1158話
「さてラウル殿。どうだろう?次は時間も惜しいし残りを一度でも構わないか?」
いってきたのは紫のローブのオスコリタッド。
残っているのはこの紫と碧の二体だな。
「オスコリタッド!貴方そこまであからさまに卑怯な手で勝ちたいの!?」
クラティアンが怒って言う。
「白、はっきり言っておくが今の我々一対一では勝ち目などないのはもはや承知している。だからこそ手合わせという意味合いで依頼しているのだ」
「素直に負けを認めるんだ」
あっさりと認める紫に半ば感心しながら聞き返す。
「事実だろう。ドラゴニックアーツの二種、そして蒼の龍魔術を圧倒したのだからな。」
淡々という紫
「だが私もただ負けるようにしたいわけではないのでな。このような申し出をさせてもらったというわけだ」
うーん、どうしようかね?
まあ碧はこないだ陽技で気絶させたし勝てるのも当たり前だしな。
紫の実力は未知数だけど魔力的には強いわけではないってことなのかね?
「もちろん恐ろしいならお断りいただいてもかまいませんが」
「いいでしょうやってあげますよ」
「主様、それは単純すぎます」
マリーチーがあきれたように言う。見れば翡翠と薄紅も諦めたような視線になっている
此処に娘さんたちがいても同じ表情してくれるだろうね。
安い挑発とはわかってるんだけどいいんだよ、さっさとどっちが上か教えてあげないとね
「それでは少し準備をいたします」
そう言って離れたところにいる緑のドラゴニュートの方へ歩いていくオスコリタッド
「ラウル様、よろしいのですか?」
聞いてくるのはクラティアンである。
「まあいいんじゃないかな。どちらにしてもだけど全員の鼻っ柱追ってあげないといけないからね。」
「でもどんな搦手で来るのかは注意した方がいいのじゃないかしら?」
俺の言うのに返事したのはクラティアンに治療されていたエスタトステラである
「あれはあたしたちと同じ攻撃型じゃないからね。どちらかといえばクラティアンと同じ支援型魔術」
「支援型ってことはバフやデバフ?」
「ばふ?でばふ?」
俺が聞き返すと不思議そうな顔をする二人。ああ、この言葉はこの世界にないのか
「つまり力強化やもしくは運動阻害、あとは状態異常とかに特化してるってこと?」
「概ねそんな感じね。大体彼の強化魔術で筋力と速度は倍くらいには強化できるんじゃないかしら」
「倍か、重ね掛けでだいたい体感五倍くらい強くなりそうだな。まあそれなら大丈夫じゃないかな」
「その発想もどうかと思いますけど」
俺のつぶやきにぼやくクラティアン
「大体碧とこの間やった時から考えてこんなもんと思うんだけどね。」
「こちらの準備は整ったが始めていいのかな?」
声がかかる
見れば前には紫と碧が進み出てきている
といっても紫もドラゴニュートモードになっている
暗みのかかった奇麗なバイオレットの鱗のドラゴニュート
体格的には碧がヘビー級レスラーとすれば紫はフライ級ボクサーといった感じ
ドラゴニュートモードってことは本気で相手してくれるんだろう。
まあこちらはいつも通りに気負わずに行きますかね




