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夏になる頃へ  作者: masaya
三章 四月の雪
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どうしてここまで人は人を好きになるんだろう?ふと、脳裏に過る疑問。分かっているようで分かっていない感情。いつ、誰の傍に居てくれる感情きもち。傍に優しく居てくれるようで、時には苦しい思いをさせる感情おもい。けれど、きっと、今の彼女たちは、その、気持ちで世界が周っている。大人から見ればちっぽけな感情せかいかもしれないけど、だけど、それは大切な感情ねがい


「季節外れの雪もまた、乙なものだ」

ふぅ。と、白い息を空に向かいゆっくりと吐き出しながら尋は独り言のような声色で小さく、ふわり。と、はき出す。紫穂もまた、尋に対してなのか、誰に対してなのか、小さく、そうだね。異常気象もたまには良いものだ。と、言う。バス停まで数百メートル。二人は一緒に教室から出て特に話すこともなく、ただ、隣り合わせで歩いているだけ。別に喧嘩をしているわけではなく、これが普通。話すことがなければ、話さないし。話すことがあれば話すだけ。いたってシンプル。けれど、その関係が心地いい。面と向かって確かめ合ったことはないけれど、きっとそこに関しては両想いだろう。皮肉なもの。両想いは恋愛関係なく沢山、当てはまる事がある。物は言い方かもしれないけれど。

「ふふっ」

自虐的に紫穂は笑ってしまう。雪がそうさせたのか、何、感傷的になってるんだか。なんて、つい、失笑ほんねが出てしまう。別に流せばいい物の尋は、ん?思い出し笑い?それにしては鋭い笑い方だったね。と、紫穂の顔を見ながら不思議そうな視線を向けてくる。ガリガリ。と、ゆっくりとチェーンを巻いた車が横切る音だけが二人を包む。別に変な事を言っていないよね?と、少しの沈黙が怖かったのか、尋は紫穂に問いかける。と、

「変な事は言っていないよ。そう言えば、尋って誕生日近かったよね?」

唐突な、方向転換。あまりにも紫穂にしては下手くそな場面転換に尋も苦笑いを浮かべながらも、

「雪が降ってるけど、12月だからまだまだだけど?どうしたの。本当に頭でも痛い?大丈夫?」

「ご、ごめん、ゴメン。本当は違うこと考えてたかも」

だろうね。そう言い尋は笑っている。だけど、それだけ。決して、紫穂が話そうとしない限り聞いてこない。少しは強引に聞いてくれてもいいんだけど。なんて、思ったりもするけれど、きっと、紫穂もそれは思うだけで、そうされたら、自分を責めてしまうだろう。尋は自分の気持ちを分かってくれているからこそ、聞いてくれない。自分から言うことを待ってくれている。小さく、ありがとう。聞こえないように。そっと、心の中で口にする。

「ふぅ・・・おっけ」

うん。よし、よし。偽物じゃあない笑顔で何度か頷く。尋もまた、何よ。それ。笑いながら、だけど、紫穂へ視線を向けず、空を仰ぐ。

「私にも色々と考える事があるんだって」

「知ってるよ。いつも、お疲れ様です」

「誰のせいだと思ってんの、よっ」

カバンで思い切り、気持ちを隠すように、尋のお尻へぶつける。と、尋もそう来ると思ってた。何て言いながら、また、笑う。

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