最強なら、悪役で - 勝負は、兄妹とで
ちょこっと情報量の多い異世界ファンタジーです。
天国に帰ってきた桜と女神は、回転寿司に来ていた。
ぐるぐると回る寿司が、見ものである。
女神が箸を取り、マグロを口にする。
「──っ!美味しぃ〜!」
主に桜のせいで精神が削られている女神は、普段より何倍も食事を美味しく感じている。
桜も黙々とサーモンを食べているが、久々の故郷の料理だからか、人を殺す時ぐらい幸せな顔になっている。
「こんなに安いのに美味しく食べられるなんていいお店ね!」
「誰が作ったの?」
「おそらく天国に行った日本人でしょうね〜。天国ではある程度自由に色々できるし。」
そんな感じに話している時、誰かが桜に声をかけてきた。
「貴方が、最近噂のサイコパスですね?」
そちら側を見ると、綺麗な顔立ちをした女性が立っていた。
どことなく女神と似ているが、風格が違う。
「どちら様?」
桜が、そう聞いた時、ようやく女性を見た女神が、飲んでいたお茶を吹き出した。
「姉様!?」
「元気ですか?」
「ま…まあ……ね。ところで何しに来たのよ?」
「勝負を、持ちかけようかと思いましてね。」
「勝負?」
と、桜が聞いた。
「はい。貴方は世界を2個消したらしいですね。そのサイコパスっぷりはかなり広まっていますよ。でも、世界を消すのは貴方たちだけじゃありません。私達もその仕事をしているのですよ。だから次の世界でどちらが人間を多く殺せるかを競い合いましょう。」
いつの間にか寿司を頼んでいた女神が、それを飲み込んでから聞く。
「でも姉様だけじゃ無理じゃない?昔から非力だったし。」
「仲間を、用意したのですよ。」
そう言った時、女神の姉の後ろから、緑色のパーカーを身に纏った少年が顔を覗かせる。
その姿を見た女神は、嫌な予感がした。
「あ、お兄ちゃん。」と、桜が言った。
「お、やっほー。」少年が返す。
女神はため息をついた。何せ目の前で桜が増えたと同じような事が起きたからだ。
「あら。お二人は兄弟だったのですね。」
と、女神の姉が笑う。
まだ兄の方はしっかりしているかもしれないと、女神は希望を持つ。
「人間パチンコっていうのを作った。お兄ちゃんは?」
「俺は人間が球の卓球を作った。考える事やっぱ一緒だなぁ〜!」
その希望は5秒のうちに砕け散った。
「では、こちらにルール説明と世界の情報を書いてあるので、確認してくださいね。」
「またな〜。」
そう言って、女神の姉と、桜の兄は去っていった。
○
たらふく寿司を食べて、女神の家に帰る途中。
女神は貰った紙を読んでいた。
「えーっと?普通の人間を殺せば1ポイント。英雄を殺せば50ポイント。主人公を殺せば500ポイントね。強いスキルを買って対策しなきゃ。どんなスキルを買おうかしら?」
と、女神が桜の方を見る。
そこには桜がいなかった。
「え!?どこ行った!?」
辺りを探すが、どこにもいない。
まさか逃げた!?とまで考え始めた頃。
「ありがとうございました〜!」
と、女神の近くの店から、桜が出てきた。
その手には、猫がいた。
真っ黒な毛を持った、猫だ。
「どこ行ってたのよ〜!」
「この子を買いに。」
桜は猫を持ち上げて、女神に見せる。
その可愛さに、魅了された女神が、そーっと頭を撫でようとする。
しかし猫は女神の顔を引っ掻いた。
「いったぁぁぁ!何すんのよ!というかそのお金はどのお金なのよ!」
「給料。」
「あああああ!」と、桜の回答に女神は頭を抱える。
こんなので勝てるのだろうか。
と、思っていた時。
「あ。」
その桜の声に、物凄く嫌な予感がした。
目を開くと、桜の手に乗っていた猫が、肉塊になっていた。
「何もしてないのに、壊れちゃった。」
「きゃああああああ!」
全身全霊を込めたくらいの、悲鳴を発する。
その肉塊の上に、猫の魂が出てくる。
それを桜が掴んで、何かをし始めた。
「できた。」
そうやって桜が見せたのは、猫の姿をした魂のアンデットだった。
「計画通り。」
桜は、珍しく少し焦っていた。
続く……




