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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
四章 魔導大国編

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30話 遺跡探索


 いつきさんが用意してくれたテントで一夜を過ごした僕達は、遺跡の中に入っていく。

 島にポツンと建っていた神殿は見た目は立派だったけど、中身は何もなく中央に地下へ続く階段があるだけだった。


「建物部分は見せかけみたいですね。本当の研究施設は地下という事でしょうか」

「そうだと思うっすよ。魔導士というのは自分の研究を盗まれたくないから地下やダンジョンの奥に研究施設を作ると言う話をどこかで聞いた事があるっす」

「え? でも、いつきさんやゆーちゃんはお店で研究しているよね? 研究の漏洩とかは大丈夫なの?」

「それなら大丈夫ですよ。うちの店の居住区の部分は私達黒女神以外は入る事はできなくなっています。あぁ、私達が一緒であれば黒女神ではなくても入る事はできますよ。つまりは、あの店そのものが私達の研究施設のようなモノです。ちなみにカイト食堂の厨房も同じ仕様になっています」

「そうなの?」

「はい。技術は武器にもなり財産にもなります。例えば、アディさんの技術を盗まれたら大変ですよね? そういう事です」


 なるほど。

 聞いた時はちょっと過剰かな? と思っていたけど、大事な事なんだね。


 階段を下りた僕達は、周りを警戒する。


「いつきさん。光の魔石は?」

「はい」


 いつきさんが取り出してくれた光の魔石で遺跡内部を照らす。

 遺跡の壁には苔などが生え、いかにも古い遺跡といった雰囲気を出している。

 古い遺跡だからカビ臭かったりもするけど、それより気になるのが死の気配だ。

 死の気配は人が死んだときに感じる独特の雰囲気の事で、死霊系の魔物が生息するというダンジョンという証拠にもなる。


「しかし、おかしいっすよね」

「なにが?」

「前にいつきから聞いた話だと、死霊系の魔物は本物の死体ではないんすよね? まぁ、腐敗臭は仕方ないとしても、なぜ死の気配を感じるんすか?」

「確かに……。死霊系の上位種がグール達を生み出すとしても、死の気配までは出せないはずだよね」

「いえ、この遺跡で行われていた研究を考えれば死の気配が漂うのは仕方ないかもしれません」

「え?」

「教会に残されていた本が本当ならば、この遺跡で何百、何千もの人が殺されているはずです」

「あれ? この遺跡って不老不死の研究をしていたんじゃ……」


 不老不死の研究をしていたんなら殺される事は無いよね。

 いつきさんの言葉でよいやみも何かに気付いたみたいだ。


「みつき、アルテミスさんが言うには不老不死はないとの事っす」

「うん。僕もアルテミスの中で聞いていたよ?」

「仮に不老が成功していた場合、不死と思って殺したらどうなるっすか?」

「え? 確か、不老は事故死や病死でも死ぬから……死ぬよね?」

「そうっす。じゃあ、不死が成功していた場合は?」

「えっと、アルテミスの話では怪我をしても再生はしないよね? という事は肉体が朽ち果てていく?」

「そうっす。まぁ、成功は無いっすよね。つまりは?」

「そうか。不老不死が成功したかを確かめるには殺す事になるんだ!」

「正解っす」


 でも、それと死の気配に何の関係が?


「ここでの不老不死の研究が何年続いていたかは知りません。ですが、仮に一日一人殺していたとしたら? 一年で三百人以上。それが何年も続いていたら? そう考えれば死の気配が漂うのも理解できます」

