シャボン玉飛んだ
「シャボン玉飛んだ〜屋根まで飛んだ──」
そんなふうに歌いながら、近所の公園でシャボン玉をふく。
すると、いつのまにか私の意識はシャボン玉へ移り変わっていた。
雲の上から見下ろす街は、何度見ても綺麗だった。
おばあちゃんにも、見せてあげたいなぁ。
そう考えていると、シャボン玉は弾けて消えた。
数日前、初めてシャボン玉をふいたときから、こんな風になった。
とても綺麗な景色は、心に安らぎを与えてくれる。
そして、嫌なことも忘れちゃう。
だから、毎日こうして、シャボン玉をふく。
「シャボン玉飛んだ──」
夕陽に照らされた遠くの景色は絶景と言える。テレビで見るよりもっと綺麗だ。
あの山の向こうには、何があるんだろう。
おばあちゃんが生きてたら、一緒に行けたのかな。
「シャボン玉飛んだ──」
頬に走る痛みも消えて、月明かりに照らされる。
この前よりももっと、地面に近い気がする。
もっと、おばあちゃんに会えに行ける場所まで飛んで行きたい。
「シャボン玉、飛んだ──」
流れる赤い水も気にしなくていい。
ただふわふわ屋根の辺りを飛んでいるだけで幸せだった。でも、もっと空に飛びたい。
おばあちゃんに……。
おばあちゃん?って誰だっけ。
「シャボン、玉。飛んだ──」
いつも見ている高さまでしか飛ばなくなっちゃった。
もっとふいてもっと飛びたい。
もっとふかなきゃ。
もっと、もっと。
最初みたいに空高く。
弾けて消えた。
逃げる方法すらも、体を壊す。




