


「何か、美味しい所をトワに持ってかれちまったな?」


「僕は目立ちたいわけじゃないから、別に構わないよ。それに、もし仮にドルドーニュが救われたとしたら…トワちゃんの慈愛の心のお陰だろうからね」


「まあ、私たちはもうやれることはやったし…後は女神様に任せて退散しましょう?」


「反対したいけど、確かに限界…。トワ…無力なお姉ちゃんを許して」


「俺はこれを運ばないといけないからなぁ…」


「これとか言うな、小僧!俺は、盗賊団の頭…」


「分かった分かった。怪我が治ったら少しくらいは聞いてやるから我慢しろ」


「くっ…俺がこんな扱いを受ける事になるとは…」


「え?え?みなさん…どういうことですか…?」


「そうね…つまり」


「つまり…?」


「「「「「「後はよろしく」」」」」」


「そんなぁ!?」


 その後、女神じゃないと訴え続けたのだけど…結局、幻想的な物を見てしまった人が多かったせいか女神様はお忍びみたいだから騒ぐのは止めようと言う理由で収まった。全然解決にはなっていないけど…


 あのそよ風が吹いた時、()は確かに聞いた。ドルドーニュのありがとうと言う声を…

最後までお読みいただき、ありがとうございます。


トワがダラダラにたどり着ける日が来るのか…作者にも分からなくなってきました(汗


次話もよろしくお願いします。

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