86話
ようやく足のしびれも取れました
「やっと動けるな」
「自業自得です」
ファムがそっぽ向いて言いやがった。いや半分以上人災だよ。
「これは今のところミュゼに勝ち目ないわね。帰ったらかなり積極的にってアドバイスしとかなきゃ」
ちょっとサファイヤさん不穏なこと言わないで。
ミュゼの清楚さが癒しなのに、ていうかさっきの状況でミュゼにまで攻められたら泣いちゃうよ。
『ご主人自重しないのが悪いにゃ』
『あの程度が無茶とは人間とは認識が違うものですね』
アンバーと薄紅は人の上で何か言っている。まあ戦闘力だけでは俺以上の薄紅から見たら無茶には見えないもんね。味方がいてくれてよかったよ。
「ダンジョンって壊せるものなの?」
ヒルムカさんが呆然と言っている。
「通常ダンジョンの扉と言えど壊せるなんて聞いたこともないわよ?なんでそんなこと平然とできるのよ?」
「いや、むかついたら壊せたけど?」
「安物酒場の扉じゃないんだから!」
「そうそう、壊されるなんてたまったもんじゃないよ。火事でも起こったらどうする気だい?」
「それこそいらん気づかいじゃないか?ダンジョンで火事なんて・・・・」
だれ?今しゃべったの?
皆一斉に振り返り、声のしたほうを見る。
そこにはツインテールの女の子。パープルでコーディネートされたビキニアーマーに挑戦的な胸部が主張している。
「やあ、ボクはこのライゼンのダンジョンマスター セーレ・セイスだよ。よろしくね」
何でピースサインで軽いんだよ?
「ダンジョンマスター?! え?こんな娘が?」
「まあ驚くのも無理はないね。こんな超絶美少女がむさ苦しいダンジョン運営してるなんて想像もできないよね」
ヒルムカの唖然とした呟きに胸を張り自信満々に答えるセーレ。飛び出しそうなロケットである。アルケー様がここにいたらどんな顔するだろう?
「とりあえずそんなことは置いておいて、なんで招待したのに降りてこずにダンジョン壊すのさ?」
「あれを招待っていうな。よくて拉致だあんなの」
「そうなの?人の世もかわったねぇ」
「あれを招待って教えた人間でも以前いたのか?」
「ううん。人間と話すのはこれが最初。だって人前に姿を出す条件って神の上級加護持ち三人以上、内一人はマザーの加護持ちだからね。そうそう条件は合わないよ。」
「マザーって誰だよ?」
ここにいるのは確かにアルケー様の加護持ちが二人。サファイヤ嬢も入れて三人か。え?するとマザーってアルケー様?ママなのに娘に胸囲で負けちゃったの?
「なんか妙なこと考えてる気がするけど・・マザーは女神セドナだよ?。僕達6人はマザーに分体として作られたダンジョン管理者だからね」
「6人もいるのか?ここに?」
「ここは僕一人だよ?各ダンジョンに一人ってことさ。ああ、立ち話もなんだね。」
そう言うと指をパチンと慣らす。瞬間めまいがしたような気がする。気づくと場所が違っている。
ただのダンジョンの岩壁通路だったのが近代的な部屋の中になっている。
「まあ座って、落ち着いて話をしようか」
普通に応接セットのある部屋だった。
ソファに座るがなぜか三人掛けの真ん中に座らされる。
両脇にドロシーとファムが座るんだけどどういうこと?
普通そっちにある一人掛けの方がいいんですけど?
サファイヤ嬢が生暖かな表情でこちらを見ている。まあいいんですけどね。
「あの・・あたしもこんなところにいていいの?」
ヒルムカがおずおずと言う。
「ああ、いいよ。まあ正確には貴女には権利はないんだけどね。でも仲間外れにしたらまた誰かが破壊活動しそうだしね。守秘するべき内容はそんなにないから問題はないよ」
人数分の飲み物を置きながら。セーレが言う。
破壊活動って人を怪獣みたいに。
「まあ賢明よね」
サファイヤ嬢が納得している。一度お互いにどういう認識かすり合わせしておく必要があるな。
「これなに?!すごくきれい!」
ドロシーは出された飲み物をすごく喜んでいる。
冷えた炭酸水が透明なグラスで出されてきた。氷も入って涼やかである。
「レモネードだよ。大丈夫今作った奴だから危険なもんじゃないよ」
ストローまでついている。一気に飲んでドロシーは盛大に咽ている。
ああ、一気の喉まで来たんだな。飲みなれないものだからちびちび飲まないとね




