第31話 神話級の剣
久しぶりです。雨時雨です。
リアルが少し忙しく、気づいたら前回の投稿から約
20日が経っていました…
満を持して第31話です。まだまだ続きますよ〜
ドワーフ王の巨大な工房。
山の内部をくり抜いて造られたその鍛冶場は、まるで一つの城のような広さを持っていた。
天井は高く、何十本もの鉄柱が支え、至る所に巨大な炉が並んでいる。
だがその中央。
最も巨大な炉の前に、ドワーフ王が立っていた。
周囲には数十人のドワーフ職人達。
その全員が、ただ一つの鍛造を見守っている。
――神話級の剣を生み出す鍛造。
王はゆっくりと振り返った。
「始めるぞ」
低い声が工房に響く。
怜、ミア、莉奈、そしてリュゼリアが見守る中。
王は二本の剣を炉の前に置いた。
一つは――
樹王の剣
もう一つは――
黒星剣グランディア
ドワーフ王
「まずは“魂を起こす”」
王が炉の中へ魔鉱石を投げ込む。
次の瞬間。
轟音と共に炎が爆発した。
ゴォォォォォォォォ!!!
ミア
「な、何これ!?」
莉奈
「炎が…緑色になってる!」
王はうなずく。
「当然だ」
王
「樹王の剣は“生命”の力を宿す剣」
「普通の炎じゃ目覚めん」
炉の炎は赤から緑へと変わり、まるで森そのものが燃えているかのようだった。
怜はその炎を見つめる。
すると――
微かに。
頭の奥に声が響いた。
『……久しいのう』
怜
「……?」
誰にも聞こえていない。
だが確かに声だった。
王が剣を炉へ入れる。
ジュウウウウウ!!!
刃が炎に飲み込まれる。
同時に。
王が叫ぶ。
「槌を持て!!」
ドワーフ達
「おおお!!」
巨大な槌が持ち上がる。
王
「打つぞ!!!」
ガァン!!
最初の一撃が落ちた。
その瞬間。
工房全体が揺れた。
ミア
「す、すご…」
莉奈
「鍛造ってこんな…」
王は止まらない。
ガン!
ガン!
ガン!!
凄まじい速さで槌が振り下ろされる。
火花が嵐のように舞う。
その火花は普通の火ではない。
緑色の光。
生命の火花だった。
王
「融合開始じゃ!!」
黒星剣が炉へ入れられる。
そして二つの刃が重なった瞬間――
ドォォォォォン!!!
衝撃波が工房を揺らした。
ミア
「きゃっ!?」
莉奈
「うそ…!」
二つの剣が。
互いに拒絶するように震えていた。
王
「やはりか……!」
王は歯を食いしばる。
「伝説級同士……簡単には混ざらん!」
さらに槌が振り下ろされる。
ガン!!
ガン!!
ガン!!
だがその時だった。
外から――
轟音。
ドォォォォン!!!
工房の入り口が吹き飛んだ。
ミア
「!?」
莉奈
「敵!?」
煙の中から現れたのは――
白い鎧の兵士達。
光の兵。
その中央に、一人の男が立っていた。
白銀の鎧。
背中には光の翼。
怜は目を細める。
神の使徒。
使徒
「見つけたぞ」
冷たい声が響く。
使徒
「神に逆らう者」
ドワーフ王
「鍛造中じゃぞ!!」
使徒は冷笑した。
「知っている」
「だから来た」
ミア
「つまり…」
莉奈
「完成する前に壊すつもり…!」
使徒が手を上げる。
「光兵」
次の瞬間。
数十の光兵が一斉に突撃した。
ドワーフ達
「防衛!!」
ドワーフ戦士達が武器を構える。
しかし。
その時。
前に出たのは――
リュゼリアだった。
彼女は静かに剣を抜く。
リュゼリア
「ここは私が止める」
ミア
「えっ」
莉奈
「リュゼリア!?」
リュゼリアは振り返らない。
ただ静かに言った。
「あなた達は鍛造を守って」
「これは…龍族の役目」
使徒が笑う。
「龍族か」
「面白い」
次の瞬間。
光兵達が襲いかかる。
しかし。
リュゼリアの姿が消えた。
シュン!!
