メイの住む港町へ ー この魔道具を鑑定して頂けますか?
魔道具。
名前通り魔法の力が誰でも使える道具。ほとんどが古代の遺跡かダンジョンで手に入るらしい。強力な魔道具は貴重で国宝にもなっていると。
へー。
魔道具って取扱説明書とか無いの?と聞いてみたけど発掘品にそんなものが付いてるわけないと。
確かに。
という説明をメイの住む「港町」に向かいながら聞いていた。戦艦のある島から空を飛びながら。
「ほら、あそこに見えるのが私の住む港町ササーニシキよ。」
メイが指を指す先には陸地が見えた。
「もう少しで着くから我慢してね。」
今の俺はメイの運転する小型飛行機に万能工具の「フルハーネス安全帯」で吊るされている。万能工具のだからか少しも苦しくはない。
俺とメイはその港町に向かっているわけだが、そこに行く理由はメイに街へ行こうと誘われたから。
最初は戦艦の修理があるから断ろうと思った。でも街で改めてお礼をしたいとか街には色々な食べ物があるとか言われてついその気になってしまった。
「休暇を楽しんできてください! 戦艦の修理は私に任せて!」
とカナコも言ってくれたしな。船の修理に必要な消耗部品は全て万能工具の力であらかた出してあるし。
だからちょっとだけ羽を伸ばそうと思った。
で、着いた先は港町の波止場。いかつい半裸の男たちが帆船で荷の積み下ろしや掃除など、せっせと作業をしている。
「おっ! メイ嬢が帰ってきたぞ!」
「なっ!? しかも男連れだぜ!」
「そこそこ筋肉はある奴だが……」
海の男達にザワザワされた。
なんだ? メイ「嬢」?
でもメイは男達が騒ぐのを気にも留めていない。
「ほらこっちよ。デンダ。」
メイはそう俺に促した。波止場に置きっぱなしの小型飛行機は……、あっ、海の男達がシュバっと片付け始めた。メイって嬢とか呼ばれてるしもしかして偉い立場?
ーー
ナーロッパで見たような街並みをメイと歩く。するとなんだか通行人にチラチラ見られているような気がした。俺達2人とも場違いな作業着を着ているからか?
でもメイはそんな視線を気にも留めていない。
メイにとってはいつものことなのかな?
で、着いたのは大きめの建物。
「ただいまー。」
その大きな扉を開けると、
「お帰りなさい! お嬢様!」
これまたゴツい男に出向かえられた。
「お客様よ。ご案内して。」
「はい!」
俺は応接室みたいな所に案内された。
「こちらでお待ち下さい。」
ふかふかのソファーで1人待つ。周りを見るときらびやかな絵画や壺などの調度品がずらりと並んでいる。ここはメイの家だろうか?
建物の大きさから言えば「金持ってそうな家」だ。
で、少し待つとメイが来た。
1人の男と共に。その男はかなり背が高くてハンサムだった。
「娘を助けてくれたそうで。ありがとうございました。」
話を聞くとメイのパパとの事。
「初めまして。メイクールの父、パパス・ラインフォードです。」
少し強面ハンサムだけど笑顔で礼儀正しい。
「私共はこの街で商家を営んでおります。」
なるほど。メイの実家は商人さんか。確かに俺の勤めていた会社の営業さんもこんな感じの人当たりは良いが「線引き」をする笑顔だったな。
で、話はメイを助けた御礼から俺が記憶喪失の鑑定士だという話に。
「中々に大変でしょう。見知らぬ土地でお1人というのは。」
まあ、そうだな。海底に放り出されてモンスターみたいなのに追われた時はどうしようかと思ったけど万能工具のおかげでなんとかなってる。
「ところで相場の鑑定料をお支払いしますのでこの魔道具を鑑定して頂いてもよろしいですか?」
鑑定依頼がきた。パパスが取り出したのは木でできた「筒」のような魔道具。その魔道具を「デジカメ」で撮ってみる。
ただしパパスにはデジカメが見えないように。
(カナコのアドバイスだ。)
この魔道具は……、
「何かの飲料を出す魔道具? ここを押せば飲料が出るのか。」
「おお、こんなに早く見抜くとは! はい、実はこの魔道具、1日にコップ1杯の果実ジュースを出す、と言う事まではわかっていましてね。」
そう言ってパパスはコップをサッと取り出した。
受け取ったコップにジュースを注ぐと「どうぞ、飲んで下さい。」と言われた。
試しに飲んでみると爽やかな香りとまろやかな味のするリンゴジュースだった。これは美味い。あっという間に飲んでしまった。
そしてこの魔道具には他にも機能があるみたいなので確認してみると、
一つの機能に「1日に出せる量の調節」があった。現在値はどうやら最小の設定。この設定のせいで1日に1杯しか出せなかった模様。
調整して出せる量を増やしてみる。
やり方は……筒のある部分とある部分を長押ししつつ底の部分を撫でるように回す……。そうすると筒の周りの模様が少し変化した。
で、コップに注いでもう一杯飲んだ。
やっぱり美味しい。
「ムッ! デンダ殿! なぜ2杯目が!? 何かしましたか!?」
「なんで!? ……あっ! なにか魔道具のセッテイを変えたのね! デンダ!」
驚くパパスと察しが良いメイ。
最小の目盛りでコップ一杯だったから……設定を最大まで変えれば2リットル程度は出せそう。
で、この魔道具、ほかにも機能が一つある。その機能は「飲料切り替え」だった。リンゴジュース以外の飲み物に切り替えられるみたいだ。
しかもその種類は複数ある。
「他の飲料も飲めるみたいだぞ。」
「「えっ?」」
その他の飲料の1つを出してみると透き通るような透明の液体が出た。




