表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/72

47

ゲンの王族の特徴は、燃えるような金髪だ。

やはり、シシルはゲンの王族なのだろう。

それも、命を狙われるほどの。


(ゲン国王は二十八歳――――ううん。もう二十九歳になったのかしら? 即位したのは数年前で……シシルがバランディに拾われたのもそのくらいよね? 普通、王が命を狙う相手としては、自分の玉座を脅かす相手って相場が決まっているんだけれど?)


今のゲン国王は、前王と正妃の第一子。生まれた時からの第一王位継承者で、他に兄姉はいないと聞いている。


(ゲンは、長子相続が原則の国だから、例えシシルが王子だったとしても、現王の玉座は安泰よね?)


それなのに、何故ゲン国王は、シシルを殺そうとしたのだろう?

それどころか、今現在、戦争も辞さない覚悟でシシルを探し、狙っている。



(たかが庶子一人のために、そんなことをする? シシルが“年上”ならば、まだしも)



――――年上、と考えて……シェーラは、ハッ! とした。

思わず、目の前のバランディに視線を向ける。――――皇族の“先祖返り”の男に。


(四代前のゲン国王には、皇国の貴族令嬢が嫁いでいるわ。家系を遡れば皇女の降嫁もあったような名門貴族の令嬢が)


皇家の血を引いているとはいえ、その貴族に皇族の特徴は現れなかった。

寿命が長い者はいなかったし、皇気を使える者もいなかったはず。


(でも……バランディさんのように、数代経ってから“先祖返り”する者が出る可能性もあるわ)


シェーラの視線を受けたバランディは、顔を歪めて苦笑する。



「シシルの年齢は――――はっきりしない」


そう教えてくれた。


「バランディさん?」


「ジルだ。――――お前には、もう隠し事をしたくないからな。痛くもない腹を探られるのはこりごりだ」


律儀にシェーラの呼び方を訂正してから、バランディは話を続ける。


「俺とフレディが保護した時、シシルは自分の年齢をよくわかっていなかった。周囲の者は誰一人、シシルの年齢を教えなかったそうだ。……ただ、物心がついてから新年を何回迎えたとか、年に一度しか咲かない花を何度見たとか――――そんなことを問い質して擦り合わせれば、見当をつけることはできる。……その時のシシルは、おそらく二十代半ば、もしくはもう少し上の年齢だと、俺たちは推測した」


それは、ゲン国王とほぼ同じ年齢だった。

明らかに十四、五歳にしか見えない少年が、二十代半ば過ぎ。

広い世の中には、そんな風に童顔な者もいるにはいるけれど――――


「直ぐにわかったさ。こいつは、俺と“同じ”なんだと。――――疎まれて、危害を加えられそうになり逃げ出してきたのも“同じ”だ。……俺がシシルを助け、必要以上に匿おうとするのは、決して人道的な理由なんかじゃない。俺の身勝手なわがままだ。……それにお前を巻き込むわけにはいかなかった」


最後は、自嘲するように呟いて、バランディは目を伏せた。



バランディの話の間、立ち上がりお茶を淹れていたフレディが、シェーラとバランディの前にカップを置く。


「どうぞ」


二人に勧めてから自分も座り、口をつけた。

一口飲んで、話しはじめる。


「ジルと私がシシルを拾ったのは、ゲン国境近くの山村です。――――訳あり風に育てられた、派手な金髪の、見かけはともかく実年齢が二十代後半くらいの、おまけに命を狙われている“男”が、どんな素性かなんて――――少し考えれば容易に想像がつきますからね。……本当はさっさと始末(・・)したいところでしたが、ジルが勝手に自分と重ねて保護するもんだから、そのままズルズルとこの有様ですよ」


フレディの言葉に、バランディは気色ばむ。


「何を! お前だって、シシルを可愛がっているじゃないか!」


「そりゃ、あなたが『昔の自分みたいだ』なんて言うからでしょう? 本当は、髪も目も黒に変えたかったんですけどね」


「それだけは、止めろ! 今でさえ、成長が遅いシシルを“俺の子”だと、配下の半分くらいが勘違いしているんだぞ!」


「残念。三分の二は勘違いしていますよ」



「マジか――――」



パカンと大きく口を開けるバランディ。




シェーラは……我慢できずに、プッと、ふき出した。

ゲン国王が血眼になって探している男を匿っているにしては、明るすぎる二人のやりとりに呆れる以外ない。


クスクスと笑うシェーラを、バランディは恨みがましく、フレディはホッとしたように見つめた。



「……他人事だと思いやがって」


「ああ、いえ、シェーラさんについては、他人事ではないんじゃないですか? 今回シシルを皇都の支部に移す(・・・・・・・・)にあたって、配下のほとんどは、ジルが新たに()にするシェーラさんに配慮して前妻の子であるシシルを他所にやるんだって思っていますからね」




「なっ!?」

「えっ!?」



バランディとシェーラは、二人そろって驚愕する。



――――どうやら、知らぬ間にシェーラは、継子(ままこ)を疎む後妻になってしまったようだった。

言うまでもないことでしょうが、バランディは今まで結婚したことはありませんし、子供もいません!(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