次の瞬間。
ザン!!
光兵が一人、両断された。
ミア
「速っ!?」
莉奈
「見えなかった!」
リュゼリアは静かに立っている。
血すら付いていない。
光兵達が包囲する。
だが。
彼女の背後で――
バサッ
小さく羽が広がった。
使徒が眉をひそめる。
「その力……」
リュゼリアは小さく呟いた。
「人化してても」
「少しは使える」
次の瞬間。
ドン!!!
爆発的な速度で彼女が動いた。
光兵達が次々と吹き飛ぶ。
その間にも。
鍛造は続く。
ガン!!
ガン!!
ガン!!
ドワーフ王
「止めるな!!」
王は叫ぶ。
「今止めたら全て終わる!!」
主人公は剣を抜いた。
怜
「俺も出る」
王
「行け!」
ミア
「私達も!」
莉奈
「うん!」
鍛造と戦闘が同時に進む、地獄の時間が始まった。
そしてその時。
炉の中の剣が。
突然、強く光った。
まるで――
何かが目覚めるように。
ドワーフ王の工房は、すでに戦場と化していた。
炉の炎は嵐のように燃え上がり、
鉄槌の音、金属の衝突音、叫び声が混ざり合っている。
ガァァン!!
ガン!!
ガン!!
ドワーフ王は一瞬たりとも手を止めない。
王
「打て!!もっとじゃ!!」
ドワーフ職人達
「おおおお!!」
巨大な槌が連続で振り下ろされる。
炉の中心。
樹王の剣と黒星剣グランディアは完全に溶け合い、
もはや一本の刃として形を変え始めていた。
緑の光と黒い光。
生命と重力のような力が混ざり合い、
刃はまるで鼓動する心臓のように脈打っている。
王は汗を拭いながら叫ぶ。
「もう少しじゃ!!」
――だがその頃。
工房の入り口では、
まったく別次元の戦いが繰り広げられていた。
リュゼリアの剣が閃く。
シュン!!
ザァン!!
光兵が二人同時に両断される。
だがその背後から。
ドン!!
衝撃波が走る。
リュゼリア
「っ!」
後ろへ跳ぶ。
目の前に立っていたのは――
神の使徒
白銀の鎧。
背中には巨大な光の翼。
使徒は興味深そうに彼女を見る。
「龍族か」
リュゼリアは剣を構えた。
「あなたが指揮官ね」
使徒
「いかにも」
次の瞬間。
使徒の姿が消えた。
ドォン!!
衝撃が走る。
リュゼリア
「!!」
剣で受ける。
だが衝撃は凄まじい。
床が砕ける。
ミア
「なっ!?」
莉奈
「速い!」
使徒は軽く翼を広げた。
「さすが龍族」
「だが――」
「所詮は地の生き物」
その瞬間。
光の槍が数十本現れる。
ミア
「魔法!?」
使徒
「落ちろ」
ドォォォォォ!!!
光槍が雨のように降る。
リュゼリアは高速で動く。
シュン!
シュン!
シュン!
だが――
一本。
肩を掠めた。
リュゼリア
「っ!」
血が飛ぶ。
莉奈
「リュゼリア!」
使徒は笑った。
「龍族でも人化している状態ではこの程度か」
リュゼリアは静かに息を吐く。
そして――
背中から。
ゴォォォォ…
龍の気配が漏れ始めた。
ミア
「これ…!」
莉奈
「龍の力…!」
リュゼリア
「少しだけ…」
「本気出す」
次の瞬間。
ドォォォン!!!
