異世界で頑張ります(2) ~リオン目線~
一ヶ月程前三人目の子が産まれた。女の子だった。自分で言うのもなんだが可愛くて目に入れても痛くない程溺愛している。
朝別れるのが辛くて夕方戻る頃にはソワソワして落ち着かない。
ああ、今頃何をしてるんだろう。ねんねかな?お乳をもらってるのかな?それとも、それとも・・・。
一人でおかしな動きをしていたせいかアクアに白い目で見られていた。
「っんんん」
会いたいものは仕方ないじゃないか!お前だって会いたいだろう!近くに居てるのに離れているのが辛いよ!ああぁぁぁ、会いたい!ティアから会いに来てくれないかな?こっそり会いに行こうかな?今ならお客さんも居ないみたいだし行けるかな?
「すみません、これください」
「はーい、いらっしゃいませ」
あっ、居たんだ。
「もう、しっかりしてよ父さん」
「うん」
アクアに注意されため息をついた。そしてつい先日エリーに言われた事を思い出した。
「今日精霊が遊びに来てくれてティアと仲良くなったみたいなの」
そう言われて俺は衝撃を受けた。この国には精霊が見える者、見えない者、恩恵を受ける者、そうでない者と居るが好かれることに問題はない。
うんうん、分かる分かる!ウチの子は可愛いし精霊が好きになっても仕方ないよな!でもティアを一番好きなのは俺だし誰にも負けない!きっとティアも俺の事が一番好きだよな!ああ、俺の天使!その柔らかな頬っぺたをスリスリしたい!笑顔をいっぱい見せてほしい!
「父さん、顔がだらしないことになってるよ」
接客の終わったアクアに呆れたように言われた。
はっ!ええっと何の話だったか?そうそう。ティアが精霊に好かれたことだった。そう、好かれる事に問題はない。俺とアクアも連れている。ただ心配な事があるだけ・・・。実はティアの眼の色が紫なんだ。
え?それがどうした?綺麗な色ね。珍しい色なの?そうなんだ!綺麗な色でとても可愛くて似合ってるんだ!実は困ったことに珍し過ぎる色なんだ。
この国で紫の眼をしている人は王家にしか存在しない。それも稀に産まれてくるのであって滅多に居ないらしい。今は王子が一人そうらしい。
後問題なのは魔族も紫ということだ。ティアは間違いなく俺の子だから魔族とも関係ないが人間の中には彼らを恐れている者が多数居てるので人前に出すのは難しい。
なのでなにかあっても守ってやれるように(何事もないように)マリンが学校を卒業する頃合いを見て王都から辺境の村に引っ越すことを考えている。
それまで後二ヶ月程何も起こらないように願いながら・・・。
──────────。
あれから引っ越しをし、四年が経った。ティアも随分と話せるようになった。
紫の眼のせいかティアの魔力は高く精霊の恩恵も受けているようだ。紫の眼を誰にも見られるわけにいかないので友達を作らせてやることはできないが文句も言わず理解してくれている。
「パパンがしんぱいしてくれてることわかってるからだいじょうぶだよ」
「ティア!」
ああ、もう本当にウチの子は可愛いな!ギューっと抱き締めるとティアがグエッと鳴いた。
「ごめん、ごめん」
「だいじょうぶ。みんなともりにあそびにいってくるね」
「ああ、あまり遠くに行かないようにね」
「はーい」
「行っておいで」
いってきますと手を振りながらティアが走っていく。
「リオン」
「今行くよ」
エリーに呼ばれて店に行った。
「浮かない顔してどうしたの」
そんな顔してるのかと一つ息を吐き答えた。
「いや、ティアのことを考えてた」
「ティアのこと?」
「ああ、可哀想なことしてるなと思って」
「そうね。でもあの子も小さいなりにちゃんと理解しているし、あの子を守ってやらないといけないから」
「そうだな。その為に頑張らないとな」
「ええ」
まだまだ心配は尽きないけどこのまま何事もなく育ってほしいと願うばかりだ。




