97話
場所を騎士鍛錬場に移動する。
「ミュゼが剣を持つのを見るのって初めてだな」
「学院では私は武技クラスにはいきませんからね」
騎士服ってのも新鮮だね。なんというのか普段仕事でしか会わない女子とプライベートであったような感覚である。
こちらは無手で対峙する。ミュゼはオーソドックスな剣。構えもいわゆる騎士剣術である
対人用の剣術なので素直なのはいいんだけど、それにしてはジャンヌ嬢の不敵な笑みが気になる。
「じゃあミュゼが勝ったらなんでも一つ言うことを聞くってことでいいわよね?」
「ちょっと待って、さらに要求が上がってる」
「ミュゼがんばってー」
「ラウル、負けてもいいわよ」
あれ?ドロシーとファムも向こうサイドに付いてる?
「いいんですか?」
ミュゼが困った顔をしている。いいんだよいつものことだし。
「ミュゼ、ちょっといらっしゃい」
ジャンヌ嬢が手招きし何やら耳打ちしている、作戦会議のようだ。
不安げな顔から赤くなったり困ったようになったりと忙しい。
とぼとぼとこちらに戻ってきた。
構えると表情は一変、真剣な面持ちになる。ヤル気がみなぎっているようだ。
固さはないならまあいいか。
こちらが打つとなると隙が多くてやりやすいんだが今回は攻撃を受けなきゃいけないからなぁ。
「いつでも打ってきていいよ」
「行きます!」
素直だなぁ。ドロシーやファムなんてもう打ち込みの開始なんて言ってくれないよ。ていうか不意打ち狙いなんだけどなぁいつも。
打ち込んでくるミュゼ。攻撃ってとられると困るんで払わずに避ける一択である。
何度かの打ち込みを避ける。まあ素直な剣筋なのでそこは問題ないんだが。
皮鎧合ってませんよ?なんか谷間が見えるんだけど、よく揺れますね。
思うといきなり谷間が光りだす。強烈な光に一瞬視界が奪われる。
え、ちょっとまさかこれハニートラップ??
視界が奪われると同時に攻撃リズムが変わったようだ。これはうまい。普通なら対応はできないよ
速くなった打ち込みを感覚だけで受け引き落とし極める。
「キャア」
あ、しまった。見えないから手加減ができなかった。
「そこまでね。じゃあ手を出したからラウルの負けってことね」
うーん、魔法剣士であるのを甘く見ていたな。
搦め手って甘く見ていたこちらの弱点を気づかされたし負けは認めるしかないか
「あの、ラウル放してくださいません?」
視界が戻ってきたらミュゼを組み敷いていました
「わああ!ゴメン!」
「やっぱりエッチね!」
「ラウルに対するにはやっぱり胸なのね」
ちょっと、ファム、ドロシー。キミタチ外聞の悪いこと言わない。
男子ならあれに勝てる奴はいないよ
というか女子でもあれには勝てんわ、一度対峙してみるがいい
「なんて作戦何ですか、妹にハニートラップさせるだなんて」
ジャンヌ嬢に文句を言う。誤魔化すためではない。
「敵の弱点を突くのは兵法の基本でしょ?それに機能試験もしておきたかったし、なにより視界を奪われたほうがミュゼの実力がよくわかったでしょう?」
まあ確かに心のどこかにミュゼは戦えない、という思いはあったのかもしれない。
視界を潰され、一人の個人として対峙するとかなり実力が上がっているのがわかる。
「ところで機能試験って何ですか?」
「ああ、セーレさんから凄いアーマー貰ったって言ったじゃない?そのアーマーの機能のひとつがマジックストックなのよ。どんな長い詠唱を必要とする魔術も発動開始直前で収納しておけるって訳よ。」
「なるほど、聖魔法の一つ閃光連弾だね。あれは詠唱が必須だから確かにこう出されるとは思わないな」
「あと絶対に貴方の目線がそこに行くとわかっていましたからね」
「いや、だからなんで胸なんだよ」
「いいじゃない、言っておきますけどドレスなんてどれだけ谷間強調すると思ってるのよ。しかもどれだけ頑張ってもミュゼには勝てないし、頑張って形作ったらすぐに姉さまが触って崩しちゃうし」
「お姉様、愚痴になってます」
「あと胸なのは単純にアイテムがそこにあるからよ。貰ったのビキニアーマーだもん。見る?」
「う、いや、いいよ。見れるわけないだろ?」
危うくうんと返事しかけたけど思いとどまれました。
というか視線が痛い。今回なんもしてないのに何で責められるような視線を向けられるんだ?




