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時刻は今19:47。スキルも決めたことだしログインしますか。

夕飯食べた、歯磨いた、風呂入った、トイレ行った、水分補給した。よし、完璧。

VRゴーグルをつけてログイン。

するといつも通り眠るような感覚で……


意識が暗転する。


***


「戻られましたか。ソウマ様。では、スキルを決めましたか?」

女神様が問う。

大丈夫。決めてる。

「はい。【暗視】【鑑定】【詠唱緩和】【魔力増加】【魔力常時回復】【炎魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】【闇魔法】でお願いします。」



「はい……えっと、【暗視】、【常時魔力回復】は種族スキルとして既に固有のものとなっておりますので、選ぶことはできません。変更をお願いします。」


え?

種族スキルとして組み込まれてるんですか?

え?

先に言ってくださいよ……


「それと……」


まだあるんですか!?


「【光魔法】、【蹴撃】、【打撃】、【投げ技】は種族スキル【日光脆弱】と【打撃脆弱】があるため習得不可能です。また、骸骨の特性上、【魔眼】も習得できません。」


え!?【打撃】とか【魔眼】ならともかく、残っていた魔法枠の【光魔法】ダメなんですか!?

なんですか【日光脆弱】と【打撃脆弱】って


ゲームする気できたのにまたスキル選びしなければならないんですか!?


うぇ〜〜ゲームしたいし、ここはそこそこなやつ(てきとーに)選びますか。


魔法使いを目指すつもりだけど、近距離ってか物理攻撃がないのきついでしょ?ってことは【杖術】がいいかな。

杖って魔法の発動媒体としても使えるし、ピッタリだろ。知らんけど。

あともう一つは……無難に【常時回復】とかにしておくかな。


「決めました。【杖術】と【常時回復】にします。」


「はい、【杖術】と【常時回復】………認証しました。それでは、ソウマ様の初期スキルは

【鑑定】【詠唱緩和】【魔力増加】【炎魔法】【水魔法】【風魔法】【土魔法】【闇魔法】【杖術】【常時回復】

そして種族スキルとして【暗視】【常時魔力回復】【日光脆弱】【打撃脆弱】です。

それでは最後に、骸骨となられた方にだけの特殊なスポーン地点についてご説明します。」


特殊なスポーン地点か。暗黒島とか?


「骸骨の方々はまずフォレストの地下の元坑道にスポーンします。そこから西に12ブロック(12メートル)進むと赤いレンガの壁が見つかります。そこを3回ノックしてください。すると隠しエリアの中の一つに辿り着くことができます。」


隠しエリアか……あれ?待てよ確か……


「それでは、行ってらっしゃいませ」


眠るような感覚に襲われる。暗転


***


おきました。どうやらここが最初のリスポーン地点らしい。暗い地下通路。暗視を持っているからこそ進めるけど。


確か12メートル進むんだっけな。


坑道を進んでいく。すると目の前に黒い影がいた。

モンスターか?鑑定してみるか


ーーー

下級(レッサー)鉱石(クリスタル)狼(ウルフ)

Lv1

【???】

【???】

ーーー

下級ってついてるから序盤の雑魚的なんだろうな。試しに戦ってみるか。

えっと、俺が使える魔法は……あった。【炎魔法】の炎槍(ファイヤニードル)がいいかもな。


「この世界に存在する炎神、火の妖精に願う、炎を纏いし槍で我が敵を討ち滅ぼさん」

下級鉱石狼が気づいてこちらに近寄ってくる。でも残念。【詠唱緩和】を持っているおかげで魔法は唱え終わった。

「くらえ!炎槍(ファイヤニードル)!!」

持っていた初期装備の杖から槍のような形をした炎が狼に飛んでいく。

そして突っ込んできた狼に……やった!当たった!

ってまだ倒せてないのかよ。Lv1だとしても威力低くないか?それともあいつは耐久値が高い感じの敵か?


「ウォルフ ……ウガァ!」

おっと……怒ってますね。声だけでわかります。

ってぼーっとしてる場合じゃねえ!早く次を詠唱しないと!

もう一度炎槍だ!

「この世界に存在する炎神、火の精霊に願う、炎を纏いーー

すると急に狼が突っ込んできた。俺は全力で回避に専念し、避ける。すると少し掠ったのだが……


いってぇ!痛い!ってか強くね!?いや、【打撃脆弱】を持ってる俺が弱いのか?やばい!体力が2割切ってるんだけど!


