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季節
鉄道の煙。工場の煙突の煙。蒸気。煙。鉄道の明かり。車窓の明かり。消えることのない工場の火。
ポンプが、川の水を汲み上げている。今では、その水は、用水路を通して、田圃へ送られる。石造りのポンプ室の側には、御堂がある。幟は立っていない。子供に配るおせったいのお菓子も、用意されてはいない。この御堂は、昔からあるのだろうか。幟を立て、子供たちを迎えていたのだろうか。(抄)
堰を伝って、川を渡ることが出来たが、そのためには、高い堤防を登り降りしなければならなかった。堤防の切れ目、土手との、境に、堰はある。堰より上が、川。堰より下が、海。そう、考えていた。
本当は、川はまだ続くのだが、葦や、土手の藪に阻まれ、近附くことが、容易ではない。その川は、もう川ではなかった。




