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八百万の精霊召喚~異世界神から日本妖怪~  作者: 那園曽 氏規
本編

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35話

村の近くに降り立ち徒歩で村を目指す

念のためドロシーにはそのまま紫苑にのって上空から確認をお願いしている


正直言って異様な光景。

村の敷地全体を壺状のものでかぶせられている状態である。

イメージ的には窓のないつるつるのバベルの塔が村の大きさで在るという感じ


「何?あれ」


ドロシーが嫌悪を含んだ声で聞く


これじゃあ魔力どころか光も通らないだろう。

近づくと質感は石のよう。少し小突いてみるとさほど厚くはない音だが壊すのは骨が折れそうな強度だ。


「少なくとも普通の魔術やスキルというわけではないわよね?」


『ありえにゃいにゃ。この世界にこんなことできる人間はいにゃいにゃ。いるとしたら』


「特異なSSRスキルホルダーってことか」


黒雷を出し切りかかってみる。が衝撃は波紋のように伝播し傷一つつけることはできない。


『ご主人様、あまり触れられませんように。おそらくこの結界【呪い(カース)】スキルの可能性があります』


ダーキニーが言う。通常魔力スキルにしては霊体を通さない複合結界としてこの大きさで維持ができないらしい。

だが呪いなら大地を呪うだけである程度規模を割り増すことも可能とのこと。

ただしその大規模な呪いを行使するにはダーキニーだけでも十数人必要とのこと。


「空狐だけでも十数人は必要となるとスキルブーストの可能性もあるのか」


悩んでいると紫苑に乗ったドロシーが戻ってきた。


「駄目ねやっぱり上もしっかり覆われていたわ。本当に蓋されているみたい。念のために魔法打ったけど全く効果もなかったわね。」


黒雷は反応があったんだけどな。雷系の攻撃なら壊せるのか?

紫苑、どう見る?


『少なくとも雷は攻撃として通ると思われます。お嬢の風魔法は直撃の前にかき消された感じでした。ただ我ら八部衆に雷の攻撃を持つものは一人だけです。彼の力で砕けるかはわかりませんな。』


いや、試すしかないだろう。どちらにしてもこの障壁は壊すべきだ。


【召喚 竜王 緋焔】


竜王召喚をする 八部衆の中で破魔の自然属性を持ち雷が使えるのは彼だけ。


『主、ご命令を』


「あのあやしげな結果をぶっ壊してくれ。周辺になるべく被害が起きないように」


結界を一瞥し再度こちらを見る。


『おそらくですがあの結界の中では呪物魔物がうごめいております。なるだけ一気に殲滅しますが万が一のこともあります。お気を付けください』


そう言い飛んでいく。

飛びながら人型だった竜王は光を放ち変化していく。長い体をくねらせる巨大な龍の姿。


呪い結界の上部に陣取ると、巨大な稲妻が八本降り注ぐ

亀裂が入り巨大な瓶はそのまま崩壊を始める。

だが龍は追撃の手を休めることなく稲妻を突き立てる


土煙が上がる、見えてきたのは。


「いやぁー!!」


ファムが悲鳴を上げる。

ドロシーもファムに抱き着いて震えている。

二人は動けそうにない。

まあそうだろう特撮でもないのにありえないことが目の前で起きている。

異常な大きさのムカデがうじゃっている。

村の入り口から500mくらいは離れているのに大きさが見えるってどれだけの大きさなんだよ。

数は7匹くらいかな。

雷ではダメージが通っていないのか直撃の雷では倒れていない。


『主、我の力では蟲との相性が悪い。規模は大きいがおそらくこれは蠱毒。うち破るには明王の力が必要だ。』


『主、私も参ります。竜王と二人ならしばらくは虫を閉じ込めることはできるはず。その間に主は孔雀の召喚をお願いいたします。彼女なら蟲を全滅できるでしょう』


緋焔の報告に紫苑が答えて飛び立つ。


明王召喚か、実は試したことないんだけどしのごの言っていられない。


【召喚 孔雀明王 マユーリー】


召喚陣から現れたのは銀髪碧眼ストレートのロングヘアの美少女。赤いスーツに赤いハイヒール姿である。

手には乗馬鞭。但し鞭先は孔雀の羽になっている。

彼女はムカデを一瞥しこちらに恭しく跪いた。


『サー、召喚により推参いたしました。明王召喚条項に抵触しない限り貴官の命に従います。ご命令を』


「たのむ、あのムカデとそれをけしかけた奴の殲滅が今回の命令だ。まずはムカデのほうを迅速に処理してくれないか?アンバーから必要な情報は受け取ってくれ」


『了解しました。ではお借りします』


そういってアンバーの首根っこを掴んでムカデのほうに駆けていく。

あれ?情報って念話で受け取るんじゃないんだ。


「あ、あのどういうこと?明王って確か日本の仏様なんじゃなかったの?」


ファムがおずおず聞いてくる。

まあ日本の神様なんて確かにわからんよね。


「明王は仏教でいう護法神だね魔性殲滅のエキスパートなんだよ。ただ彼らには召喚に条件があるんだよ。」


そう、今までいろんな精霊を召喚したが決して明王だけは召喚したことがなかった。

それは彼らには唯一召喚条項が設定されているから。

1.明王でなければ対応できない事態で呼ぶこと。

2.敵対には必ず殲滅が条件である。

3.上記に反する場合一方的に召喚解除をすることができる


あともう一つあるんだがまあこれだけで試しに呼べないのがよくわかる。

もっとも一部力を借りる不動三鈷とかは条項に触れないので大丈夫なんだけどね


「どこの世界の精霊なの?」


ドロシーが聞いてきた。


「7柱の神以外にいるのは自然精霊だけじゃないの?」


あー、どうやって説明するか。ファムに目配せするとそっぽ向きやがった、覚えてろ




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