ライターみたいな魔道具 ー 火炎放射器みたいな魔道具
空を飛ぶ魔道具を十分楽しんだのでドックへ降り立つ。
あれ?
なんだか女の子が少し不機嫌。でもこの魔道具が無事なのがわかってすぐに笑顔に戻った。
で、女の子と色々と話す。
女の子の名前はメイクール・ラインフォード。
愛称はメイ。
ここから飛行機で大体30分くらい飛んだ所にある大陸の港町出身。
へー。
ちなみに俺は「異世界召喚された勇者です」とか言っても信じてもらえそうにないから「記憶喪失の漂流者」って事にした。
「ねえ、デンダ。あなたって鑑定士なの?」
鑑定士?
「色んな道具の効果を鑑定する人よ。デンダはなんか普通の鑑定士じゃなさそうだけど。」
俺は鑑定士って言うか修理工って感じだけどな。
「記憶喪失ながら鑑定士としての勘や知識はあるのかしら。試しにこの魔道具ちょっと見てみてよ。記憶が戻るかも。」
そう言って取り出したのは小さな杖。見た目はただの木でできた指揮棒みたいなの。これは……
デジカメでパシャっとしてみる。
おお、見た目は質素だがきめ細やかな内部構造。謎のバッテリーがあって、謎の機構で火を出す装置。
「これは……火をつける魔道具? スイッチはここか?」
手に持つ部分を少し押し込むとロウソクサイズの小さな火がついた。
「そう! これは火を灯す生活用の魔道具。元々知ってたのか、それとも一目みただけでわかったのか……どっちなのかしら。」
むーんと俺を見つめるメイ。ライターみたいな魔道具か。
「この魔道具は使ってたらだんだん火が小さくなっちゃって。他の鑑定士は故障だろうって言うんだけど。」
ふむふむ。
あっ、火力調節機能もあるみたい。
バッテリーは十分あるし火力を上げてみるか。こことここを長押しした後……杖を折るようにグルグル回して……最大まで上げて……これでよし。
じゃあスイッチON。
ブボオオオオオオオオ!!!
数メートルくらいの火が立ち上った。
「うおおおおおおお!!!」
「きゃああああああ!!!」
2人で驚いた。火の出る口を人のいない方向に向けてたから幸いケガは無かった。この火の魔道具ってライターくらいのもんかと思ったら火炎放射並の炎が出た。
しかもこれでもバッテリー消費は全体の2%ほどだし謎の機能でバッテリーは自動充電。だから実質、使い放題。
「メイ! スゲー魔道具持ってるんだな!」
「知らない知らない! こんなに炎が出るなんて私知らない!」
2人でアワアワした。
試しにもう一度火をつけてみる。
ボオオオオオオオオ!!!!
すごい勢いの炎が小さな杖から出た。
無反動でこんな炎が出るなんて。
これは生活用っていうか戦闘用の魔道具だな。
「どうしました!? マスター! 火事です!?」
バシャアアアアアア。カナコに水をかけられた。
「あれ? 火事じゃ無いです?」
俺とメイは2人とも濡れ鼠になった。
ーー
「すみません、マスター、メイ様。」
「いえ。どっちにしろ私は海に落ちてたし。へへへ。」
メイは戦艦内のシャワーを浴びて着替えた。
で、メカニック用の作業着とか女性用の下着とかが備品にあったんでそれをメイに着てもらった。
「何これ。すっごく動きやすい。」
作業用の服だからな。実用性重視だ。
「ねえ、デンダ、似合う?」
メイにそう聞かれた。
うん、金髪の髪をたくし上げた姿の作業着がすっごく似合ってる。でも作業着の前チャック部分が閉まらずに谷間が見える。
「ああ……似合ってるぞ。」
ちゃんとメイの目を見て言えた。
で、今は戦艦の食堂で一休み。
「ねえ、ねえ、デンダ。」
ナナに小声でつんつんされた。
「カナコってデンダの恋人?」
ぶっ。
「いや違う。カナコはロボットだ。」
「ロボットって?」
ロボットについて説明する。
カナコは機械の体で動いている存在なんだと。
「え〜? あっ、なるほど。そういう事ね。」
わかってくれたか。
「そういう体でカナコに接してってことでしょ? カナコは鉄の全身鎧を着てるってことね。」
ん?
「でもカナコの体すっごく細いよね。あっ、こういう話もしない方がいいって事だよね?」
えっ?
「人には色んな事情があるもんね。デンダ。」
なんか変な方向で理解されたみたい。
その後、メイといろいろ話してなんとかカナコは俺の恋人じゃない事はわかってもらえた。ロボットだって事をわかってもらえたかは微妙。
「そういや、魔道具っていったい何だ?」
ちょっと気になったので魔道具についてメイに聞いてみた。