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宇佐物語  作者: 中塩屋 治


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ふるさと

 春になると、やって来る。たくさんの子供たち。今は、もう取り壊された鉄道に乗って。鉄橋は、見事に無くなっている。川の真ん中に残った支柱の跡は、水が引くと現れる。あの子たちは、どこで降りたのだろう。この辺りに、駅舎の跡なんて残っては、いない。


 田舎の家の前にある坂道を下ると、海に着く。山道を

登ることを考えれば、余程楽だ。川よりも、海の方が近いのだ。幾艘(いくそう)もの漁船(ぎょせん)。魚が並ぶ市場。そのすぐ側に、使われていない駅舎がある。柵で囲われたその駅舎の庭には、鉄道の大きな車輪だけが、残されていた。

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