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拓海のホルン  作者: 鈴木貴
エピローグ
131/132

131.駆け抜けた夏—コンクールとそのあと

次の日、俺は熱を出した。


39.5度——急激な発熱。


受診したら、インフルだった。

すぐに処方してもらった薬を服用し、 熱はすぐに下がり快方に向かった。


夏休みらしい夏休みは、これからか。

父さんは、9月から日本に戻ってくることになった。

もっと早く帰国の希望を出していたらしい。

どうやら——俺が不登校になったあたりで、 強引にでも一時帰国しようとしていたらしい。

しかし、いろいろと調整がつかず、どうにもならなかったとのことだった。


「拓海、すごいなあ。

楽器初めてだったのに、コンクールに出て金賞とは。

演奏の良し悪しは分からないけど——涙が出た。

良かったよ。

どの学校よりも、拓海の学校が一番良かった。

その証拠に——金賞だっただろ?」


父さんはよくしゃべった。

「うーん、実はさ——俺はあまり実感ないんだよ。

サッカーとかだったら——シュートした、アシストした っていう手応えがあるんだけど——。

みんなでステージに立つって、それがどう響いて評価されたのか——。

言葉で聞いたけど、まだ実感がわかなくて……。

先輩たちが化け物レベルでうまいんだ。

それに——なんとなく合わせてもらったって感じなんだ。」


「まあ、そういう謙虚な姿勢も良かったんだろうな。

きっと——そういうのも演奏に出ていたと思うぞ。

父さんが聞いても—— 『なんじゃ、この学校の演奏は?』って思う学校もあったから。」


「マジか?」


「うん。

拓海の学校は——とにかく良かったぞ。」


「ありがとう。」


気持ちが緩んだ。

認められて、安心した——。


不登校の時は——無視されて、認められないことが辛かったんだ。

吹部——入って良かった。


まだ体がだるい——。

蓄積疲労なのか、インフルのせいなのか——。

スポーツドリンクを飲んで、 またベッドに入る。


残りの夏休み。

1年吹部男子で——藤井の家で1日ゲーム合宿したり、

黒沢の通っているサッカースクールで、 元Jリーガーにサッカー指導を受けたり——。

本気のミニ試合でほめられて、だいぶご機嫌になったり。

そして——帰ってきた父さんの体形を本気でどうにかしたくて、 近所のチョコザップへ連行。無料体験させたりした。


特に遠出をしたりはなく——。


そんな夏休みだった。

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