60話
なぜ自分の部屋に入るのに土下座しなくてはいけないのでしょう。
しかし不可抗力は不可抗力なのでファムはさほど怒っている様子はない。
前回の全裸に比べればまあチラリズムレベルだしね。
もっとも冷ややかな目は相変わらずですが。
それに引き換えドロシーはかなりご立腹。友人の肌だけでそこまで怒れるとは大したもんだ。
ただ怒り過ぎてるのか、見たいならあたしのをって言いだして脱ごうとしたのでそれはファムと二人で止めておきました。まあ有耶無耶で話が終わったのは良しとしましょう。
部屋の中では猫とフェレットが生暖かい目でこちらを眺めておりました。
『ご主人様、天然のたらしですぅ』
『ああ見えて腹黒なところが多いご主人だからにゃ』
お前たち言いたい放題だな。こっちは怒らせると怖い女子二人相手に必死なのに。
ここには味方はいないようだ
そんな騒動はともかくドロシーもやってみたいと言い出した。まあ確かに。変身はいいとして祭り最中の護衛って言っても剣は儀礼用しか持てないしいざというときは困るもんな。
ということをファムも同意してくれたのでスキルでドロシーに収納を付与してもらう。
慣れていないから大したことはできないだろうけど少し練習すれば武器を出すことくらいすぐにできるだろう。
今夜はとりあえずそこまで。あまり詳しく説明してもいまだ不確定要素があるからね。
起きるであろうことに関しては説明をしていません。
全面的に信頼してもらうしかない、っていうと二人とも無駄と思ったのかそれ以上は聞いてこなかった。
でも、[戦闘力は]信用するけどってファムに言われてしまいましたけどね。
やだなぁ、一度としてわざとしてないんだよ。三度目したら殺されそうだが。
そんな女子たちを部屋に帰し、いよいよ本格的な作戦会議
【召喚 阿修羅王 白銀】
【召喚 帝釈天 インドラ】
【召喚 摩利支天 マリーチー】
この三人のほかにアンバー、サトリ。そしていつのまにか帰って来たダーキニーと朝露である。
「さて君たちに頼みたいのは王都内外の防衛なんだ。可能な限り死者をだしたくないからね」
実は最初にジャンヌ嬢をサトリが見たときに大体の情報は吸い出せていた。
神星祭の当日,王都の全方位から魔物の大量発生をけしかける。
そして神の加護という触れ込みで彼らが無傷で王都を守るという筋書きである。
本人を見る限りおそらく王侯貴族は守るだろうけど民をどれだけ守るかは未知数。
しかも祭りなのでなんも知らない民衆は多くパニックは避けられないだろう。
ならばその前にスタンピートを止めればいいのだが
「これは発生前に見つけるのは至難の業ですね」
マリーチーが言う。魔物発生装置自体はほとんど設置を終えられている。
魔石状態でストーンヘンジを組み上から土でもかぶせられればもはや見つけるなど不可能。ある意味地雷より厄介なものである。
「ただ、魔物を呼び寄せるスキル保持者はもうマユーリーが処分している。これ以上その装置が増えないのがせめてもの救いだよ」
これは狼男から吸い出した情報。
マユーリーに任せた転生者のスキルを使った蟲毒が魔物を呼び寄せる装置の核となるらしい。
それをカシウスのスキルで装置にされたら探せないよな。しかも隠したのはカシウス本人。
サトリは怖がって近寄れないし多分彼から情報をとることはもう無理だろう。
結果、事が起こるまでこちらも用意しかできない。
「そこでだ、インドラたち十二天で王都を二重結界で守ってほしい」
「主、如何な大量の魔物とはいえ結界を二重に張らずとも通しはしませんが」
不服そうに言うインドラ。
わかっているよ。
いつもは阿修羅をはじめ八部衆をよく召喚しているが、彼らはどちらかといえば攻撃型。対して十二天は防衛に重きを置く神将集団。
「当然だね。してほしいのは四天王で王都を守る結界を張ってもらい魔物暴走の外から残り八人で結界を覆いこんでもらいたい。」
「十二天で万単位の魔物すべてを封じ込めるということですわね」
言いたいことをマリーチーが引き継いでくれる。魔物の囲い込み漁である
「八部衆はその魔物の殲滅と相手側の転生者の牽制を頼みたいんだが」
「戦闘スキルの有無によっては手間取りそうですね。ですが規模的に我々だけでは少し時間がかかりすぎるかもしれません。せめてもう二、三人の神将の協力があればいいのですが」
だよねぇ、広域破壊はいくら神将と言えども難しいし転生者の相手もしてもらいたいから最悪、魔物殲滅は3人くらいの割り当てになってしまう。
タイムリミットもあるしきついなぁ。
【召喚 孔雀明妃 マユーリー】
「召喚により参上いたしましたご命令を」
「これから来月一日まで力を借りたい。頼めるか?」
頷いてくれる。そして詳しい説明はマリーチーにしてもらう。
ついでに協力してくれる神将に心当たりはないか聞いてみると
「私たちは他神将とは違いかなり独立していますから難しいですね。五大明王でしたらおそらくはご期待にそえる働きは可能ですが」
「ちょっと数万の命の苦しみは勘弁してほしいかな。メインイベントもあるんであれはきつい」
「それでしたら、馬頭観音を呼び出してはいかがでしょうか?彼の者も明王外で呼び出せますし実力は保証いたします。」
そうか?それじゃあ一度頼んでみるか
【召喚 馬頭観音 ハヤグリー】
召喚してみると褐色の肌の中性的な少年?少女が立っていた。
赤毛のショートカットで体のラインも細く一見性別がわからない。
「ハヤグリー。サーにご挨拶なさい」
少し会釈だけにとどめる。
なんというかマユーリーもそうだったが愛想がないね。
「一つ聞きたいんだけど性別は?」
失礼があってはいけないので聞いてみた。が。
「誰が男女だ~!!」
電光石火のストレートが顔面に入る。もっともそんなことは気づけることのないまま意識を失った




