今更ながら風呂をでかく作りすぎてましたね
「失礼します」
「あの………なんで横に座るんです?」
「問題でも?」
「い、いえ。問題はないですけど」
椅子を素通りして俺の横に座ってきた。いやまぁ、別に良いんだけど。初対面で距離が近い。
「それでは質問させていただきます」
「あ、はい」
「貴方がこの事件が起こったのに気付いたのはいつですか?」
「朝起きたときですね。気付いたときには皆居なくなっていたので」
「そうですか。それでは質問に正直にはいかいいえでお答えください」
嘘発見器だ!いや、本当はもっと格好いい名前だけど。
「貴方は商人ギルドの計画に荷担していませんか?」
「はい」
「今回の首謀者と繋がっていませんか?」
「はい」
「嘘はないようですね。ありがとうございます」
終わるの早!早く終わるならそれに越したことないけど。
「一つお願いがあるのですが」
「何でしょうか?」
「声を………録音させて下さい!」
「………はい?」
何て言ったこの人?
「ですから、声を!録らせて下さい!」
「え。それはどういう事ですか」
「わ、私は声を集めるのが、その、趣味でして!」
「声収集家なんているんだ………」
寧ろそっちにビックリだわ。
「声を集めさせてください!」
「えっと」
「ちょっと隊長!また何かやってるんですか!?」
誰か入ってきた。
「あ、失礼します」
もう遅いっすよー。
「えっと、どなたでしょうか?」
「あ、はい!警備隊副隊長のジンと申します」
「副隊長でしたか。初めまして。冒険者の極星です」
一応頭を下げて自己紹介。
「キョクセイさん。隊長に何か言われましたか?」
「何か声を録音してくれって言われたんですけど」
「そうでしたか………隊長は綺麗な声を聞くと集めたがるんですよね」
その言い方だとある動物の習性みたいになってるぞ。
「はい。隊長。お仕事いきますよ!」
「ちょ、声を!録らせて下さぁぁぁ」
引き摺られてった。ご愁傷さまです。声?録らせませんよ。
「ご主人様!大丈夫ですか?」
「ソルト。俺は大丈夫だから安心しろ」
「ぼ、僕、ご主人様に、何かあったらと、心配で心配で……」
「大丈夫だって。俺は滅多なことないと死なないしな」
伸びをすると肩がポキポキっとなった。関節解さないとな。立ち上がってみる。問題ない。ちょっと跳んでみる。着地がちょっと不安だが問題ないだろう。
「さて、これからどうするんだ?」
エクストラブーツを履きながらレイラたちに聞く。
「今日でここを発ちますので、翔太さんを迎えに行って、買い出しもその途中で済ましましょう。ご主人様はどこか寄りたいところ等は?」
「俺はないな」
「じゃあ、行きましょうか」
部屋を魔法で一気に綺麗にし、迷惑料で5万テリ置いていくことにした。
「おーい」
「げっ!きょ、極星!」
「げってなんだよ」
翔太さん発見した。
「そ、その。えっと」
「昨夜か?」
「え、あ、うん………ごめん!」
はぁ………。
「別に良いけどさ。次からはちゃんと言えよ」
「お、怒らないのか?」
「俺は人間じゃないからな。性欲って言うものが無いんだよ」
「無いのか?」
「無い。全部そういった感覚は断ち切っている」
あっても邪魔なだけだし。俺は異性も勿論同性も興味が湧かない。
「レイラさんや蒼さんは極星にアタックしてるだろ?」
「アタックって………俺が特殊なだけだ。気にするな」
全く。色々あって面倒だなぁ。
俺達は全員合流して再び山道を歩いていく。クラセントは昨日の夜は実は別の部屋にいたらしい。
なんでラテとクラセントのみ別室だったか気になるが、どうでも良いので一先ずは放っておこう。
「極星。いつ着くんだ?」
「港町だからな」
「この前クラーケン倒した時に行った?」
「いや、違う。港町も沢山あるしな。方向としては真逆だ」
「へー」
山登りは結構疲れる。俺は両肩に女の子×2なので余計に。まぁ、軽いもんだけどね。
「そう言えば魔物にあったときどうやって倒しているんですか?」
「あ、これ?」
パチン、と指をならして見せる。すると近くの岩が爆散した。
「そうそれ!どうやってんの?」
「音波」
「え?」
「音波放射的な?違うような?まぁ、そんな感じ」
フフフ。指パッチンで生じる音を魔力で増幅、周波数を上げ、それを対象にぶつけるのだ!
