第53話 言い合い
学校にはスクールカーストってのが実在する。
誰が決めた訳でも無い。
自然と出来たみたいでそれは気が付いたら当たり前にあった。
アタシはカーストなんて興味無い。
誰が上で下だとか誰が綺麗で可愛いでカッコいいとか誰がぶすでダサいとか死ぬ程どーでも良い。
冗談抜きでアタシはアタシが中心で世界が回ってる位に思ってるしアタシ以外は割と本気どどーでも良い。
空音や花織は友達だ。
この子らもアタシと近い考え方をしてる。
中学の時にテキトーに話し掛けてたらそれが直ぐにわかって仲良くなった。
周りの空気みたいな奴等と違う。
なんてゆーのかな?
自分を持ってる…そんな感じの奴等だ。
だから今に至るまで友達をやっていられてるってワケ!
気が付いたら中学と高校でアタシ等3人はそのカーストで上の方にいる女子グループになっていた。
昔から光沢とかの派閥グループからよく誘われてたけど誰も靡いたりはしなかった。
トーゼンでしょ?
だってつまらなそうだしダルいもん。
そんなこんなでテキトーに今まで生きて来たんだけどアタシの望む望まないとかカンケー無しにアタシに媚びてくる忠犬みたいな奴等がいる。
ニコニコ笑ってアタシ等3人…特に空音に気に入られたいって欲が透けて見える連中。
光沢派閥から流れて来た奴等も結構多い。
アタシは今回コイツ等を使ってみる事にした。
別に大した事は言わない。
ただ一言。
「噂で聞いたんだけどさ?真野と光沢って出来てんのってマ?」
って聞いただけ。
するとみんな目の色変えて探り出した。
数日もすればワラワラと噂話が教室の中に流れ出した。
そんな感じで真野と光沢が裏で付き合ってる。
真野は田辺っちがいるのに浮気してる。
元々の光沢の悪評も手伝って噂はより酷い形で伝播していった。
そんなある日の事。
「少し良いかな?田辺君」
「へ!!?ま…真野さん…?」
真野奏が田辺っちに話掛けてきた。
表情からかなり焦ってるみたいだな。
「葉に何か用な訳?」
「えっ?」
「あっ!別に葉と用でオヤジギャグとかじゃないからねぇ〜えへへ〜」
ヘラヘラとつまんねーオヤジギャグを交えて相手を挑発する。
相手を苛つかせて墓穴を掘らせる為にしたけど多分アタシも苛ついてるんだろーな。
「わっ、私は田辺君に用があるんです!貴方には関係ありません」
「え〜別にいいじゃん?アタシと田辺っちは友達なんだからさ〜」
「あ…阿久利さん…」
田辺っちがアタシと真野の間で狼狽えてる。
ホント、チワワみたいな奴だな〜。
「わっ、私はただ田辺君とちゃんと話合いをですね!」
「な〜にが話合いだよ?今更過ぎて笑える!」
「だから貴方には!」
「浮気して振ったんでしょ?アンタ」
「ちがっ!?」
少し耳を傾ければ聞こえてくる聞こえてくる。
地獄耳のコイツには殊更聞こえてるだろう。
自分を卑下する話し声が。
ホントっ!今更だよねー
自分が悪者になってるってまだ気がついてないのかな?
アレ絶対田辺君とより戻して無かった事にしたいとかだよね? 無かった事にって何を?
そんなん浮気に決まってんじゃん!
しかしここまで厚かましいと逆に尊敬するよね?
ホント!ここまで来ると逆に尊敬するよねマジで!
そんな話し声が。
見る見る顔色が悪くなる真野。
そんな真野に田辺っちは以前から思っていた事を言い放った。
「真野さん。」
「え…?」
「僕と別れて欲しい!」
「は…?何でよ?」
「だって真野そんは僕を煩わしく思ってるんでしょ?僕も真野さんから適当に扱われて…辛いんだよ、だから別れたい。」
「はあ!?なっ何よそれ!貴方が先に告白してきたんでしよ!?なのに一方的に別れたいってなんなのそれ!?」
「……、よく言えるよね…君は光沢君に僕の愚痴を散々いって別れたいって言ってたんだろ?良かったじゃないか!願いがかなって!」
「あっ!貴方ねぇ!!貴方がそんなんだから!!」
「そんなんだから…なんだよ?」
「ひぐっ!?」
アタシは我慢出来なくて割り込んじまった。
あんまりにも身勝手なモノの言い方に腹が立ってしょうがない。
「アンタからすれば田辺っちは身勝手な理屈を振りかざしてるのかもしれないがアタシから言わせれば身勝手で我儘なのはお前だよ…真野。」
「私の何処が身勝手だって言うのよ!!」
「はあ?アンタそれマジで言ってるの?マジヤバじゃん」
「ぐぅ〜!」
真野と田辺、そして阿久利の言い合いを見ていた教室内のクラスメイトの真野に対する目は益々と冷たく鋭利な物へと変わっていく。
人の憎悪、侮蔑…それらを敏感に感じ取った彼女は居た堪れなくなり教室を走って逃げ出した。
足って逃げ出して行き着く先に救いなんてないのにソレがあると信じて彼女は駆け出した。




