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八百万の精霊召喚~異世界神から日本妖怪~  作者: 那園曽 氏規
本編

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25話

控室に行く途中で声を掛けられる。


振り向くと一人の女子生徒 ドロシーの後で二年シードと戦うファムである。


「ラウル君、同じ一年なんだから何か私にはアドバイスとかないの?」


「ああ、頑張って。この試合だけは応援するよ」


「まったくもう、相変わらずなんだね」


相変わらずってなんだ?普通なのに。とか思ってたら手を差し出された。ん?握手?

しょうがないので握手する。ニコニコと手を振った。


「ゲン担ぎよ。このチャンスでしか君に触れられないからね」


「そんな珍獣みたいに」


「自覚ないのね、そんなに人気者なのに」


「パンダ扱いなんて嬉しくないね」


「人気者は認めるのね」


微笑みながらファムは控室に向かった。


一人残されてしまった。まあそんなに朴念仁ではないつもりである。でもねぇ、なんというか精神年齢が高すぎるのでぶっちゃけ兄姉ですら子供扱いなんだよね。正直十代前半に対して恋愛対象っていわれてもね。

せめて日本人感覚としては20越えなきゃねぇ。


ま、いいか、今は目の前のコト


控室に戻るとアンバーが出迎えてくれる。


『ご主人、もうすぐ嬢ちゃんにょ試合が始まるにゃ』


椅子に座りアンバーを膝に乗せる。千里眼とリンクして臨場感たっぷりにみられるのは便利。

あとはビールとポップコーンだけだな。


************


第一シード、ドロシーが試合会場に上がると歓声が沸き起こる。

流石は自慢の妹。まあしかしアイドルにはしませんよ。


対戦相手はギャバリー。相変わらず魔力を高めているが隠蔽されている。

気づいているのに表情を変えていないドロシーに対して怪訝な表情をするギャバリー


「ねえ、それだけの魔力ってかなり無駄よ?」


「無駄ってどういう意味かな?」


「すぐにわかると思う」


正眼に構えるドロシー。ギャバリーもサーベルを構える。ドロシーは全く魔力の波動を感じない。おそらく地力だけの勝負のつもりだろう。ギャバリーにとっては優位と思ったのだろうニヤつきながら構える

サーベルの構えのほうが突きは早い。正眼の構えはあくまで剣道の構え。根本的に打ち合えるものではない。

開始の合図と同時に踏み込んだのはギャバリー。自らの強化に絶対の自信があるのだろう。

ドロシーの胸を狙った突き。おそらく一撃で決めるつもりだったのだろう。

一合の後倒れたのはギャバリー。防具はフェンシングの面なので頭の部分が変形している。

かなりの衝撃だったのだろう。

気絶している。

そのまま振り向かずに勝利の判定をきき舞台を降りる。

歓声はすごいが全く気にしていないようだ。ミュゼと何か話しているが流石に聞き取れないだろうね。


ギャバリーの身体強化は実際未完成。普段の組手でそれ以上の剣の腕のヒルデ姉や女騎士なんかと相手しているのにただのブーストだけじゃ役に立たない。それ以前に魔力隠蔽ができていないのでどう動かすか先に魔力が教えてくれている。打つよ、って合図しているようなものの上にカウンターで入る一撃に全く対処できていない。

ドロシー相手なら属性織り込んで斬撃に回す方がまだ有用だったね


「ダークホースどころか噛ませ犬だったか」


『まあそんにゃこともあるにゃ』


ドロシーに傷を入れる奴は許せないのでまあそれはよかったってことだね。


ドロシーが控室に戻る側にはファムが次の出番で待っていたようだ。戻るドロシーに何やら話しかけ握手している。あれもゲン担ぎなのかね。どちらかというと勝利力士の力水だね。


『そういえば、ご主人。一つ聞きたかったんだけどにゃ?』


「何?」


「次の試合に出るあの女子と話してた、パンダってこの世界にいるのかにゃ?」


「・・・・・はい?」


「だから、パンダってこの世界にいるのかにゃ?アタイの知っている限りご主人の世界にしかいにゃいとおもうにゃ」


どういうことだ?じゃあなんで珍獣って話でパンダって言って聞き直さなかった?

異世界の知識?いや、地球にしかいないと今言った。ということは他に転生者がいる?

あ、そうだ。あの時、初めて女神を召喚した時。貧乳女神は確かにこう言った


【あ、あの時の多かったスキルの人ね。あ(・)れ(・)以(・)来(・)そんなことはなかったから覚えてるわ。】


そうだよ。あれ以来って事は他にも転生させたってことだよな。

ということは?ファムも転生者の可能性がある?


次の試合は始まっている。

二年男子の猛攻を受け流している。攻めあぐねている感じではあるがディフェンスは見事と思う。


「アンバー、ファムのステータス覗けるか?」


『ダメだにゃ抵抗(レジスト)されたにゃ』


受けのタイミングを間違ったのがファムに一撃が入る。一瞬だが怒りの顔になるがまた目の前にいる相手に集中しているようだ。


「これは間違いないな」


『ご主人、ちゃんとあとであのお嬢さんに謝っとくにゃ』


うわーヤバイ。これで負けられたら試合妨害だよ。最悪ジャッジに物言いつけなきゃいけないな。


ハラハラしていたらなんとか隙を見て一撃を入れファムが勝ってくれた。

よかった最悪の事態は避けられた。きちんと謝るか。


とりあえず控室を出てファムの出口のほうにむかう。

ファムを見つけたのは控室に入ろうとしたところ。呼び止めると扉を開いたままこちらを見る。

目つきは先ほどとうって変わって怒りに燃えているようだ。


謝ろうとしたところで、彼女の右手がうなる。パン!という子気味の良い音。


「これで許してあげる。今日の試合終るまでは口もききたくないわ」


部屋の中では、ドロシー、ミュゼ、ヒルデ姉が目を丸くしている。そりゃそうだろう、いきなりビンタだもんな。そのまま無言で扉を閉められる。言い訳もできないけどうまくごまかしといてくれよ。


『旦那様、無礼なあの女子、呪い殺しておきましょうか?』


いつの間にか朝露が後ろにいた。なぜかメイド服でうさ耳をつけている。

何でレイスなのにと思ったのだが着物は動きづらいので着替えたそうだ。レイスなのでイメージで衣服は変えられるらしい。うさ耳はどこかのキツネより 『役にたつメイド』になるために必要らしい。よくわからない意見だったがまあ実際に似合っていたので良しとした。


「まあ呪わなくてもいいけど何話してるかだけは聞いておいて。試合に行ってくる」


そういって試合会場に向かう。


あ、第三試合見てないや。

それ以上にこのテンションで試合できるのかね?


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