「そんな……五百年も前の話なのに……」


 死霊系の魔物は人の恨みつらみで発生すると聞いた事がある。ここで何百人も殺されていたんなら……。


「みつき、出てきて欲しくなかったっすけど、出てきたみたいっす」

「うん」


 どうやら魔物が現れたようだ。

 臭い消しポーションはテントを出る時に飲んだ。

 僕は聖剣を取り出し浄化の灰をふりかける。


「〈アディション〉」


 魔法を唱えると聖剣の刃を青白く輝く。

 この魔法は魔力を使わないから僕でも使う事ができる。


「〈アディション〉っす」


 よいやみは大量の小石が入った道具袋に浄化の灰を振りかけていた。

 フォズの研究塔のときに石で不死系の魔物を倒していたのを知っていたけど〈アディション〉を石にかけても効果が発揮する事は、ゴブリンで試したから間違いないと思う。

 とはいえ、一撃で倒さないといけないから、よいやみでないと使えない。


「さて、行くっす」

「うん」


 近付いてくる乾いた足音。

 そして、もう一つは聞きたくなかったビチャビチャという音。

 現れたな……。


 こんな狭い空間で闘気を使って攻撃すれば、遺跡が崩れるから接近するしかない。


「みつきー。あしがグールだけ狙ってやるっす。流石に石ではスケルトンは倒せんっす」

「うん。分かった」


 よいやみは的確にグールの頭を石で貫いて行く。

 頭を貫かれたグールは青白い炎に変わっていく。グールが数秒でいなくなったので、僕はスケルトンを斬っていく。

 スケルトンの防御力は弱いので、一度斬るとにバラバラになり青く燃え上がる。

 そして燃え尽きた跡には魔石が落ちていた。


「これは本当に便利な魔法っすね」

「うん。この魔法が広まれば、今回みたいな依頼も冒険者も受けるようになるよね」

「うーん。それはどうっすかね。そもそも死霊系の魔物は見た目が気持ち悪いから誰も受けないんじゃないんすかね」

「うっ……。そうかも……」


 よいやみだって、結局は見た目が嫌みたいだし。僕だって嫌いだからね。


 僕とよいやみはグールやスケルトンの魔石を拾う。殆どが銅魔石と石の魔石だった。

 まぁ、所詮は雑魚の魔物と初級の魔物だからね。でも、戦利品がないとか、屑魔石よりは価値があるので無報酬という訳ではない。


「さて、拾うモノも拾ったから先に進むっす」


 この後も、何度かグールの群れに襲われたりした。この遺跡にはグールが多いみたいで、よいやみが発狂しそうになりながらも、必死に石を投げてグールを倒していた。

 僕もスケルトンを見つける度に斬り倒していたからかなり疲れた。


 暫く、グールとスケルトンを倒しながら進んでいると、下に降りる階段を見つける事ができた。


「いつきさん。遺跡に入って結構な時間が経っているけど、どうする? このまま進む?」

「時間的にはまだ昼過ぎだとは思いますが……お二人とも疲れている様ですし……ここで一泊しますか?」


 とはいえ、この階層にはグールが多い。

 こんな所で一泊したら、朝テントを出た瞬間にグールと鉢合わせする可能性がある。

 そう考えたよいやみが焦ったように下に行く事を進めてくる。


「も、もしかしたら、下の階にはグールはいないかもしれないっす。早く下りるっす」

「え? まぁ、よいやみさんが良いなら……みつきさん?」


 僕は黙って頷く。

 しかし……、どうだろう。

 下の階層の方が死霊系の魔物が多くなりそうな気配はするけど……。



 僕達が階段を降りると、死の気配が更に強くなった気がした。もしかしたら、下の階層に行くにつれて強力な死霊系の魔物が出てくるのかもしれない。

 僕が警戒しながら辺りを見回していると、よいやみが青い顔をして僕に抗議をしてきた。

 

「みつき、話が違うっす」

「え? なにが?」

「下の階に行けばグールがいないと言っていたっす」

「いや、それを言ったのはよいやみでしょ? 僕のせいにしないでよ」

「そうだったっすか?」


 よいやみは惚けるが、責任転嫁はやめて欲しい。

 しかし、死の気配が強くなったという事は、死霊系の魔物もいるという事だからね。

 その時、何かが見えた。


 ん?

 何か飛んでいた気が……。


「みつき。今のは目の錯覚っすか?」

「よいやみにも見えたの?」


 という事は、気のせいじゃないという事か。

 いつきさんが、飛んでいるモノの正体に気付く。


「お二人共、レイスです!!」


 僕はいつきさんが指さす方に視線を移す。

 半透明の布みたいなものがふよふよと浮いている。

 レイスとは、幽霊の魔物という事だ。

 半透明の霊体で物理攻撃は効かない。火の魔法や浄化の魔法で倒すのが一般的だが、僕達には〈アディション〉がある。


「みつき、あんなの倒せるんすか?」

「わかんない」


 僕はとりあえずレイスを斬ってみる。

 斬った感覚はなかったが、半分に斬れたレイスは青く燃え上がり跡に魔石が残っていた。


「へ? 簡単に倒せるみたいだよ」

「マジっすか? あしもやるっす」


 よいやみは両拳に浄化の灰をかけている。


「お肌すべすべになりそうっす。さて、やるっすよ! 〈アディション〉!」


 よいやみがレイスを殴ると燃え上がる。


「おぉ。倒せるっす! みつき、これメッチャ楽しいっす!」

「うん。ちゃっちゃと片付けるよ」


 さっきまで結構な数のレイスが飛んでいたんだけど、今はすべて魔石に替わっている。

 暫く進むと、少しだけ広い空間に出る。この部屋にはレイス達も近付いて来れないみたいだ……なんで?


「ここは死の気配があまりしないっすね」

「そうですね。ここには浄化の魔法の様な魔力を感じます。どういう事でしょうか?」


 いつきさんはゆーちゃんに視線を移す。

 ゆーちゃんも黙って頷く。


「この部屋の魔力って魔大陸の魔力に似ているね。何か落ち着くんだけど……」

「そうなんすか? あしは魔大陸の魔力を重く感じたっすけど、魔大陸出身のみつきからすれば落ち着くって事は、ここも魔大陸と同じって事っすか? みつきは死霊系っすか!?」

「酷い!? なんて事を言うんだよ!」


 人を死霊系だとか、酷い話だ。

 でも、この空間からは確かに魔大陸の魔力を感じる。


 いつきさんには心当たりがあるのか、「もしかしたら……」と言い、地図を取り出した。

 この地図はアロン王国の周辺が書かれた地図だ。


「みつきさん。これを見てください」

「うん?」


 地図上のある島に薄っすらと円が書かれている。いつきさんはここを指差していた。


「この場所は?」

「ここが魔大陸でこの円が魔大陸を包む結界です。それで、ここがボーダーの町……おそらくですが、この小さい島が今居る島だと思うんですよね。これを見る限り、少しだけ魔大陸の結界内に入っているんです。魔大陸の魔力を感じるという事は、この結界が影響されているかもしれません」

「あわさっているからはいることもできるし、でることもできる。ここがあんぜんになっているのもまたいりくのけっかいのおかげ」

「つまりここなら安全って事っすよね? なら、今日はここで休むっす」


 確かに安全ならば、ここで休む方がいいかな。


「じゃあ、ここにテントを設置しますね。ゆづきちゃん、魔大陸の結界があるから大丈夫だとは思いますが、一応結界をお願いしますね」

「うん」


 いつきさんがテントを取り出し、その上からゆーちゃんが結界を張る。

 そして僕達は安全な場所で今日の探索を終えた。

 

魔物の設定とか考えるのは楽しいんですよね。

しかし、研究所がダンジョンの奥とかいう話……どこで聞いたんやろうか? 何かで見た事があるんですけどね……。

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