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カップ麺と呼ばれた男 ~とある能力者の成長物語~  作者: 岡部雷
楽観視しやすい人は、上のポジションにいたらまずい。 (学校襲撃編)
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第43話 『怖い怖い何が怖い?』『生きてる人間が一番怖い』

「つまり、俺の推論は間違ってた。思う存分殴ってくれ」



戻った俺はまずみんなに謝った。

後でバレた時の方が怖い。

加藤さんが、



「とりあえず、優香は犯人じゃないってこと?」


「小宮山先生の話が正しいなら。まあでも間違いはないと思う」



理由はあえて語らない。俺の口からでは信憑性が薄れる。

秋山さんの脅迫についても、小宮山先生から口止めされている。



「もう、二瓶が共犯じゃないと思われてもいいってことか? 結構ガバガバだな、襲撃犯も」


「そうは言ってもさ、目的のほとんどは達成してるんでしょ? 舐めてたら痛い目に合いそう」


「江川の言う通りだよ、陽太。相手は犯罪のプロだよ。要所はきっちり抑えてる。優香が今生きてるかどうか」



真田の言葉に、今度こそ全員が、改めて恐怖を叩きつけられた。



「俺たちは行ってどうにかできるようなレベルじゃないし、後は大人に任せるしかないよな」


「そうだな」

「そうだよねー」


普通なら誰かが、助けに行こうと言い出す場面なのかもしれないが、それができる生徒は誰もいなかった。

小宮山先生もそこは危惧していたのでホッとする。


しかし、ポン、と肩を叩かれる。

笑顔の伊藤がいた。



「わかってるよな?」



全員が、獲物を狙う目をしていた。



◆◆◆



「へえ、俺と同じタイプの能力者ですか。確かに疑われても仕方がないとは思いますが」


「ごめんね辺見(へんみ)くん。社長が仕事しないせいで」


「あの人が適当なのはいつもでしょう。それよりも、このさらわれた二瓶って生徒、まだ居場所はつかめてないんですか?」


「軍や警察も躍起になって探してるんだけど、この間のうちへの襲撃で、有能な人員のほとんどがやられちゃってるからね……。ここまで時間がかかってるのも、うちのせいでもあるかもしれない」



とある山奥の《ある会社》の本拠地である小さなビル。

その会議室にいた一人の男と、社長秘書の会話だ。



「社長が動かなくても、俺らで行ってもいいですよ? 誘拐なら、時間との勝負でしょうし」


「さっきはダメだったけど、今なら社長もいないし、今回はお願いしようかな。あれ、若菜(わかな)ちゃんも行くの?」



部屋の隅にたたずむ、全身黒服で統一した少女が手を挙げている。

異様なことに、首から下が黒い何らかの衣服で覆われている。



「……時々はこの手袋外したいのです」


「そっか。分かった。じゃあ、始めようか」



そう言って、井上今日華は歩き出す。



◆◆◆



同刻、鶴宮は庭先で来訪者と酒を酌み交わしていた。

もっとも、相手はさっきから一滴も飲んでいない。



「おまえの命令を無視して従業員が動き出したぞ。いいのか?」


「別にかまわないですよ。わたしが止めたところで、やる時はやるし、やらないときはやらない人ですから。それよりも、よくもまあ軍を辞めるなんて決断しましたねえ」


「俺は年だ。若者にさっさと席を譲った方がいいだろう?」


「本当はもっと別の考えがありそうですけどね」



社長は、ニヤニヤしながら鶴宮の猪口に酒を注ぐ。



「そうか? それに、おまえ今はちゃんとやってるんだよな?」


「サボったせいで今日華ちゃんに怒られましたからね。今日本の領空と領海には、私の能力で規制線を張ってますから問題ないですよ。知らないものが入ったり出たりはできないようになってます。それより聞きたいんですけどね」



社長はずい、と身を乗り出し



「今回の襲撃犯の黒幕、外国人じゃないんですってね」


「ああ。それはおまえでもなんとなくわかるだろ?」


「そうですね。だから意外ですよ。鶴宮さんでも黒幕の正体に辿り着けないなんて」


「そうだな。俺は今までいろんな事件を見てきたが、やはりこれが()()()()()()()だな」


「頭だけで、能力者たちと渡り合ってきたあなたらしくもない。どうして行き詰ったんですか?」


「理由を言おうか。目的が分からないからだよ」


「目的、ですか?」


「ただ力を誇示したいだけなら、暴れれば済む。戦力が欲しいなら、こんなにチマチマとさらう必要はない。一度にさらった方が合理的だ。私怨の線も疑ってみたが、それも違った。予測が外れるのがここまで続いたのは、久しぶりだよ」


「生徒同士の友情を崩す、とかは? 今の学校体制に一石投じるつもり、とか」



鶴宮は間髪入れず、



「民間からの信用を無くす作戦か。それも可能性としてはあったんだが、今5月だぞ? 単純に信用を無くさせるなら、ある程度の関係ができてからの方がいいだろう。最初から個人を離そうとしてもくっついてないから意味がない」


「一ヶ月で友情は築かれませんか」


「ほとんど見ず知らずの人間の集まりだぞ? 一ヶ月では知れることも限界があるじゃないか」


「なるほど……」



質問攻めも、ここで弾が尽きた。

かに思えたが。



「じゃあ、軍の失態を消すチャンスを奪った、私達への嫌がらせは?」


「生徒に負けた教師のことか。だけど、軍を通して正式に彼女は免職を取り消しになった。この間、おまえにつぎ込んで失った戦力の補充としてな。それに、あの学校は軍の人間も絡んでる。金のなる木をみすみす手放すような真似はしないと思うんだが」


「そう考えると、不自然な自演になっちゃいますねえ。確かに、これだけ見ると八方ふさがりに見えます」



言い方からして他の理由がありそうだったが、社長はゴロン、と横になっただけだった。



「とりあえず、うちの社員が救出した生徒から話を聞きましょうか。相手に《譲渡》がいないことを願うしかないですねえ」


「おまえ、考えられる限りで最悪の結果をサラッと言うなよ」

主人公、午前中に言って夕方にボコられます。


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