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よる
単調な機械の音。黙々と働く人々の足音。それに比べたら。この行き交う人々の声の楽しさ。足音の軽さ。確かに、夜は明け、また明日が来る。けれども、この音を信じて生きていけるのだ。向こうでは、どうだろう。やはり、同じことだろう。耳を澄ませたが、聞こえるわけも、なかった。
背にあたる石の冷たさが心地良い。昼間にあれだけの日が、あったのだが、さすがに、今はその熱もない。そうだ。今日は、月が出ていただろうか。目を開けようとして、思いとどまった。どちらにしろ、見ることはできないのだから、と。