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……。
……。
……重い。
重力が何倍にも増したように、体が重い。
そして、暗い。
あたり一面、わずかの光も差し込まず、目を開けているかどうかもわからないほどに、暗い。
倒れていた体をゆっくりと起こす。体には、気怠い重さはあるが痛みはない。
──私は、どうしたんだろう……。ここはどこだ……?
自分の手足も見えないこの闇の中、意味があるとは思えなかったが、あたりを一周──したかもわからない──ぐるりと見渡してみた。
……何もない。本当にただ、黒しかない。
怯えながらも、何度か大声で「おーい!」と誰にともなく呼び掛けてみるが、声は反響するでもなく闇に溶け込んだ。その現象は、この場所がどういった場所なのかをより不明確なものにさせた。
生まれて初めて体験した真の暗闇に、私の心は極限まで萎縮させられ、しゃがみ込んだまま腕を前に突き出して、小さな箱に入れられたハツカネズミのような動きで、落ち着きなく空間と床を探っていた。
周辺に何もないことがわかると、今度は耳を澄ましてみた。微動だにせず、神経を耳に集中させて、何か音がないか探ってみた。しかし聞こえるのは、鳴り止まない耳鳴りの音だけだった。
もう一度「おーい!」と声を出してみたが、やはり響きもせずに消えてしまう。
……どうしたものだろう。このままじっとして、何か変化が起こるかもしれないのを待つか。だが、いつまで経っても何も起こらなかったら? ……永遠に、ここに閉じ込められたままだ。
少し考えて立ち上がった私は、恐る恐る右足を一歩だけ踏み出してみる。……柔らかい。先ほど手で触っただけではわからなかった。このまま床に飲み込まれてしまうかと思ったが、徐々に体重をかけると、たぶん足首あたりまで沈んだであろうところで、ようやく硬さを感じた。左足も同じようにして前に出しても、伝わってくる感触は変わらなかった。何とか歩くことはできそうだ。
──とにかく、出口のようなものがないか探そう。
私は、さっきのように腕を前に突き出したまま、ゆっくりと歩きはじめた。




