表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真実の結末  作者: 櫻塚森
勇者の結末
9/14

勇者はたった一人死んでいくはずだった。


死して、虎の愛する世界に戻り、生まれ、魔を追い払う存在になるはずだった。

しかし、勇者は恋をした。

育ってきた世界の人を愛してしまった。

間違った世界で生きる理由を自ら得てしまった。

稀なる力を秘めた勇者。

このまま勇者がこの世界に留まれば、その稀なる力は無意識に使われることなる。

“魔”を倒すことのできる力を失う訳にはいかなかった。

虎は、勇者を強制的に自分の愛する世界に連れてこようとした。


しかし、それを邪魔をした者がいた。


勇者に愛を教えた者だ。

愛を乞う勇者に必要なのは、神の代弁者である虎の愛のはずだったのに。

虎は、自分の作った世界を勇者に見せて、その世界に勇者を引きこむはずだった。

それをカノ者が邪魔をした。

虎は怒り、自分の目の前に現れた者に“帰れ”と告げた。

自分が欲するのは勇者だと。

勇者には自分の代わりに“魔”と戦ってもらわねばならないのだ。


勇者が愛するようにカノ者も勇者を愛していた。

愛する者が、自分の世界から消えるばかりか、戦いに身を投じなくてはならない。

その夢のような現実を知り、その者は言った。

『自分が勇者の代わりに戦う』と。

『自分から勇者を奪わないでくれ』と。

どんなことをしても“魔”を倒すから、勇者を危険に晒さないでくれと。


懇願するカノ者を虎は退けようとした。

しかし、虎の主人である神が動いた。

『お前の愛が真実ならば、勇者の代わりに戦ってみよ。だが、ただの人であるお前に“魔”は倒せず、お前は死に、勇者は戻すことになる。』

カノ者は、勇者とは違い、なんの力もないただの人。

それでも勇者を失いたくなかった。

神も虎もその者の強い思いと心に譲歩した。

『お前が、勇者にも誰にも、何も語らず、現実の世界での仕事をこなしながら、夢の中で“魔”を倒す旅を続けるならば、その日数毎に防御と攻撃の魔力を与えよう。』


カノ者は偽勇者として、虎の愛する世界に降り立った。


異世界の慣れない戦いは、カノ者の身体に無数の傷を作り、体力を消耗させていった。

現実の世界で何時もの通りに生活をし、夜寝ている間に異世界で“魔”を倒す。

ただの夢だと思っていたことが現実だと知った時、その者は勇者のために戦うことを改めて神に誓った。


本物の勇者ではないために、彼は疲弊していった。

心配する勇者に気遣うこともできないほどに・・・。


やがて、カノ者は“魔”に倒された。

偽者であったが故の当然の結果だった。


現実の世界の彼、武瑠が「勇者:冴」の目の前で倒れた。

心配停止となった武瑠と共に冴は救急車に乗り込んだ。

神に祈る。

彼を助けて欲しいと。

どんなに淋しくても冷たくされても彼を愛しているのだと。

そう祈った時、彼女は一匹の虎の前にいた。


虎は語る。

武瑠の真実を。

それを知り、冴は旅立ちを決意する。

彼を失うわけにはいかない。

彼を自由にしなければならないと。

「何か望みは?」

虎は問う。

「彼の中から私の記憶を消してください。彼がこの世界で生きやすいように、私以外の誰かを愛せるように・・・。」

冴は、治療が成されている武瑠を異空間から見ていた。

虎は頷き、冴の世界は閉じ、新たな扉が開いた。



おわり

よう分からん話になってもうた。

自分で自覚しておりますので、誹謗・中傷は受け付けません・・・勘弁してください。


お疲れ様でした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