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カップ麺と呼ばれた男 ~とある能力者の成長物語~  作者: 岡部雷
楽観視しやすい人は、上のポジションにいたらまずい。 (学校襲撃編)
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第42話 釣りするときは、生き餌? 疑似餌?

結論から言うと、引っかかれた。

正確に言えば、秋山さんの使役する猫の爪で、が入る。


人気のない場所に連れて行かれたから何事かと思えば、いきなりのこれだ。

わけわかんねえ。



「あんたの言ったことがウソだったら、殴っていいって言ったよね?」



え、今のはパンチ?



「これ見てよ」



そう言って、端末を画面を俺に見せつける。



後ろ手で縛られて、猿轡をかまされた二瓶さんの写真だった。



「優香ちゃんの端末から送られてきた。どう説明するの?」



画像の下には、


――やっほー、お友達殺されたくなかったら、下の住所に一人で来てねー☆



典型的すぎる誘い文句が書いてあった。



「自演ってことも有り得るんじゃ……」


「じゃあこっちは?」



どうやらご丁寧に動画まで載せていたらしい。

開いてみると、さっきの写真と同じ構図が動画になっていた。つまり、二瓶さん以外の誰かがこれを撮影している。

協力者の男が真っ先に脳裏に浮かんだが、その男も動画に映りこんだ。


ここまで手が込んでいると、逆に怪しいくらいだ。

相手の人数が分からない以上、これくらいのことはできると思っておいた方がいい。



「罠の可能性の方が高いと思うけどなぁ……」


「……あ、いた!」



伊藤が駆け込んできた。



「小宮山先生、起きたって!」



◆◆◆



「……悪いな、今回は俺の失態だ」



《特別能力者学校》の主有する広大な敷地の中には、病院も存在する。

病気や怪我を負って治療が必要な生徒は、ここに運ばれる仕組みになっている。



「精密検査もやったみたいだけど、今のところ目立った外傷はない。治り次第、俺も復帰するよ」



先生の姿に、クラスのみんなが安堵した。

さっきから秋山さんの使役する猫がニャーニャー鳴いているが、精神的に不安定になるといつもああなるらしい。

授業で切羽詰ってくると、コントロールが利かないらしい。



「今無理を言ってきたんだろ? 早いとこ戻れ。ああそうだ。田部え、おまえ数学の課題ずっと出してないそうじゃないか。ちゃんとやれよ? あと加藤。おまえは授業中寝るな。秋山、不安なのは分かるけど、おまえならやればできるから頑張れ」



皆が部屋を出ていく中、



「あ、榎本はちょっと残れ。花田先生の件でまだ話してないことがある」


「え? あ、はい。分かりました」



病室で二人きりになる。



「……多分、高久先生から二瓶が学校襲撃してる連中の仲間だって話は聞いてると思う」



花田先生の話が出た時点で、別件なのは分かっていた。

その問題が解決していることを知っているのは、俺以外ではいないからだ。



「ええ。まあ、俺も周りの話を聞いてたらそうじゃないかと思いましたけど」



俺は自分の推理を先生に話す。



「だよな。そうなるよな」



先生も同意見だったらしく、頷きながらそう言う。



「俺も最初はそう思ったんだが、どうやら違うっぽいんだよ」


「へえ、そうんですか……え」


「多分だけどな、あれは『二瓶に変装した誰か』だ。おそらく、本物は最初の襲撃のときに既にさらわれてるんだよ」


「え? え?」



予想外の言葉に、俺はついていけなくなる。

何でそんな話を俺の前でするのか。



「俺に向けた攻撃は、確かに二瓶の使う《空間操作》に似てた。でも俺が生きてることが、あいつじゃない証明になる」


「どういうことですか?」


「考えても見ろ、空間を捻じ曲げたりするような奴だぞ? わざわざぶっとばして気絶させるなんて単純な使い方はしない。それに、あの能力なら、意識だけ残して戦闘不能することもできたはずだ。『二瓶が犯人』ってことを早く広めるには、そっちのほうがいいだろ?」


「じゃあ、犯人たちの目的は?」


「おそらく、奴らはほぼ達成してる。『低レベルの警備しシステムの突破』、『要護衛対象の拉致及び現場からの逃亡』。だけど、それだけだと説明がつかないのが一つある」


「なんですか?」


「……秋山に脅迫か何かが来てるだろ?」


「なんで知ってるんですか!?」



思わず大声を出してしまった。



「さっきみんなでいたときに、周りにばれないように猫の鳴き声でモールス信号送ってきた。あいつに普段から鳴かせるように指示したのは俺だ。自然に溶け込んだ方法が、暗号には一番だからな」



全く気付かなかった。

さっきの秋山さんに対する言葉も、「おまえの言いたいことは分かった」という意味らしい。



「逆に聞くけど、なんでおまえの方こそ知ってるんだ? 俺はあの方法を使うのは、周りにいる人間に気付かれないようにするためだぞ?」


「実は……」



俺は顛末を語る。



「なるほど。『二瓶犯人説』を最初に唱えたのがおまえだったのか。まあ気持ちは分かるよ。ただ、現場にいなかったおまえがよくそこまで結論を出せたな。ベクトル間違ってなければ完璧だったのに。最後の最後で犯人の策に乗ったな。でも、これで分かった」



小宮山先生は棚からスマホを取る。



「奴らの目的は『もう一人の拉致』だ。今回は警備の薄い一般人枠を狙ってくるだろう。だから秋山にメールを送ったんだな」


「秋山さんが狙われてるって言うんですか? でもそれだったらわざわざ計画をばらすような真似をしなくても」


「いいんだよ。あえて最初に本物を掴ませれば、人間、次に来る情報が何であっても食いついてしまうものだから。しかもそれを、この緊迫した状況で、1人で考えなきゃらならないなら、なおさらだよ」



俺はどうやら、大きな間違いを犯していたらしい。

突っ走ってしまうとこういう失敗ありますよね。



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