表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/14

伝える気持ち

翌日、冷えた桃を持ってコムラの神社へ向かった。


すでにキムロとミトリが来ていたけれど、わたしは二人にコムラと話がしたいことを伝えた。


二人はニヤニヤしながら、森の中に消えた。


わたしは社の中で眠っているコムラの元へ行った。


コムラは穏やかに眠っていた。


わたしは彼の隣に座り、その寝顔を見つめていた。


…何だかコムラと最初に会った日のようだ。


わたしがここへ迷い込んだのは…果たして偶然か、運命か。


ふと、キツネのお面を見た。


このお面をかぶれば、わたしも彼等と一緒に見られるんだろうか?


そ~っと手を伸ばし、お面を持った。


そして付けてみる。


「うっうん…」


そこでちょうど良く、コムラが眼を覚ました。


そしてキツネのお面をかぶっているわたしを見て、ぎょっとした。


「わっ、りん!? どうしたの?」


「おはよう、コムラ。お寝坊さんね」


わたしはクスクス笑いながら、お面越しにコムラを見た。


「どお? こうすれば、わたしもあなた達と同じように見られるのかな?」


「りん…」


コムラは起き上がり、わたしの頭を撫でた。


その優しさに、涙が溢れてきた。


…もうすぐ夏休みが終わる。


わたしは、帰らなければならない。


でもその前に、やりたいことがあった。


「…ねぇ、コムラ。わたし、最後にここでやりたいことがあるの」


「何?」


「あなた達のお祭り、わたしも行きたい」


ぴたっ、とコムラの動きも表情も固まった。


「りん、それは…」


「無茶なお願いだって言うのは分かってる。でも少しでも長く…あなた達といたいの」


この森で、わたしはたくさんの者と知り合った。


そして仲良くなった。


だから…わたしは決心したのだ。


「…危ないよ?」


「分かってる。食べられちゃうのよね」


「なら…」


「でも行きたいの」


ワガママだって分かっていた。


けれどわたしの意思は変わらない。


コムラはしばらく黙っていた。


長い長い沈黙の後、わたしと眼をそらしたまま、顔を上げた。


「…分かった。ちょっとだけなら」


ほっとした。


コムラの優しさにつけ込んだ、意地の悪いことだって分かっていた。


分かっていても…止まれなかった。




その後、ミトリとキムロを呼び戻し、わたしの意思を伝えた。


ミトリは危険だと猛反対したけれど、キムロはおもしろそうに笑っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