とりあえず詠唱は完了した。

あとは撃つだけ。これで倒れなかったら俺は死ぬな。

「頼むぞ……炎槍!」


炎の槍は狼に飛んでいき、命中!と同時に狼は光の粒子となって砕け散る。

「とりあえず勝利……か?」

何かドロップ品が落ちてるな。拾って、【鑑定】っと。


ーーーーー

鉱石狼の牙・下級

下級鉱石狼が落とした牙。品質は最悪なため、溶かしてインゴットにするしかないが、溶かしても少量しか取れないため使い道がない。


鉱石

鉱石狼の体となっていた物。溶かして製錬するまで何かわからない。

ーーーーーーー


うん。あんだけ死闘を繰り広げた割には最悪なものしか落ちなかったな。

とりあえずアイテムボックスにしまっておくか。記念品ぐらいにはなるだろう。


さて、隠しエリアを目指して進みますか。

【常時回復】を持ってるとはいえ、回復速度が遅く、回復量も微量だから体力はまだ3割ほどだ。また出会ったら負ける未来しか見えない。


とりあえず進むか。こっそりと、盗賊や忍者のように。もしくは親の目を盗んで深夜にゲームする人のように。


***


「ここか……」

赤いレンガの壁。そこを3回ノックする。

すると壁がガチャガチャと音を立てて開く。中には広い空間とたくさんの家具や本棚などがあった。


「失礼しまーす」

壁を越えると壁はまた閉じる。どうやら内側からは扉の見た目だが、外からは壁に見えるようだ。


さて、他の骸骨のプレイヤーはいないのだろうか。

「すいませーん!」

反応がない。


「誰かいませんかー?」


反応無し。誰もいないのか。もしかして骸骨を選んだのって俺だけ?まさかね。


いや、【日光脆弱】と【打撃脆弱】があるから選ぶ人が少ない……?


いや、考えないでおこう。


さて、そうとなればまず部屋の探検といこう。


ログイン前に読んだ設定資料だと、スキルの取得方法は三種類あるらしい。

まずはじめにSPを払って取得する方法。SPとはSpecial(スペシャル)point(ポイント)の略で、種族やスキルの進化、ボスの討伐や大規模イベントクリアでもらうことができる。


そして次に本を読んだり、実際に使っている人から話を聞くなどして覚える方法。これは実体験なので覚えやすいが、そう言う本や使っている人を見つけるのはとても難しい。


最後に実体験で獲得する方法。例えば【打撃】のスキルを持たないで戦っていると、スキルを取得できるらしい。

ただ、実体験で取得できるのは【忍び足】だったり【聞き耳】程度の簡単なスキルのみ。


さて、なんでこの話をしたかと言うと、ここ、隠しエリアが深く関わっている。


何を隠そう、隠しエリアは『スキルを習得することができる本が置いてある場所』なのだ。

入ってきた時に確認できたが、ここの名前は『魔道士の終の住処』だ。

つまり魔法関連の本がいっぱいあるのだよ。ってことでレッツ読書



………と言いたいところだが、とりあえず今の自分の持ち物を確認してみようと思う。


さっきの戦いで、体力が八割も削れてしまったのは【打撃脆弱】を持っていることも関わるが、

もしかしたら装備のせいではないだろうか。


確認してみる。

ーーーー

名前:ソウマ


種族:下級骸骨(レッサースケルトン)Lv1


種族スキル

【暗視】Lv1

【魔力常時回復】Lv1

【日光脆弱】Lv50

【打撃脆弱】Lv50

スキル

【鑑定】Lv1

【杖術】Lv1

【詠唱緩和】Lv1

【魔力増加】Lv1

【炎魔法】Lv1

【水魔法】Lv1

【風魔法】Lv1

【土魔法】Lv1

【闇魔法】Lv1

【常時回復】Lv1


装備


『魔術師のローブ・基礎』

駆け出し魔術師もどきが着るローブ。

防御力は特にない。


『木の杖・最下級』

駆け出し魔法使い用の杖。魔法を発動するための補助効果なし。

打撃武器として使用した場合砕け散る可能性がある。


ーーーーーーー


うん。やっぱり。


防御力0ローブ、【杖術】用として使えない杖。


そりゃああんな序盤の雑魚敵にさえ負けそうになりますがな。

スキルが強くなるまでバトルはできないな。これ。

運よく勝てただけで負ける可能性もあったし。


さて、装備も確認したし、本を読み漁りますか。

本棚にあったこれとか、これとか、これとか。

えっと、『魔術教材・基礎』『属性魔術について』『バトルのノウハウ』『盗賊技法・基礎』か。

駆け出しLv1の俺にはぴったりだろう。

おっと……一冊落としてしまったな。ずいぶんボロボロな……これは日記……か?


