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八百万の精霊召喚~異世界神から日本妖怪~  作者: 那園曽 氏規
本編

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58話

ふと意識が戻る


神殿の前で跪いたままの姿。

隣では同じように跪く姿のご婦人。

うん、この人をまねしたしやっぱり時間は立っていない。


そう思い立ち上がり振り向くとこちらに法衣姿の男性が歩いてくる。

この人がジャンヌ嬢のいってた案内係かね。


「貴方がラウル殿ですね。ジョアンナ様より案内を承りましたカシウスと申します。よろしくお願いします」


と、お互いに挨拶をし案内をしてもらう。

一通り教会内部を案内された後、通されたのは執務室。


「申し訳ありません、あいにく客室がいっぱいでして、私の執務室でご容赦願いたい」


今日は確かに王妃様とか来ているし何よりファムの採寸がありますからね。

下手に近寄っては今度こそファムに殺されるかもしれん。


珍しくコーヒーを出される。そういえばコーヒーっていくら探しても見つからなかったんだよね

何気なく口にする。タンポポみたいなものかと思ったら本格的なコーヒーだね。

これはうまい


「ちなみにこの世界にコーヒーはないのですよ。これはカルダモの実を焙煎したコーヒーもどきです」


ニヤリとして言われる。

あらら、代用マメだったのか。でもここまで味を近づけたってことは相当な努力だったんだろうね。


「この世界の人間は決して初見で口にしません。怪訝な顔をするか私の悪戯と思うかですかね。」


「なるほど、こうやって転生者を判別するのか。いい方法だね。そのためだけにコーヒー作ったの?」


「いいえ、転生者判別はおまけですよ。私が飲みたかったからです。カルダモの実を見つけるのは比較的簡単でしたが。そこから理想の味にするのに五年以上かかりました」


「いい味ですよ。コナコーヒーよりコーヒーっぽい」


「うれしいですね。そこまで言っていただけるとは思いませんでしたが。」


「おいしいものに対してはきちんと評価しますよ。僕は好きですね、この味」


それから一通りコーヒー談議に花を咲かせる。焙煎器具を作るのが難しかったとかミルがなかったので手のひらサイズの石臼を作ってもらったとか結構趣味人だ。


「「さて」」


話の切り替えに同時に二人切り出す。こちらにまずは譲ってもらった。


「どうしてこんなにおいしいもの作れる人がくだらないこと考えるんです?」


「くだらないでしょうか?この世界の文化を進めこの国を最強最高に変える。すばらしいとは思いませんか?」


「言葉はいいよ。だが性急すぎるでしょう。それにやり方が汚い。マッチポンプなんて正当性がないよ。」


そういうとカシウスは楽しそうに笑い出す。


「そうですね。確かに汚い方法です。ですが事実それをできるのは私達のみ。誰も気づきませんよ」


コーヒーを一口飲み続ける。


「今回私がここにいるのは貴方と再交渉をしたかったからです。今ならキング対応でお迎えしますよ」


「あんたがキングじゃないの?」


彼らはチェックメイツ。即ちコードネームはチェスの駒のようになっている。ジョアンナ嬢がクイーンであったように目の前のこの男がキング。即ちトップであるということ。


「実際キングという柄じゃないんですよ。私は見たままビショップが似合います」


そうでもないんじゃないかな

一足飛びに後ろに回り込み掌打を放つ。気力を込めたその一撃はカシウスの心臓の上を狙って放たれた。

だが届くことはなかった。いつの間にか発現した浮遊する盾に阻まれる。


「剣呑ですね。もう少し理性的な方と思っていましたが」


「一つのカードも開かずに交渉なんてされるのが我慢できなくてね」


「まあそうですね。おかげで一番のカードを開く羽目になってしまいましたがいいでしょう。これは私の持つSSRスキル「魔石機動」魔石を任意の形のゴーレムにし動かすスキルです。」


「それもゴーレムなんだ」


「そうですよ、盾、剣、鎧、馬車につけて簡易自動車とかも作れます。そして普段は魔石形態で持ち歩けるという便利なスキルです。」


「いいスキルだね。勝手に加熱するフライパンとかできそうだ」


少し不機嫌な顔になるカシウス。あれ?最上級に褒めたのになんで?


「まあいいでしょう、そちらのスキルも聞いてはいますが見せて頂けますか?まさか自分はダメとは言わないでしょう?」


そうなの?じゃあお言葉に甘えて


【召喚 サトリ】


魔法陣から飛び出すのはフェレット。例によって顔だけは愛らしい

するするとカシウスの方に飛び乗り愛想を振りまく。

もちろん鑑定込みである。


すると珍しいことに途中でサトリが飛びのきこちらに抱き着いてくる。


『ご主人様ぁ あのひと怖いですぅ』


そう言いガタガタ震えている。どうしたんだ?


「フェレットとは確かにこの世界にはいませんね。ですが私はなぜか動物に好かれたことはないんですよ』


まああと召喚できる大きいのは馬とかだね、と適当にぼかしておく。

やはり地属性召喚と思ってくれているようだ。


そしてそろそろ皆と合流する時間となった。


「再交渉はやはり決裂ですか?」


「まあね、できる限り抵抗してみるよ。守りたいものもあることだし」


「そうですか、残念です。」


ちっとも残念っぽくないね。確かにいたらいいな程度で戦力にはならないと思われたんだろう。


「それでは祭りを楽しみになさってください。おそらく当日はここが一番安全な場所となりますから」


そういって見送られる。カシウスは残り仕事をするそうだ。

案内に連れられ皆のところに戻る。


やれやれ、世界一安全なところなんてないって知らないのかね


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