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【3日目】黒の鳥

まだ氷柱を発動したままで静止している相ノ木。意味がわからないと顔をしているフィリア。


そんな沈黙を切るかのように、チャイムが鳴る。

時計はまだ12時30分。授業開始までにはあと30分もある。どういう事だろう。


「えー皆さんお久しぶりです。今から2回目の襲撃が始まります。前より3倍強くなれたかな?」


不自然な機械音がクラスのスピーカーを通して聞こえてくる。何かしらの媒体を通して僕たちに伝えてくる『あいつ』のスタイルは気持ちの良いモノではないので本当にやめてほしい。


「3倍って言うのが比喩じゃなくて本当に死んじゃうって事は今からわかると思うよ。それじゃあ頑張ってね。今回は1日お休みを入れたから、ちょっと強いよ。でも、生き残ると特典があるからがんばれー」


わざとらしくプツンという音を立てながら放送が止む。

今から襲撃が来るというが...一体何が起こるんだ。

外を見ても何も居ない。どういう事だろう。


放送が終わってからすぐに、乱暴に教室の扉を開けてクリス先生がやってきた。

完全に息があがっている。相当急いだのだろう。


「みんな、落ち着いて。今すぐに....」


クリス先生が話していた途中に、―――視界が暗転する。

脳みそがグルグル回っている気分だ。目の前が真っ白で何も見えない、一体何が起きている。


「フィリア!」


僕は反射的にフィリアに声をかける。


「ここに居てる!誰も何も移動してない!でも今私たちは誰かに攻撃されてるわ!」


橋本や、未来も同じく返事を返してくれる。

相ノ木は、僕に声をかけてきた。


「ぼく君、わたしから離れないで。」


「あんたなんてまだ『2周目』でもないくせに!彼に近づかないで!」


今は喧嘩している場合じゃない。何とかしなきゃまずい。今にも食べたものが逆流してきそうだ。

何をされているのかわからないからこそ、今は何か行動をしなくちゃいけない。


「『模倣』を発動、『操作』」


昨日、フィリアに教えてもらった奥の手、『自分自身を操作する。』

疲労は半端じゃないが今はこれしか思いつかない。今僕が持っているスタックは『氷』『操作』だけだ。

僕は自分を操作して、無理やりに胃からの逆流を止め、無理やり目まいと吐き気を解除する。



そこには


――血だらけの教室と、クラスメイト達を捕食している3匹の真っ黒のペンギンが居た。

大きさは普通のペンギンと同じだが、前の巨人のように真っ黒だ。

そして、僕たちの周りは『木』で覆われていて、それはすぐにクリス先生が守ってくれたのだと理解する。



みんな死んでいる。みんな。

目が見る事を拒否している。お腹から何か上がってくる。3日前の惨劇にデジャブを覚え今にも逃げ出したくなる。でも、それはさせない。操作で無理やり体に鞭を打つ。



「クリス先生!」



無意味に声をあげ、名を呼ぶ



「大丈夫だ!私はなんとでもなる!今は君たちの態勢を整えろ!」


1匹のペンギンは立ち止ったまま、口を開けて奇妙な音を鳴らしている。

もう2匹は水の触手を操りクリス先生に向かっている。



「おい!お前は前が見えてるのか!」


「無理やり開けた。気分は最悪だ。」


侑太達はまだ見えていないらしい。フィリアは僕と同じ手段を使ったのか、何かしたのか顔を濁しながら

ペンギン達を睨んでいる。


「なんで真っ白なの!しかも気分が悪い...うええ...」


「橋本!能力で何とかならないのか!」


「あ、その手があった!けれど私自身には使えないから...『治癒を発動』果歩!侑太!」


橋本が手探りで二人に触ると、白色の光が溢れる。治癒能力だ。...これがあった!


「未来、ありがとう。でも...」


「私は大丈夫だから...うっ...」


苦しそうな表情を見せる相ノ木だが、安心してくれ、その制約は僕が居たら関係ない。


「『模倣』を発動。『治癒を行使する』」


橋本の肩を触ると先ほどのような眩い光が溢れ、顔色がよくなっていくのが目に見えてわかる。



「ぼくっち...それって...」


「僕の能力だよ。不完全だけど人の力を真似出来る。」



「自己紹介はいい!今すぐあのペンギンを何とかしないと!」


フィリアが目の前の木の壁を『操作』し壁を開いてくれると同時に、どこから出したのかわからないが

ナイフを変な声を出していたペンギンに向かって投げつける。だが、もう1匹のペンギンが操る水の触手に簡単に弾き落とされる。


「おい転校生!何持ってきてんだ」


「うるさい脳筋!そんなのはいいからあんたの能力でさっさとあいつを止めて来て!あれが一番やばい!」


「言われなくてもやるつもりだよ!」


侑太の体から赤色のオーラが宿り、身体強化をしているのが目に見えてわかる。だけど、異常だ



――速すぎる。


この前グラウンドで見たフィリアなんてとうに越えて、人間の限界を軽く超えたスピードをたたき出している。ペンギン達も反応しきれず、口を開けていたペンギンが侑太の右ストレートで吹っ飛んで行った。

その瞬間に体か軽くなるのが実感出来たが、それ以上にあまりの速度に目で追うのがやっとで、僕たちは見ているだけだった。


おいおい、侑太強すぎじゃねーか。これが『身体強化』


すると、勝手にステータスが開かれる。

今僕のスタックには

『操作』『氷』『木』『治癒』が入っている。これ以上入らないから何か一つ消せということか。

頭の中で治癒を外し身体強化を追加する。


そうしていると、僕の後ろから見覚えのある氷が飛んで行く。

数はおよそ10本。全てが50cm以上の大きさで、かなりの速度が出ている。

クリス先生を襲っていたペンギン達に向かって飛んで行ったが、ペンギン達は水の鞭をうまく使い叩き落とす。



が、最初にフィリアが投げたナイフが、1匹のペンギンを後ろから襲い、後頭部に突き刺さった。


「君たち、私より強いんじゃないか?」

クリス先生に関心されて嬉しい...事もない。だって僕何もしてないじゃん。


「先生、どうですか!俺!結構練習したんですよ!」


「杉浦君...だったか、君は才能があるね。」


「へへっ、どうよ。」


「だけど...まだ終わらない。」


そう言うと先生は、木でペンギン達を拘束しようとしたが....急にペンギンの姿が変化する。


ペンギンだった原型なんて無いくらい黒色の物体がうねうねと気持ち悪く動く。

だけど、先生は変化なんてさせないと言わんばかりに、尖った木を暗闇に向けて打つが、黒色の物体は、飛んだ。ジャンプではない、空を飛んでいる。だんだんと形状を露わにして来た。


まるでカラスだ。しかもデカい。僕たちと同じくらいの大きさじゃないか。

これは厄介だな...飛んでいる以上どうしようもない。幸いにも教室の中だからそこまで上空には飛んで居ないが...遠距離攻撃しか手段がない以上、身体強化は辛いか。




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