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サーティンズ クロニクル  作者: 風風風虱
エピローグ
22/22

警備隊 北へ

バンナ達がジェシカを倒してから半年程たった頃、壊滅した第14師団の再編がようやく完了した。

バンナは中尉に昇進し、第107大隊第1中隊の中隊長になった。

演習終了後は少尉になる予定だったがジェシカ討伐の功が認められた為の特進だった。

ファラ、カナレも中尉になり、中隊を任されることになった。ただし、ファラもカナルもバンナとは違う師団配属されることになった。

パジャも中尉に昇進することになっていたが頑なに断り少尉になった。何でも、もう少しキーラの下で仕事がしたいというのが理由らしかった。


「はい。

受け渡しの物資はこれで全部です。

受け取りにサインを下さいな。」

バンナはパジャに渡された書類にサインをしてかえす。

「これからグリシャム大要塞にいくんでしょ。大変ね。」

「もともと、演習後に、今駐留している第26師団と交替する予定だったのがジェシカの件で半年もずれ込んだんだ。

大変だったのは26師団のほうだと思う。」

グリシャム大要塞は北の大魔素溜(グレートノード)から出現(ポップ)する魔物からハルトランサを守る要衝だった。要塞の守備隊とは別に三個師団が周辺地域に駐留していた。駐留部隊は半年単位で交替していたのだが、ジェシカ動乱で交替が遅れに遅れてた。

「わたし達の補給部隊は戻ってくる第26師団のほうに編入されるのでしばらくお別れね。」

グリシャム地域は専門の補給部隊が存在しており、通常の補給部隊は不要だった。そのため、補給部隊は戻ってくる師団に再編されるのが常だった。

「そうだな。これでみんな、離ればなれになるな。」

カナレは首都守備隊に編入され、ファラは西のマルガ大森林の方へ行くと聞いていた。

「まあ、親戚みたいなものだから、会う機会はこれからもいくらでもあるさ。」

「そうね。」

パジャは浮かない顔で答える。

「なにか心配事でもあるのか?」

「別になにもないわ。」

「ん?なんか機嫌悪そうだな。」

「そうね、悪いわ。」

パジャは微妙な間を置き、答える。

予想外の返され方をしてバンナは戸惑う。

「そ、そうなのか?」

「そうよ。きっとみんな不機嫌だと思う。」

「みんなって誰だ?」

「みんなはみんなよ。ファラやカナレ、他にもたくさんいる。」

「たくさんってなんでそんなにみんな、不機嫌なんだ。理由は?」

「バンナのせいかな。」

「・・・俺のせいなのか。俺がなにをした?」

「言わない。言っても分からないと思う。

だって、バンナだもの。」

軽くため息をつくとパジャは突然、敬礼をする。

「物資の引き渡し完了しました。

では、御武運を、バンナ中尉。」

「あ、ああ。ありがとう。」

パジャはクルリと身を翻すと振り向くこともなくそのまま、去っていく。

その後ろ姿を釈然としない顔でバンナは見送る。やはり、女の考えることはよくわからない、と内心思いながら。

「中尉、準備完了です。」

振り返ると数人の兵士が直立の姿勢で待機していた。バンナが率いる中隊の士官、下士官達だ。

士官達の背後には更に100人を超える部下がいた。

みな、バンナの次の命令を待っているのだ。

「よし、ブリーフィングの通りだ。

全隊、移動開始する。北へ!」

バンナは号令を下す。

まだ、見ぬグリシャムへ、そして、まだ見ぬ冒険に向けて。




2017/07/22 初稿

2017/07/23 エピローグを章として独立。それにともないサブタイトルも修正しました。


サーティンズクロニクルは、これにて一応の完結となります。

最後までお付き合い頂きありがとうございました。


今一つ世界観、キャラクターを消化できてないところが多々あったと反省しつつ、次回の糧にできればよいかなと考えております。

いつかバンナ達のその後(或いは過去)を書くこともあるかもしれません。

その時はまた、お付き合いの程を宜しくお願いいたします。

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