ついでだし読んでみるか。


ーーーー

12月2日 晴れ

勇者が魔王を討伐。

これによって私が勇者パーティーにいる必要も無くなった。老後は大好きな研究に没頭するとしよう。


12月5日 くもりのち晴れ

坑道横にちょうどいい空間を発見。ここを終の住処としよう。


12月12日 晴天

勇者が聖女と結婚したことを報告しに来てくれた。幾つになっても知り合いが結婚するのは嬉しい。

結婚式にも誘ってくれたのでぜひ行ってみよう。


12月30日 雨のち晴天

勇者たちのハネムーン当日。残念ながら雨になってしまったが、そんなことは関係ない。

「雨の中でも楽しんでこい!」と勇者を送りつつ、裏で晴にする魔法を発動。


1月1日 晴れ

歳をとると大晦日ですら眠気に負けてしまう。だがいい初夢を見られたような気がする。

研究準備が整ったので早速始めていこうと思う。


1月5日 くもりのち晴れ

実験1回目。今回は野良の骸骨に【付与術】で麻痺、毒耐性をつける。だが野良だからなのか苦手としている外に出てしまって消滅。失敗。


1月11日 小雨

実験2回目。今度は【召喚術】で召喚した骸骨に【付与術】で陽光耐性をつけてみる。

すると日光の元でも10分ほど活動。だがその後消滅。改善の余地あり


1月21日 雷雨

実験3回目。今度は【召喚術】で召喚した骸骨に【合成】と【錬金術】の掛け合わせで土を纏わせる。

土が陽光を遮って、日光のもとでも活動ができると思ったのだが、運悪く雷が落ちてきて消滅。


1月30日 晴れ

召喚した後【付与術】で陽光耐性をつけてから土を纏わせる。

すると完璧に日光の元で活動することに成功。

これを土製守護人形(モリビト)と名づける。


2月2日 晴れ

モリビトに人類を守るように指示。すると魔物を倒して人類を守ることに成功。

これで勇者や自警団、ギルドの人々の負担が減らせるはずだ。


2月15日 晴れ

モリビトをひたすら量産。

途中暇つぶしで【日光無効】のローブを作成。これを骸骨に着せたところ太陽の下でも活動が可能に。

だが、風でフード部分が外れた途端に消滅。改善の余地大いにあり。


3月23日 晴天

勇者と聖女の間に第一子誕生。

生まれてすぐに顔を見せに来てくれた。

嬉しかったが出産後すぐに動いた聖女に軽く注意、聖女の付き添いを止めなかった勇者にがっつり説教。

出産祝いとして大きな危険を防ぐ守りの術式を込めたブレスレットを三人にプレゼント。

思った以上に喜んでもらえた。よかった。


モリビトは

土の脆さから 素材を土→鉄へと変更のための実験を開始。


4月25日 晴れ

モリビトの素材を鉄に変更に成功。


ついでにローブは【耐久大幅アップ】と【日光無効】【ダメージ反射・半】をつけたものを作成。フード問題は

フード部分にくっつけた仮面を被せることで解決。仮面は骸骨の顔をモチーフにした。


4月30日 晴れ

モリビトの大量生産及び配置完了。

暇つぶしに魔法発動用の杖を作ってみた。これは魔力を注ぐことで先端に剣や鎌の形をした魔力の刃が出てくる仕組みだ。

若い頃に憧れた物だ。ただ機能をつけすぎたせいで耐久が大幅ダウン。使い物にならないので焼却。


5月25日 晴れ

勇者たちに第二子誕生。今度は映像を映せる水晶を通して初対面。

勇者に「第二子を大事にするのもいいが、第一子のケアもするように」と助言。

私が使っていた杖を複製完了。機能を追加していくつもりだ。


6月1日 雨

杖に周囲の魔素を集めて消費する魔力を減らせるように作成。成功。

消費魔力を25%はカットできただろう。


6月3日 晴れ

勇者たちの家に遊びに行った。

第一子のリーシャちゃんと軽く遊び、聖女と軽く雑談をする。

第二子エルス君の寝顔を見ながら出産祝いのブレスレットを送る。

帰りに夕飯をいただき、勇者とリーシャちゃんと三人で近場の入浴施設に行った。

子供は元気でいい。立て続けに出産した聖女がちょっと心配だったが、体調、精神面共に良好なようで安心した。


夜泣きも少ないらしい。よかった。


6月31日 晴れ

作成したローブと杖は表に出せないので家に隠しておくことにする。

どこにしようかな……そうそう、杖に新しく【打撃威力増加】の付与をした。


7月25日 晴れ

ローブと杖は一番奥の本棚の裏に隠しておくことにした。

これでいいだろう。ところで、年寄りには本棚の移動が堪える。


8月30日 くもり

だんだんと体の動きが鈍くなってきた。多分寿命に着々と近づいているのだろう。

死後のことについて勇者に指示した。これで安心だろう。


9月2日 くもり

ついに寝たきりになってしまったが、幸いにもモリビトは完成および配置済みだし、上半身が動くから趣味の読書はできる。よかった……のだろうか。まあ、結果オーライと言うやつだろう。


(日記はここで途切れている)

ーーーーーーーーー


しばし黙祷。

おそらく大賢者は死んだのだろう。日記の通りなら老衰で。

だが大賢者は死ぬ直前に有益なことをしてくれた。いいローブと杖があるようだな。


それを借りていくと言う意味でも黙祷。


南無………



さて、一番奥の本棚の裏だって書いてあったよな?


ここか……よく見たら引きずったような跡があるな。大賢者が開けた時のものだろう。

「よいしょっ……っと」

おお……奥には石の階段があるな……進んでみるか。


***


ここか…‥石の壁に囲まれた空間。【暗視】があるからいいものの、真っ暗だな。

ん?奥になんか……微かに輝いて見えるものがあるぞ?行ってみるか。

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