異世界神会議ですよ
「なんで違うって言うんですか!」
「俺は勇者じゃないって言ってるじゃないですか!」
面倒くさいぞこいつ!
「じゃあその剣は何処で手に入れたんですか?」
「作ったんですよ」
「は?」
「俺が自分で作ったんですよ!じゃあ俺腹へったから帰りますね!」
逃走成功。ま、その内また会うことになりそうだがな!
『問題先延ばしにしただけだな』
そうだけどさ……あのまま話してたらボロが出るって。
『もう大分遅いと思いますよ?』
え?あ、クラセントか。
『よっ』
『おはようございます。お話しは聞かせて頂きました。バレそうになったんですよね?』
『ま、こいつが挙動不審なせいで半分以上バレたも同然だけどな!』
俺だって頑張ったもん……。
『まぁまぁ。私の方で何とかします』
え!どうやって?
『………秘密の方法です』
………秘密?
『秘密です』
…………。
『………』
まぁ、その辺はいいや。頼んだぞ。ま、バレても特に問題はないんだけどな!
『了解しました。仰せのままに』
「極星様。おはようございます」
「お、レイラ。おはよ」
「フェント兄からの伝言は見ましたか?」
「え、そんなのあった?」
「ストレージご覧になりましたか?」
「ん?あ、ほんとだ」
フェントからの伝言……というか手紙が入っていた。取り出して見てみる。
「え」
「どうです?」
「俺は身に覚えがありません」
「ですよね?私もないのですが、どうも私達以外はあり得ないと言われまして」
そこには、勇者召喚用の魔方陣が元に戻っていたという報せだった。
「魔方陣を人間が再現したのか?いや、それにしたら迅速すぎるし、俺の魔力無しじゃ基本書けない筈」
あ、お前だったりする?
『そんなことに魔力使わねーよ』
だろうな。
「どうしますか?」
「また壊しに行くしかないかなぁ………でもそれやると次には俺が壊したってバレそう」
「極星様以外の魔力には反応しませんもんね」
「そうなんだよな……っていうかそう考えると益々この魔方陣元に戻した奴が誰なのか気になる」
俺が昔使ってた魔道具から魔力だけを抜いたのか?滅茶苦茶な技術力だな。不可能ではないけど。あ、判りにくい?簡単に言えばまだ飛行機もできてない時代に火星に行くみたいなもんかな!
無理でしょ?普通に考えたら。
「むー。考えれないな。神の仕業ってのも無いだろうし。っていうか、もしそうだったらフェントもこんな手紙寄越さないだろうし」
俺の魔力を操れる奴が居ることも驚きだしな。
「極星様の魔力って勝手に使うと暴発するんですよね?」
「うん。その筈なんだけどな」
危険きわまりないよ、俺の力は。
「ここまで来て急に消えたら怪しまれるかもしれないから移動できないしな。………最悪の場合はそうするしかないけども」
転移等は極力避けた方がいいし、世界間移動なんてもってのほかだ。どうするかな。
「取り合えずこの船が着くまでは天使に監視させよう。今は動くべきでもない気がするし」
「そうですね。フェント兄にもそう返事をしましょうか」
俺とレイラは直ぐに手紙を書き上げてストレージのフォルダに入れておいた。これでフェントも気付けるだろう。
「ご主人様。ご飯下さい」
「あ、もうそんな時間か。皆にも配ってくれ」
「はい」
サンドイッチの入ったバスケットを渡してゆっくりと揺れる部屋で仕事をする。結構急ぎのが多くて大変だけどな。
その中の9割は輪廻転生の為の魂の配属先。これ、かなり面倒臭い。この世で一番重要な物だけどな。
「ん?」
一枚の書類が目に留まった。これだけ紙質が違い、分厚い。
「………」
………。フェント。こういうのは別で俺に届けるようにしてくれ。
異世界神会議の緊急会議のお知らせだった。ははは。やっべえ!俺代表なのになんの準備もしてないし今気づかなかったら確実に遅刻してた‼
俺は少しフェントを恨みながらレイラを呼んだ。
「どうしましたか?」
「これが書類に混ざってたんだよ……」
「えっと、ってこれもうそろそろ出ないと遅刻しますよ!」
「そうなんだよね。何の準備もしてないんだよ……」
どうしましょ。
「フェント兄もなんで言わなかったんでしょうかね……準備手伝いますので急ぎましょう」
適当に必要なものをストレージから抜き出したり、まぁ、その他もろもろして即行で転移。もうこの際いいや。
それで、世界間移動でなんとかついた頃にはほぼ全員集まっていた。間に合ったよ、俺………。
「それでは緊急会議を始めます」
斜め前の席のラントがこっちを見てきた。顔を向けるとウィンクしてきた。背筋がゾッとした。
「今回の議題は、勇者召喚魔方陣についてなのですが、どなたか何があった等発表できる方はお願いします」
あ、ガッツリ俺にも関係ある話題だった。
「こっちの魔方陣が突然作動したよ。もう大慌てだった」
「俺のところもだ」
「私もそうよ。抑えるの大変だったわ」
え?俺のところと違うのか?
