40話
一人残されたマユーリーはオリバーが目覚めるまでしばしとどまる。
少し考えていた。先ほどの空狐、あれはなぜサーに口づけした後、一瞬勝ったような顔をしてこちらを見たのだろう?
以前見たときはもう少し硬い服装だったと思うのだが先ほどは煽情的だった。
召喚主に関係を求めているのか。
不思議な狐だ。
そういえば付き従うレイスも何やら敵愾心のような目を向けてくることがある。
レイスごとき障害にもならないので見逃していたが明王に敵愾心を向けること自体が珍しい行為だ。
そもそも私がしたのはスキル譲渡の口寄せであり口づけではない。
彼女らにとっても魔力摂取の意味しかないであろう。
サーも男であり色気があったほうがいいのかもしれない。
今度はもう少し迫る感じにしてみるか、機会があればだが。
足元の男が動き出す。どうやら意識が戻ったようだ
とりとめのない思考はここで終わり。仕事の時間だ。
目覚めた男は一瞬焦点の合わない目で呆けた顔をしていたが直ぐに自分の状況を思い出したのであろう、臨戦態勢を取ろうとする。だが恐怖が勝ちすぎているのだろう構えた剣は震え腰が引けている。
「何なんだ、お前!俺たちがお前に殺されるようなことしたとでもいうのかよ」
「村人すべては貴様に殺されるようなことをしたとでもいうのか?」
「あ、あいつらは世界を変えるための尊い犠牲だ、仕方ないことなんだよ」
反吐が出る。話すのも嫌になってくる
後ろから何かが切りかかってくる。目の前の男にいらついていたからか反応が遅れ避けるだけになってしまう。続けて斬撃が来る。二人?
男とは距離をとる形になる。
見れば先ほど始末した4人が動き出している。
目に光はない。剣士の胸に穴が開き魔物使いは醜く引きちぎられた跡がある。
「どうだ!呪術スキル【反魂呪】。一度殺したものを二度は殺せないだろう!てめえは死んじまえ」
さっきより動きがよくなっている。人の稼働限界を超えるうごき。
意識を持たない故に通常以上の力を出しているのだろう。しかし
「憐れな・・」
攻撃を仕掛けてくる者たちをかわし鞭で打ち込む。一撃打ち込めば糸の切れた人形のように倒れていく。
その様子を信じられないものを見る目で見ている生者
「私に呪いは通用しない。この程度で私をどうこうできると思われるとは心外だな」
「金ならやる、命だけは」
「今までの行いを考えろ。だが私にも慈悲はある今回私の知っている貴様の行いに堪え切れたら見逃してやろう、それでいいか?」
男は激しく頷く、同意を得られたので初めてやろう。
直後、男が痙攣を始める。白目を向いてたおれている。
誰が押し倒したことの報復といったんだ。貴様のしたことは蠱毒で罪のない村人を殺したこと。
それでも、今与えたのはサーに行なった一部にも満たない。もう少し少ない出力のほうがいいのかもしれないな。すべての罪を感じさせるのは難しい。
結局深夜までかかったが男はすべての罪を受けきることはできなかった。




