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【3日目】「3体くらい倒した。」

フィリアがどうやって入学したのかはわからないけれど、校長辺りを『操作』したのかな。

制服はどっから見繕って来たんだ...色々聞きたい事はあるけどお昼休憩まで我慢しよう。

フィリアが椅子に座った辺りでクリス先生がホームルームを始めていたみたいだが全然聞いていなかった。


「今日も午後から能力訓練の授業を行います。体育館で行いますので遅れないように。」


気づくとホームルームは終わって、クリス先生が教室から出る。その瞬間、雪崩のように襲ってくる人だかり。もちろん僕にじゃなくてフィリアにだ。


「ねえねえ、フィリアさんってハーフ?凄い綺麗だね」

「どこから来たの?やっぱり海外?」

「なあ!せっかくだし連絡先交換しようぜ!」


質問攻めにあっているフィリアは困惑の表情で返答した。


「日本に住んでるんです。でも色々あって...携帯は持ってないの!ごめんね」


「そっかーなんか大変だねー。これからよろしくね」

「よろしくー」

「フィリアさん仲良くしてね」



フィリアの人気に軽い嫉妬を覚えるが、それ以上にいつもと違うキャラクターに吐き気を覚える。

なんだその八方美人な表情。気持ち悪い声のトーン。いつもの肉を貪るライオンはどうした。

なんか他人事だけど疲れるな。


外は雨が降り続いていて、雨音も鳴りやまないが、それに負けじとフィリアに対する観衆の声も大きい。

だが、それ以上の騒音が大きな声を上げて扉を開けて言った。


「ギリギリセーフ!」


「アウトだよ!」


今日初めての発声。思いっきり遅刻してきた侑太に対してつい突っ込んでしまった。

それに反応したのかフィリアが僕を見て少し表情を曇らせた。


「侑太遅かったね。どうしたの?」


「いやあ、親と喧嘩してさ。色々事件あったじゃん?あとこんな天気だし休めってうるさくて、まあなんとか学校に来たってわけよ」


「ふーん、まあおはよ。」


「ところで...俺の席に座ってるその女。誰?」


そういえばフィリアが座っていたのは侑太の席だった。僕に向けて質問をしたのか、フィリアの周りにいる人だかりに言ったのかわからないが。その質問に答えたのはフィリア本人だった。


「初めまして、今日から入学しました。転入生のフィリアと言います。仲良くしてください。」


「杉浦侑太だ。よろしく。悪いけど席どいてくれね?」


露骨に嫌そうな顔で引き笑いをしているフィリアに対し、真顔で遠慮なく突っ込む侑太。

さすがに冷たすぎる態度にクラスメイト達は、席が無いフィリアが可愛そうだとか、侑太にデリカシーが無いだの。各自言い合うが侑太は引かない。


「ああ、そうなんだ。でも悪いけど別の席に移ってくれ。俺の席だし。」


「ごめんなさい杉浦さん、すぐ移動しますね」


荷物をまとめ席を立とうとするフィリアに礼を言う侑太だが、明らかにフィリアはキレている。

このまま家に帰って不機嫌なままじゃ僕も困るのでフィリアをフォローする。


「侑太、きつ過ぎ。もうちょっと言葉を選んだらいいじゃん」


「えーあーまあそうかもなー悪い悪い。」


その謝罪は逆効果だろ...もう知らない。


---


午前の授業が終わり、昼休憩のチャイムが鳴る。

食堂に向かう人も入れば、机を寄せ合って友達同士で食べあう人も居る。

フィリアが座っているところを見たら、案の定人だかりで埋め尽くされている。

まあ食事に誘われているのだろう。見た目だけはキレイだからわからんでもない。



僕たちも机を寄せて食事を取ろうとすると、いつもの二人がやってきた。


「ぼくっち久しぶりー元気?侑太、こないだはありがとうねー」


「うん。橋本も相変わらずだね...こないだ?」


「ああー、なんかこないだ黒色の変な奴出てきたじゃん?心配で未来を見に行ったら案の定捕まっててさ。

助けたんだよ」


「ちょっとだけ助かったわ。侑太もたまには役に立つわー」


「ところで、あの人込みの中に居る女の子誰?あんな子いたっけ」


橋本が侑太に対してフィリアの事を聞いている、曇った顔をしながら侑太は答えた。


「転校生。しかも朝から俺の席を占領してた。」


「へー、この時期に転校ねえ...怪しくない?」


「俺もそう思ってた。しかも外人だぜ。フィリアさんだってさ。」


フィリアの事に喋っていると橋本より少し遅れて相ノ木がやってきた。


「果歩久しぶりー!この前の黒いの大丈夫だった?」


「ひさしぶり、大丈夫。3体くらい倒した。」


え、マジですか。0体の僕はどうなるの...


「果歩やるわね...私たちは逃げてたってのに」


「うん、本体がなんか可愛かった。まんまるしてるお饅頭みたいだった」


「そういえば果歩の能力って何だっけ、ぼくっちは教えてくれないし。」


「そのぼくっちって言うのをやめたら教えてあげてもいい。」


「わたしの能力?...簡単に言うと氷を操る力」


侑太が驚いた表情で答える


「氷!すげー!レア2じゃねーの?いいなー」


「そんなにすごくないよ。意外にみんな持ってる。」


「そんな事ないよー!私なんて治癒だから戦えないし...」


僕だけを置いて会話を進めている。レア度がよくわからないけれど、これだと僕はレア4ってことなのかな。


「ねえ、僕くんの能力ってなんなの」


いきなり相ノ木が僕に質問を振ってきて驚いた。彼女が誰かに興味を持つことは珍しい。

まあ、そろそろ言ってもいいかと思って『模倣』の事を説明しようとすると。



「はじめまして、いきなり声をかけてごめんなさい。」



フィリアが僕たちのグループに声をかけてきた。


「初めまして、フィリアさんだっけ?私、2-Cの橋本です。よろしくね」


「同じく、2-Cの相ノ木です。」


「フィリアです。よかったら一緒に食事を取ってもいいですか?知らない人達と食べるのは少し苦手で。」


「うんいいよー、でも私たちも初対面だけど大丈夫?」


「はい、大丈夫です。僕くんが居ますから。」



フィリアが耳を疑うようなことを言った、なんでここで僕の名前を出すんだ。

僕の名前が出たことに対して橋本は流さず、突っ込む。


「え?ぼくっちがどうかした?ああ、確か最初にぼくっちの横に座ってたんだっけ。」


「はい、それと。今は僕くんの家で一緒に二人で住んでいますので、初対面ではないですよ。」


ニコニコ笑顔で彼女は爆弾を放り込んだのだった。


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