床が爆発する。
リュゼリアの速度が一気に上がった。
ザァン!!
使徒の胸に斬撃。
しかし。
カン!!
弾かれる。
使徒
「効かん」
次の瞬間。
光の拳が叩き込まれる。
ドン!!
リュゼリア
「ぐっ…!」
壁へ吹き飛ばされた。
ミア
「リュゼリア!!」
使徒はゆっくり歩く。
「悪くない」
「だが終わりだ」
光が手に集まる。
巨大な槍。
神罰の槍。
使徒
「神の名において――」
その頃。
工房中央。
ついに。
ドワーフ王が叫んだ。
「完成じゃぁぁぁ!!」
炉から引き抜かれたのは――
新たな剣。
刃は深い黒。
だが内部には森のような緑の光が流れている。
まるで星空と森が同時に存在するような刃。
王
「神話級……」
「完成じゃ……」
だが次の瞬間。
王は顔を上げた。
怜は遠い。
戦場の中央。
光兵達と戦っている。
王
「まずい……」
「渡せん!!」
その瞬間。
リュゼリアの声。
ドン!!!
再び吹き飛ばされる。
壁が崩れる。
リュゼリアが地面に倒れた。
使徒が槍を構える。
ミア
「やめろ!!」
莉奈
「リュゼリア!!」
使徒
「終わりだ」
光槍が振り下ろされる。
リュゼリアは動けない。
血が流れる。
視界が揺れる。
(ここまでか)
そう思った瞬間。
――キィィィィン
工房中に。
澄んだ音が響いた。
王
「!?」
剣が震えた。
まるで――
意思を持ったかのように。
次の瞬間。
ドォォォォン!!
剣が王の手を離れた。
王
「なっ!?」
剣は空中へ。
そして一直線に――
怜の方へ飛んだ。
怜
「!!」
剣が手に収まる。
その瞬間。
頭の中に声。
『久しぶりじゃな…』
怜
「……!」
だが次の瞬間。
怜は動いていた。
ドォォォォン!!
爆発的な速度。
使徒の槍が振り下ろされる。
その直前。
シュン!!
怜が割り込んだ。
カン!!
槍を弾く。
リュゼリア
「……」
目を見開く。
怜は静かに立っていた。
新たな剣を握って。
刃が光る。
森の光。
星の光。
使徒
「……ほう」
「完成したか」
怜
「もう逃がさない」
使徒は笑う。
「逃げる?」
翼を広げる。
「神の使徒を殺せると?」
怜は剣を構えた。
その瞬間。
剣が反応する。
力が流れ込む。
まるで――
世界そのものが剣に宿るように。
使徒
「来い」
次の瞬間。
怜が消えた。
ドォォォォン!!!
地面が爆発。
使徒が反応する。
だが。
遅い。
シュン。
怜はすでに背後にいた。
剣が振り下ろされる。
ザァァァァァン!!
空間が割れるような斬撃。
使徒の翼が砕ける。
使徒
「なっ――」
逃げようとする。
翼を広げる。
だが。
怜が言った。
「逃がすか」
剣が光る。
次の瞬間。
世界が静止したような感覚。
そして――
一閃。
ザン。
使徒の体が。
真っ二つに割れた。
沈黙。
光兵達が消えていく。
使徒は崩れ落ちながら言う。
「……まさか」
「ここまでとは……」
血を吐く。
そして最後に。
「だが覚えておけ」
「使徒は……一人ではない」
体が光になり。
消えた。
静寂。
工房の誰もが動けない。
ミア
「……勝った?」
莉奈
「……うん」
リュゼリアはゆっくり立ち上がる。
怜を見る。
そして小さく笑った。
「助かった」
怜は剣を見つめる。
刃が静かに光っている。
ドワーフ王が近づいてきた。
震える声で言う。
「とんでもないもんを…作っちまったな…」
こうして――
神話級の剣が初めて戦場で振るわれた。
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