大天才ノブアキ・サカキバラ博士の一生
類人型アンドロイド監査機関が国際アンドロイド機構と名を変更し、人権管理と監査機関、裁判所に三権分裂すると決定された。
従来の施設を解体移転するにあたって、開かずの間と呼ばれていた超高セキュリティの地下室の発掘が行われた。内部にはPUREシリーズやシン・ウエハラ博士の資料が残されていると伝えられている。発掘調査チームの結成は六度目、五十年振りであり世界中の関心が集まった。
世界中の天才がこぞって参加。そこに一人の青年も手を挙げた。真っ白い肌に、銀色の髪、赤い瞳の青年の名前はタカノブ・ファインマン。薄幸の科学者ノブアキ・サカキバラ博士と同じ奇病過敏性人工光源症候群の罹患者である。
「絵本や小説で語られるノブアキ博士の父親タカシの破天荒な人生に勇気づけられた。そして短くても大好きな科学と共に生きたノブアキ博士。彼等が残した難病支援や研究結果により僕等は昔よりも自由を手に入れ、白黒だけど映画も観れるようになった。科学に殺される?未来は尊いって信じる。俺の名前は彼等にあやかって名付けられた。開かずの部屋には新しい未来が詰まっているよ」
同じように偉大な科学者を目指す100人以上もの科学者が開いた開かずの間。そこにはPURE7シリーズやシン・ウエハラ博士の手記や、ノブアキ・サカキバラ博士の膨大な手書きの研究資料、論文、そして世界中の創作物や哲学書が残されていた。
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師匠シン・ウエハラ博士が育てた未来には真の科学者は増えたかな?
大天才ノブアキ・サカキバラ博士からの宿題だ。
俺はドラえもんが好きだったから追求し続けてきたひみつ道具の論文、研究。中々やっかいで責任を取れないものばかりだったから未来の君たちに託そう。でもちょっとやそっとじゃあげられない。課題をきちんとこなすこと。それにわざと設計図は欠陥品としてあるから、嘘と欺瞞を破れる大天才にして責任を取れる"真の科学者"にしかあげたくない。
よく考えて持ち出すこと。
俺は未来は明るいって信じているから、まだ見ぬ君たちを疑わない。
一つだけ、タイムマシンだけは俺の発明品だ。使うなら俺の全部の使用説明書に従うこと。俺が考えた時空管理局も設置するように。他に良い案があるなら従わなくても良いけど俺こそが世紀の大天才で"真の科学者"だ。人類初のタイムトラベラーはノブアキとトモカ。
シン・ウエハラ?ひよっこ師匠はアンドロイド史の父さ。俺は人類科学史の方に燦々と名前を刻むぜ。是非、刻んでくれ。
ここから研究を持ち出した科学者はみんな俺の弟子で子供。親の顔に泥を塗るなら、是非綺麗な泥を塗ってくれ。
親も師匠も踏み台にするものさ。
震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!
炭になるまでヒートした俺の轟々と灯る科学者の炎を引き継いでくれよ。
消すなよ?
勉強ばっかりしてないで創作物に触れると良い。俺を作り上げた偉大な父親の教育方針だ。
タカシ・サカキバラの子にしてシン・ウエハラ博士の弟子大天才ノブアキ・サカキバラ博士
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開かずの間はまさにパンドラの箱だった。
プロメテウスが天界から火を盗んで人類に与えた事に怒ったゼウス。人類に災いをもたらす泥人形パンドラを作らせた。彼女にはあらゆる贈り物が詰まった"パンドラの箱"を与えた。神々からの祝福が詰まった箱。
絶対に開けてはいけないと言われたのに人間は開いてしまう。神々からの祝福は箱から飛び去って、悲しみ・恨み・病気・死・盗み・裏切り・不安・争い・後悔……あらゆる厄災が人類を襲う。
しかし最後に残るのは希望。
ノブアキ・サカキバラ博士は開かずの間に希望も詰め込んだ。
彼の意思を汲んだタカノブ・ファインマンは真っ先にタイムマシン製作と時空管理局設立に乗り出した。
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その後盛んに行われたノブアキ・サカキバラ博士の一生と遺産についての数々の研究。
類人型アンドロイド監査機関初最高責任者PURE7アイカ・ウエハラはPURE8トモカ・ウエハラであると判明した。
トモカ・ウエハラのサルベージされた電子手記にPURE7アイカ・ミタと同じ容姿にし、自らの野望のためにその人生を乗っ取ったと残されていた。この電子手記にはシン・ウエハラ博士と弟ロゼ・プードゥと類人型アンドロイド監査機関設立するまでの人生が、面白おかしく記されている。
「姉弟の禁断の恋!アンドロイド同士の初の婚姻は偽り?未来への希望のための嘘?それとも真実?好きに想像してね。その方が夢があるじゃない!」
アンドロイドは恋をするのか、トモカとロゼは何故結婚したのかという大論争は科学者だけでなく作家や学生に至るまで語られている。
黒いウェディングドレスと黒いタキシードで行われた結婚式。
大往生した父親、シン・ウエハラ博士生涯の夢「愛し愛されるアンドロイド。愛を発現するアンドロイド」の夢を叶える為に捧げた婚姻というのが通説である。アンドロイドは恋をするのか?愛を発現するのか?未だ論争は尽きない。
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ノブアキ・サカキバラ博士は自分の記録をほとんど残さなかった。正確には残せなかったというのが正しい。手書きの手記はかなり虫食いになっていて殆ど判明できない。他の研究資料は丁寧に保護されているのにあまり自身の生涯を残すつもりはなかったようだ。
難病研究の為に残された彼の闘病資料により判明したが、彼を蝕んだ過敏性人工光源症候群は超重度であった。
長命であったが表舞台から姿を消したノブアキ・サカキバラ博士。彼は開かずの間の内部で一生を過ごした。師匠と自身により急速に発展した科学文明から、完全に弾き出されてしまったと推測されている。
開かずの間にはノブアキ・サカキバラ博士の一生の片鱗を伺うことが出来る絵画が大量に残されており、遺言によりタイムマシン開発記念美術館へ全て寄贈される予定である。




