新天地で頑張ります(5)
「・・さっきのがなければ感動するところなんだろうけどな」
「うっっ!ごめんなさい」
「ああ、勝手に何処かに行ったりしない。お前の家族にも頼まれたしな」
「あと、みんなのことおまえとかこいつじゃなくちゃんと名まえでよんでね」
「分かった」
「やくそくだよ!」
そう言って暁の脚にギュウっと抱き付いた。
「お前は直ぐに抱き付くんだな」
「おまえって言った。パパンにはよくだきつかれたしにぃにには自分からだきついてたから。けっこうするね」
「お前達家族は仲が良いもんな」
またもやお前と呼ばれたが今度は口に出さずジーッと見続けた。少したじろいでいる様に見える。
(はー。美形ってどんな時でもいけてるわ。多少引きつっても変顔になる訳じゃないし。あー、でも美形の面白い顔ってのも見てみたいかも。どんな感じになるのかな?一度お願いしてやってもらおうかな。まあ断られるだろうけどね。何かいい手はないかな?)
「・・・ィア」
ん?今もしかして名前呼んだの?
「もういっかい」
「ティ・・ティア」
「うん!」
やっと呼んでくれた。嬉しかったのでまたもやギュウっと抱き付いた。役得だね。えへへっと笑うと何だよと言いながら笑ってくれた。
暁が一緒に来てくれて良かった。わたしは甘えん坊だから大人の人が居てくれるとやっぱり安心できる。そう言えば暁って大人なのかな?
「ねえ、暁って何さいなの?」
「十七だな」
「へー、にぃにといっしょなんだ」
「そっか。お前の兄ちゃんと。ティアのこと過保護にし過ぎだよな」
「うふふ、大すきなにぃになの!」
「ああ、そうだな」
暁は家族の話しになると微妙な反応をするときがある。家族に抵抗があるのか寂しいのかよく分からないけど。
「ちなみに暁は、今日からわたしのあいするだんなさまだよ。わすれないでね」
「・・・忘れた」
「ひどい!」
「大体無理があるだろ」
「えー、十二さいさくらい大じょうぶだよ」
「見た目が大丈夫じゃない!」
「大きくなるまほうとかないのかな?ねえ、十夜大きくなる方ほうない?」
ティアは暁から離れ精霊へと近寄っていった。
精霊達と戯れるティアを見ながら暁は思った。
(あいつはお気楽なのか気を遣ってくれてるのかよくわかんねえな。でもそれで助かってるとこもあるんだけどな。まだ小さな子供なのに、俺はあの頃どんなだったかな)
過去の自分を考えながら少し憂鬱な気持ちになった。
そんな暁をソルとステラがなんとも言えない気持ちで見つめていた。
精霊達と一緒に居たのでそんな二人に気付いたティアはその視線の先を追ってみると少し俯いた暁が居た。その顔はなんだか不安そうにも見えた。
(何を悩んでいるんだろう?)
「ねえ暁、ちょっとこっちにきてしゃがんで」
不思議そうにしながらもお願いをきいてくれた。そんな暁をギュウっと抱きしめた。
(正面から暁が立ったまま抱き付くと顔がとても恥ずかしい位置にいっちゃうんだよね。甘やかしてくれるけど自分からは甘えてこないし。まあ五歳の子に甘えるなんてしないだろうけどあんな顔されたらほっとけないよね)
「今度は何だ」
「あのね見た目子どもだし甘えんぼうだからたよりないかもしれないけど せいしんねんれいはもうちょっといってるから甘やかしてあげられるんだよ」
更に力を入れて暁を抱きしめた。
「・・何訳わかんねえこと言ってんだ。別に甘えたくない。それに苦しい」
「そう?じゃあわたしが甘えたいから甘やかして。ギュウっとしてよ」
「お前そんなんでよく一人で出て行こうと思ったな」
文句を言いながらも優しく抱き締めてくれた。
「ホントだよね。いっしょにって言ってくれた暁にはかんしゃしてるよ。ありがとう」
「ああ」
まだ始まったばかりのこの旅が苦しいだけのものにならないといいなと願った。
次の日の朝、昨日の雨は止んでいい天気になっていた。地面には水溜まりが残り泥々の状態だったけど先に進んで落ち着ける場所を早く探そうということになった。
しかしなかなかの大所帯になったな。一人二人居なくなっても気が付かなさそうだ。生まれた時から一緒に居る精霊達は特に危ないし。昨日契約しておいて良かった。
そんなことを考えてふと気が付いたがわたしと暁を結ぶものがない!
「ねえ暁、みんなみたいにまい子になったらたいへん!」
「は?」
焦ってちゃんと伝えることができず、訳が分からないと言う顔をしてる暁に言い直した。
「みんなとはけいやくしたからはぐれてもなんとかなるとおもうけど、暁とはぐれたらもう会えない気がする」
「言いたいことは分かった。そう言うことなら魔道具があるんじゃないか」
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