24.ファースト・ダイブ
麗は龍禅寺での修行を続けていた。朝早くから座禅を組み、心を静めるための訓練を重ねていた。そしてある日、庭に面した廊下で、ししおどしの軽妙な音を聞きながら座禅をしていると、不思議な感覚に包まれた。
「今日は何かが違う…」麗は心の中で呟いた。瞑想の中で、彼女は自分の心の深部に入り込んでいく感覚を覚え、意識が次第に深まっていき、周囲の音が遠のいていく。世界の音が完全に消え去り、物体が存在するという感覚が無くなり、自分の肉体が宙に浮いたような錯覚に襲われた。最後にはその肉体の存在すらも霧散したかのような神秘的な感覚を覚えた。
しばらく無の状態が続いた後、真空の中で光の肌触りをまぶたに感じ、恐る恐る目を開けると…。
「草原が…広がっている…?」麗は目の前に広がる光景に驚いた。彼女の精神世界には、広大な草原が広がっていた。緑の草が風に揺れ、空は青く澄み渡っていた。しかし、その草原はどこか現実離れしており、ところどころに抽象的な要素が混在していた。
「ここが私の心の中…?」麗は自問自答しながら、その草原を歩き始めた。歩くたびに草がサラサラと音を立て、風が彼女の髪を撫でるように吹いていた。
「…穴…?」麗は遠くに不思議な穴を見つけた。その穴は、まるで別世界への入口のように見えた。麗はその穴に引き寄せられるように、足を進めた。近づいて見ると、その穴は光のプリズムが乱反射し、様々な色合いを彩り、あたかもそこに潜るのを誘うかのように、そして意志を持った生き物のように波打ってた。
「この先に何があるんだろう…?」麗は一瞬のためらいを感じたが、決意を固めた。「行くしかない…」
穴の前に立った麗は、深呼吸をしてからその中に思い切って飛び込んだ。瞬間、彼女の視界は一変し、さらに深い精神世界へと引き込まれていった。
「ここは…どこ…?」麗は目の前に広がる新たな光景に驚いた。彼女の周りには色とりどりの光が舞い、まるで万華鏡の中にいるかのようだった。形も色も変幻自在に変わり続け、現実の常識の範疇を超えた世界が広がっていた。
「私の心の中にこんな世界が…」麗は自分の心の奥深さに驚きながらも、前に進む決意を新たにした。この世界のどこかに、自分が探している答えがあると信じて。
「進もう…もっと深く…深く…」麗はさらに奥深くへと潜っていった。