「代表は、何かありましたか?」
「俺のところは、以前人間が魔方陣を許可なしで使ってきたから寧ろ壊したんだ。でも昨日俺の魔力で修復されていた。魔方陣も俺が組んだやつだったよ」
さっき見てきた。ほぼトンボ返り状態だったけどな。
「代表の魔力を?」
「こっちの方が驚きだよ。暴発した様子もないし、俺の魔力をどこから調達したのかも気になるしな」
俺の言葉に周囲がざわつく。
「すこしいいか?魔方陣が勝手に作動した世界の最高神は手を上げてくれ」
ほとんど全員だな。
「他は?」
「此方はなにもなりませんでした」
「わしの所も同様じゃな」
「普段通りでしたよー」
んー。共通点………。
「ん?何もなかったって世界の所って下界不干渉が共通点か?」
「あ、確かにそうですねー」
「ふむ。だとすると下界干渉が鍵か」
でもそれでも、な………。
俺の世界では魔方陣が復活、他世界では作動、不干渉世界では普段通り。
「他に、兆候なんかを感じとったって事はないか?」
「「「…………」」」
「そうか。じゃあやはり突発的なものか……?各々、いつに作動したか報告してくれ」
バラバラだった。
「これも関係ない、かな……?」
「しかし、これだけの事態。やはり仕組まれたものとしか考えられませんな」
「あ、歪みは大丈夫だった?」
「「「大丈夫でしたよ………」」」
「ああ、まぁ……お疲れ」
ギリギリで押さえたな。
「でも、そう考えるとやっぱりこれは誰か一人がやったことだろうな」
「どういう事ですか?」
「推測だけどさ、さっき全員に時間聞いただろう?列べてみたらこうなったんだ」
創造の能力でカードを作り、時間順に列べる。
「ほら、近い順になっていて、ここからここは多分転移門使ったんだろうな」
「おお」
「そういうことですか!」
いや、気付くだろ普通。
「っていうかなんで不干渉のところは被害がなかったんだ?」
「多分下界にいる場合はその辺に気付きにくいと判断したんじゃないのか?上にいた方がこういうの見付けやすいし」
「おおー」
まぁでも。
「これ調べても意味無いんだけどね」
「何故ですか?」
「だって、犯人見つけても現行犯でもないから捕まえようがないし、捕まえたとしてもそっからどうするんだって話になるだろうからな」
「それはそうですが」
「だろ?だったら今のところ放置でいいだろう。歪みが響いてたら危険だけど皆抑えてくれたんだろ?」
「そうですが……」
「じゃあ問題ないじゃん?」
ここで犯人探ししても時間がもったいないだけ。これをやった人は何したいのか知らないけどな。
「取り合えず俺は自分の世界の魔方陣をもう一度壊しに行く。次勝手に復活した場合、俺に連絡が入るようにするつもりだ。そんときは現行犯逮捕すりゃいいだろ」
「そうですが、それで納得しない者もいます」
「そこは俺の管轄外だろ。俺の魔石を一年分でどうだ?」
「「「お願いします!」」」
買収っぽくなったけど、これでいい。下手に事を荒立てない方が良いしな。一応最高神達には自分の世界の神達にこの事を話し、絶対にやらせないように忠告させておくように言った。
俺の名前を出して圧力かければ多分大丈夫だろう。
ちなみに俺の魔石を一年分っていうのは、使い続けて一年持つ魔石の事だ。俺の魔力は無駄に質が良いらしく、妙に高値で取引されるらしい。
黙認してるけどな。あんまりやらないで欲しい気もする。
あ、この魔石では魔方陣とかは作ったり補充したりできないよ。だからこの魔石で勇者召喚魔方陣直された訳じゃない。念のため言っておくな。
「そういえばソルト達放置で来ちゃったな」
『レイラには言っただろ?』
言ったけど、なんで一言いわなかったとかなんとか言われそうだし……あ。魔方陣壊しにいかないと。
『がんば』
………面倒臭い。