「完成までに30年掛かったぞ!」
「充分長いだろ」
俺としては短い方だけどな。
『最高5億年位掛かったからな』
あれは大変だったわ。
「さて、夜営……というか家に帰ろっか!」
俺がわざわざ転移で魔王のところに行かないのは色々と理由がある。一つは奴隷娘達。俺が奴隷印弄って解放するとしても放り出すことになってしまうから、なんとかそこを決めないといけない。
他にも、翔太さんのレベリング、クアに知られてる分ましだけど、進む速度が尋常じゃないくらい速かったりすると不審がられるだろう。
他にも色々あるけどこれぐらいかな。
我が家に帰って参りました!
部屋の戸を開けたら書類の山でございます。
「おぅふ」
つい変な声が出たぞ。
一先ず片付けますか………書類の山を。
夕食前になんとか片付いた………。
あ、余談だけどあの捕まってたエルフさんはクアに保護してもらった。その後?知らない。俺寝てたもん。
氷?あいつは………。
「兄貴!このお家凄いっすね!」
ついてきやがったよ。
「あー。うん。凄いなー。後で風呂はいれよ」
「はーい」
聞き分けは良いから放っておいてもなんとかなる気はするけどそれで反逆行為とか洒落になら無い。今は俺の眷属だからそんなことできなくなってるけどな。
あー。疲れた。
現在風呂の湯船に沈んでいまーす。水の中で息ができるからこそ出来る芸当だ。
これ俺の事知らないやつ見たら水死体だと思うんじゃないか?
今更ながらでかく作りすぎた風呂を泳ぐ。マナー違反だけど俺以外誰もいないし俺が最後だから問題ない。
「ふぅー。こんなゆっくり浸かること最近なかったからなぁ」
独り言が響く。あ、これ虚しい。
パチャパチャと水を跳ねさせて序でに魔法の練習をする。
足で水を蹴り上げたら飛沫を全部凍らせるとか、水を常に一定に空に浮かせるとかそんな訓練してたらのぼせた。
頭がボーッとする。
『ばーか』
うっわ。馬鹿に馬鹿って言われたくないわ。
『お前の場合は知力が無駄に高いだけだろ!』
そうですけどなにか?って言うかお前にはその知力さえないだろ!
「誰かいるのか?」
「え?」
ガラガラッと音がして風呂場の戸が開いた。
「「あ」」
「「……………」」
「失礼しました」
「おいこら待て翔太さん」
逃げそうだったので魔法で壁をつくって逃がさない。一気に体を乾かしてバスローブを創造の能力で作って着る。
「きょ、極星?」
「なんで逃げようとした?」
「いや、その、すんませんでした!俺極星の事男だとずっと………」
「咎めるつもりはないけど、なんで逃げようとした?」
「うっ………なんか殺られるって反射的に」
「俺は殺人鬼かよ」
翔太さんは俺の足と胸の当たりをチラチラ見てくる。
「良い度胸じゃねーか、翔太さん?」
「い、いや!これは不可抗力というやつだ!」
露骨すぎて反応面白いわこの人。ちょっと仕掛けてみよう。
「全く………俺としては見られても良いんだけどな?」
「ふぇ?」
「見るか?」
バスローブに手を掛けてゆっくりと………。
「誰がやるか!」
「ひでぶっ!」
「凝視してたやつがよく言うわ!」
右ストレート(勿論かなり手加減した)をお見舞いしてやったぜ!どうだ!
「って言うかなんで風呂場に?」
「いや、二度風呂しようかと………」
意外と翔太さんは風呂好きだった。




