最強なら、悪役で - 兄弟喧嘩なら、よそでやってくれ
実は終盤の突入している異世界ファンタジーです。
大きな門と、警戒し切っている二人の門番の前で、
桜と女神が、仲良く一緒に吐いている。
やはりあの速度で走るのは応えるのだろう。
キラキラが水溜まりのようになったぐらいの時。
警戒した門番が槍を持って近づいてきた。
「お…お前ら、誰だ!」
もう一人の門番が、ゆっくり近づいて、優しく話す。
「すまない。先ほど勇者結界に異常が起きてな。他の国とも連絡が取れず空気がピリついているんだ。君たちはどこから?もしかして異世界人?」
それに、げっそりした桜が答える。
「向こうの国から来た。国は平気。人は生き残ってる。」
「情報ありがとう。体調がすぐれない様だから、宿で休むといい。体調が良くなったら、城に行って、勇者王子に今のことを直接教えてくれ。門番で忙しいからな。」
そういい終わると、槍を構えた門番も槍を納め、定位置に戻る。
「ご都合展開すぎない?」
と女神が聞く。
「この世界の主人公は、王道RPGの主人公だから。」
桜はそう答えた。
城下町に入った桜は、休んでいる暇なんか無いと言わんばかりに、女神の手を引っ張って一直線に、そして全速力で城に向かう。
城の門番がどうやってそのことを知ったのかは知らないが、桜のことを国の生き残りだと分かっていて、城へ入れてくれた。
城に入った時、RPGなら城の中をぐるぐるして壺を割ったりタンスを開けたりするところだが、桜はすぐに王室へ向かう。
王室に入ると、勇者と思わしき王子と、その妻の王女が王座に座っていた。
桜は笑顔でゆっくりと近づく。
「私が、隣の国から来た旅人です。」
「おお!あの国から来た旅人か!連絡が取れなくて心配していたんだ!」
桜はまたゆっくりと近づく。
「ええ、あの国は無事ですよ。」
オドオドしている女神を他所目に、桜はまた近づく。
……王子の前で髪がオドオドしているのはおかしい気がするが。
「それでは、少し失礼。」
桜は、ナイフを投げる。
目で捉える事が出来ないほどの速度で。
人間には出来ないが、レベルが10高い桜には容易いことだった。
何も気づいてない王子、もとい主人公にナイフが刺さろうとした時。
岩が床から生えてきて、ナイフを邪魔する。
その岩はすぐに牢屋の形を取って、王子と王女を捕える。
「何をする!」
桜が牢屋に入れたと思った王子は、怒鳴り声を上げる。
しかし当然ながら、それは桜の仕業では無い。
「そんなに簡単に主人公を倒せると思ったか?」
あの声が聞こえた。
「思わない。必ずお兄ちゃんが、阻止すると思った。」
桜が見る先には、桜の兄と、女神の姉が飛んでいた。
「邪魔だな。」
と、桜の兄が言った瞬間。
城が、城下町が更地になった。
岩一つない、更地になった。
王子は何が起きたのか、わからなかった。
王女の安否を確認しようと、隣を見た。
そこにはただ、砂埃が飛んでいた。
ちなみに女神は頭から地面に突っ込んでいて、王子以上に何が起きているのかわかっていなかった。
続く……




