XⅢ.縁結びの神様
宗太郎と付き合って7ヶ月が経った。
「凜さん、初詣行きますよ。」
「宗太郎くん、ちょっと待ってね!」
「あれ、優子さん?」
「はい、凜オッケーよ。」
「宗太郎ー、開けていいよー」
「失礼しまーす。」
宗太郎は、わたしの振り袖姿を見て固まっていた。
「どう?可愛い?」
「はい、可愛いというか、綺麗です!」
「ふふ。」
「ほら、いってらっしゃい。」
「はい、行ってきます!」
今日は初詣に私達は恋愛の神様と呼ばれる川越市の氷川神社に行くことにした。
「渋滞しますから、とりあえず…電車で行こうと思うんですが」
「早く行こ!今日お芋食べたいなー!あとね、菓子屋横丁も行ってみたい!」
「ちゃんと予定に入ってますから安心してください」
2人で出かけることには慣れ始めていた。わたしよりも宗太郎の方が予定を立てるのが上手い。わたしの行動をしっかりと予想して予定を立ててくれる。
「じゃ、バス乗りますよ。」
「バスに2人で乗るの初めてだね!」
「そ、そうですね。」
宗太郎はわたしを座席に座らせて、その横に立っていた。
氷川神社に着くと、人でごった返していた。
「すごーい。」
「さ、お参りしようか。」
私達はお参りをして、おみくじを引き、お守りを買うことにした。
「凜さん、お参り2つですか?」
「え…あ、うん。」
「優子さんにですか?」
「もー、宗太郎にはすぐわかっちゃうね!」
「凜さんの考えていることなら、ほとんどわかりますよ」
「なんか、私が馬鹿みたいじゃん!」
「凜さんが素直だからですよ」
宗太郎の言葉には嘘偽りは無いと私には分かる。
「さ、菓子屋横丁行きましょうか。バスそろそろ来ますよ」
「うん。ありがと。」
「凜さん、足元気をつけてくださいね」
「わかってる。」
私達は川越観光をし、夕方に家に着いた。
「ただいま!」
「あら、早かったわね!」
「ママ!これ!恋のお守り!」
「優子さんにって一つ凜さんが買ってきたんですよ」
「ふふふ。ありがとう。縁結びの神様ですもんね。」
リビングで話していると、玄関が開く音がした。
「ほら、入って入って!」
「お邪魔させてもらうよ。」
男の人の声が聞こえてくる。
「優子、誠人が来たよ。」
「え、山邑さん!?!?」
ママより私の方がびっくりしてしまった。
「あけましておめでとう。」
「誠人くん、久しぶりね。」
「真由美ちゃんも元気そうだね。凜ちゃんも、宗太郎くんも。」
「は、はい!」
「今日は凜ちゃん素敵な格好してるね」
「ママが着せてくれたんです」
「優子、さすがだね。」
「誠人…今日はそんなこと言いに来たんじゃないだろ?」
「信一郎、ちょっとそれはまだ心の準備が…」
「さ、ご飯もうすぐでできるからくつろいでて。優子、凛ちゃんのお着替えお願いね。宗太郎、テーブルの準備お願いね」
「わかりました。」
宗太郎のお母さんが珍しく張り切って指示を出しているので、わたしはママを二階に連れて行った。
「ねえ、ママ?」
「なあに?」
「山邑さんとはどうなのっ?」
「どうなのって言われても…」
「離婚したばかりだからとか思っちゃダメだからね!」
「もー、凜ってば!もう!」
「山邑さんとあの日久々に会えて嬉しかったんでしょ?」
「そりゃ…はじめて付き合った人だもん。それに付き合いも長かったしね。」
「ママ、いい恋してきたんだね。」
「そうかな?」
「だって、パパと離婚する前より、明るくなったもん。」
「なんだか、若返ったみたいで楽しいの。」
「わたしは、ママが楽しい人生を送ってくれれば幸せだよ。」
「凜、ありがとう。」
着物を片付け、リビングに戻ると、テーブルの上にはたくさんの料理が並んでいた。
いつもテレビで見ているスーツを身にまとった山邑さんとは違い、おしゃれな私服を着こなす山邑さん。
「優子、ここに来て欲しいんだけど」
と、ママをソファに座らせる。
宗太郎がわたしの隣に寄ってきて、私たちは2人を少し遠くから見守る。
「19年前、いきなり別れることになってとってもショックだった。ずっと、優子のこと幸せにしようと思って、仕事も頑張ってたからさ。優子の24歳の時の誕生日からもう19年も経ったけど…俺はずっと優子のことだけを思ってた。あの日、これを渡すつもりだったんだ。」
そう言うと、山邑さんはポケットから婚約指輪を出した。
「でも、あの日の数日前…いきなりテレビであの人と結婚するって報道されてて…渡す前に優子は取られてしまった。もう、誰にも取られたくない。19年経ってしまったけど…俺と結婚してほしい。」
「え…結婚…?ねえ、これって夢?」
「ママ、夢じゃないよ。縁結びのお守り、役に立ったね」
わたしは、ママにそう言いながら、嬉しくて涙が止まらなかった。
宗太郎はそんな私を見て、肩を引き寄せた。
「優子、受け取ってくれるかな?」
「はい、よろこんで。」
ママの他に泣いているのはわたしだけだと思っていたら、2人の悲しい恋を知っている宗太郎のお母さんも感極まって泣いていた。
「誠人、よかったな。」
「やっと、19年待った甲斐があったかな。」
山邑さんは、泣いてるママをぎゅっと強く抱きしめていた。
「もう…泣かせないでよ!」
「優子、絶対に幸せにするから。凜ちゃんのことも。まだ未成年だしね。俺が一緒に見守っていくよ。」
「ありがとう。誠人。」
ママがとっても幸せそうな顔をしているのを久しぶりに見た気がして、本当の愛の深さを感じた。
「凜さん?」
「宗太郎…ありがとう」
「凜さんよりも先に…優子さんがファーストレディーになるかもしれないね」
「確かに。」
「母娘でファーストレディーになれたらいいね。」
「宗太郎もがんばはないとね。」
神様。
本当の愛って、こんなにも素敵なものなんですね。
1年前までのわたしには、こんな愛情は理解できなかった。
わたしの中の何かが一つ変わったような気がした。
そんな大学一年のお正月。
To be continued...
truthを読んでくださった皆さんへ
ついに、終わってしまいました。
が!しかし!
続編を執筆中でございます!
シリーズ化することにしました。
とっても好評で更新するたびに
新しい読者さんがいたり♡!
すごく嬉しいです(。・ω・。)!
今後は、もっともっと難しい話になるかもしれません。
しかし、truthでは真実の愛とはどういう形なのかを著していけたらいいと思います。
次回作は『truth〜歩〜』
これからも読んでくださると嬉しいです!
執筆活動、頑張って行こうとおもいます。
樋山 蓮




