第11話 友人
教室の中はガヤガヤとした騒音でいっぱいだ。
誰も彼もが自分本意に騒ぐ事を止めない。
別に授業中でもなければ先生とかに止められているわけでも無いので僕がとやかく言うモノでもない。
いつも通りの事だし普段なら僕も何とも思わなない。
しかし…しかしだ。
それが自分を中心に起きている事象なら話は変わってくる訳だ。
朝、空音と登校した僕は教室に入るなりクラスメイトほぼ全員の視線と興味の対象となった。
正直少し考えれば直ぐに分かるオチだった。
くどい様だけど空音はクラスでは人気があるし外クラスからの人気もそこそこある。
そんな空音と一緒に登校なんてすればこうなるのは火を見るより明らかでこうなる事を全く予想出来てなかった自分の間抜けぶりに呆れるしかない。
特に中心的に騒いでるのが空音の友達の2人。
阿久利未音と朝咲花織 の2人だ。
「おーおーなんだよなんだよ〜このこの!愛しの圭君と今日はご一緒に登校かぁ〜?このこの」
「うざい…」
「ふふ、オネーサンも空音にゃんが幸せそうで嬉しーわぁ!」
「だからアンタ同いでしょ?…はぁ…」
基本的に空音はクラス内では人気の高い女子だがカースト順位として見れば別に上位トップとかでは無い。
厳密に言えばそういう上下関係に興味が無いらしく諸々面倒くさいから一匹狼を貫いてるらしい。
そんな空音に良く絡みにいってるのが阿久利さんと朝咲さんの2人だ。
この2人の前では空音の面倒くさいから近づくなオーラも幾分かは弱まる。
友達として見てるから警戒を解いてるのか、はたまた押し切られて面倒になり好きにさせてるだけなのか僕に分かるわけもない。
まぁそんな事はどうだって良いんだ、この2人が騒ぐせいでよりクラス内に僕と空音の関係を勘ぐる連中が増えてヤバい。
「結局圭君は何で休んでたわけぇ?」
「ただの体調不良だった、しんど過ぎて連絡も出来なかったみたい」
「え?それってマズくないの?オネーサン心配だわ〜」
「あぁ、もう大丈夫、現にああして登校してるしね」
「なら空音も安心だね!」
「は?別に心配とかしてねーし」
「空音のツンデレいただきました〜」
「もう空音ちゃんたら可愛い!」
「はあ…もうヤダ…こいつら話聞かないじゃん…」
ワイワイと騒ぐかしましギャル達。
それを自分の席から遠巻きに見る僕に話しかけてくる奴がいた。
隣の席の友人、相田君だ。
「よ!なんか朝から元気ないな?」
「そ、そんな事ないよ…」
「はは、まぁあんまり無理すんなよ?病み上がりなんだろ?」
「あはは…」
言えない…片思いしていた近所のお姉さん相手に失恋してショックで寝込んでいただけなんて…。
「でも羨ましい奴だなぁ〜!あの雪坂さんと一緒に登校なんてさ!」
「いや別に…ただの幼馴染なだけだし」
「いやいやお前!美人でタメの幼馴染なんて普通いないぜ?天文学的確率だぜ?かー!羨ましいな!」
「そ…そんな良いもんじゃ…」
「ウンウンわかるぜ!皆まで言うな!」
「いやいや…全然分かってないから…」
相田君は一見すればチャラ男な見た目をしている。
髪も染めて茶色だし制服も着崩していて僕みたいな卑屈男子とは真逆の存在だけど話上手なのか話ていても疲れないし接しやすい。
これがコミュ力と言う奴なのだろう。
そんな友人と他愛もない会話をしている僕を盗み見ながら強い増悪の視線を向ける連中がいる事に僕は気付けずにいた。




