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夏になる頃へ  作者: masaya
三章 四月の雪
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4

時計は午後四時半を過ぎようとするところ。背伸びをするもの、そそくさと焦るように教室から出ていくもの、椅子に座り雑談をするもの、本日の高校生活が終わりを迎え、各々好きな事をし始める。外へ視線を向けると、相変わらず季節外れの雪が降り続いている。幸いに猛吹雪などではなく、寧ろ、四季を楽しむ余裕さえできるほどの雪しか振ってはいない。尋は相変わらず心ここにあらず。と、意識が空へと吸い込まれてしまっている。幼馴染でも流石に気になるほどの気の抜けた顔に紫穂も声を掛けるか迷ってしまっているほど。いつもなら、気になる事があれば、きっと聞くだろう。けれど、なぜか、今回に限っては聞くことをためらってしまっている。それが、なぜか、紫穂自身も分かっていないから余計にばつが悪い。きっと、あともう少ししたら、尋は無意味に鞄で腕、または、太もも辺りを鞄で叩かれるだろう。ふぅ・・・。小さなため息を一息吐き出し、紫穂は鞄を持ち立ち上がり、尋の座っている席へと歩き出そう。と、した瞬間、尋が紫穂の方へと視線を向ける。

「な、なに」

ただ、こちらへ視線を向けられただけ。それだけなのに紫穂は少し威圧的な声色を出してしまう。が、尋は通常運転で、

「ん?用事は別にないけど、そろそろ帰るのかなって思って」

「もう、いいの?」

色々と考え事は終わったの?何か悩んでいるのなら、いつでも力になるよ。そう、紫穂なりに優しさを込めた問い。

「なにが?」

尋は何もわかっていない。自分の気持ちを言っていない自分もだが、尋も尋だ。紫穂はここまで幼馴染に気を使ってしまってしまったことに笑ってしまう。尋もまた、何か面白い事でもあったの?なんて、おとぼけ顔で立っている。

「何でもないよ。まあ、それが尋だもんね」

諦めにも似た声色で尋を見ながら頷き、

「うん。一緒に帰ろう」

紫穂は優しく頷く。



----------



いつも思う。なぜ、あの二人は付き合わないのだろうか。いや、友達の事を考えると付き合っていてほしくないんだけど、端から見ていたら、あれは付き合っている。そういう風に見える。盗み見るように隣で座っている友人に目を向ける。と、なんだろう。どこか、切ないようにも見えてしまう。嫌わられる覚悟でお節介をしてもいいだろう。けど、悲しむ顔を見たいわけではない。色々な感情が溢れ出てしまいそうでぐっと自分の腕を強く握ってしまう。

「ん?どうかした?」

「ん。いや。律はさ・・・」

好きな人が自分じゃあない違う人と歩いて下校するのは辛くない?ぐっと、本音を飲み込み、何言おうとしたっけ?なんて、ピエロになる。御崎もまた、なにそれ?変なの。なんて微笑みながらじっと尋の後ろ姿をこっそりと見ていた。


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