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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
四章 魔導大国編

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28話 禁忌の研究


 僕達は自分の部屋で、遠征のための準備をしていた。

 僕は自分の分とゆーちゃんの分の着替えを道具袋に入れ、臭い消しポーションと〈アディション〉用の浄化の灰が入った袋を用意する。

 よいやみもブツブツ言いながらも、少しずつ準備を進めていた。

 そろそろ出発の時間なので、いつきさんが僕達を急かしてくる。

 

「準備はできましたか?」

「いつきー……。どうしても、あしも行かなきゃいけないっすか?」


 出発直前なので、逃げられないのは当たり前だけど、余程嫌なのか、いまだに悪あがきをしていた。


 ……まぁ、倒し方が分かったとしても、やっぱり苦手意識の高い死霊系の魔物と戦うのは嫌なんだろう。理解はできるけどね。


「よいやみさん。そろそろ出発しないといけないんですから、そろそろ観念してください」

「いや、もう行かなきゃいけないのは分かっているっす。でも、覚悟がなかなかできないんすよね」

「なぜです? 死霊系の魔物と戦う準備は完璧じゃないですか。臭い消しポーションも支給しましたし、浄化の灰もちゃんと多めに渡したじゃないですか。何か問題でも?」

「いや、見た目っていう一番の問題が解決されてないっす」


 ま、まぁ……。

 そこが一番の問題だよね。


 よいやみといつきさんが問答を繰り返していると、見送りに来たアディが笑いながらやってくる。


「あはは。よいやみはだらしないなぁ」


 アディさん。そのセリフは駄目だよ。

 ほ、ほら……。そんな事を言うからよいやみが睨んでいる。


「アディ……。そんなに欲しいんならグールを解体させてやろうっすか?」


 ちょっ……。

 想像するだけで吐き気がするよ……。

 アディの顔も青くなっている。


「うっ……。ご、ごめん」

「分かればいいっす」


 誰だってグールの解体なんてやりたくないよね。い、いや、よいやみは気付いているのかな?


「よいやみさん。アディさんにグールの解体をさせるという事は、持って帰る事ができるんですか?」

「ひぐっ」


 よいやみの顔も青くなる。


「む、無理っす」


 まぁ、そうなるよね。

 

 パン、パン。

 

 いつきさんが手を叩いている。


「はいはい。準備ができたら出発しますよ」

「その前に確認したいっす」

「何をですか?」


 まだ何かあるのかな?

 これ以上はいつきさんの機嫌が悪くなりそうなんだけど……。


「死霊系の事はどうでもよくないっすけど、それよりも、調査の仕方っす。まず一日港町で調査して、その後っす……」

「町での調査はしませんよ。ボーダーの町の冒険者ギルドでクレイザーさんが町で得た情報のまとめを渡してくれる事になっています。だから町に付いたら、ギルドに向かい、橋の通行許可を得て遺跡に向かいます」

「え? 宿に泊まらずすぐに行くんすか?」

「そうですよ。当然一日じゃないから、遺跡で寝泊りする予定です」


 遺跡内部での寝泊りか……。

 い、嫌すぎるんですけど……。


「ゆーちゃんはそんなしんきくさいところでねたくない」

「大丈夫ですよ……。前に使ったテントを使うので問題はありません。見張りに関しては、ゆづきちゃん、前に話していた結界魔法は……」

「だいじょうぶ。かんせいしてある」

「それならば、何も問題はありません」


 前のテント?

 空間魔法で中を広げたテントの事か。あの時は未完成と言っていたけど、完成したのかな?


「ベッドを入れたいと言っていたけど……入ったの?」

「はい。理想通りにできましたよ。流石に個室という訳にはいきませんが、異性もいませんし大丈夫でしょう」


 ある意味、危険人物がいるんですが……。


 僕はよいやみを見る。なぜかモジモジしていてウザい。


「いや、元々、この部屋で一緒に暮らしているじゃないですか。テントに関しては、寝泊り食事は何の問題もなくできます。それにシャワー設備も取り付けました。宿と何も変わりませんよ」

「そ、それは凄いっすね。もう逃げられないのが分かったっす。ちゃちゃッと行くっすよ」


 よいやみも観念したのか、大人しく道具袋を持って立ち上がる。


「そういえば、アレ(・・)の用意はしたの?」

「したっすよ。鉱山に行って屑鉄鉱石を沢山持ち帰ったっす。アレがあしの武器っす」

「うん。確かフォズの研究塔でも石で死霊系の魔物を倒していたもんね」


 アレはある意味、的確に急所を狙っている証拠だね。

 昨日、ゴブリンで実験した時は一撃で倒せていたけどね。

 

 僕も準備が終わったし、聞きたい事があったし聞いてみようかな。


「いつきさん。今回の調査って遺跡の調査だよね。どうして教会が担当になっているの? 前にクレイザーに渡されていた本には何が書いてあったの?」

「あれは、教会に残されていた禁忌の研究の事が書いてあった本なんです。つまり、本を受け取った時点で、島で何が行われていたかおおよそ予想はついたのです」

「禁忌の研究?」

「はい。不老不死の研究です」

「不老不死……」


 不老不死……。

 永遠に老いずにどんな攻撃を受けても死なない。

 正直な話、憧れるのも理解はできる。


『みつき、みつき』


 不老不死の話を聞いてアルテミスが声をかけてくる。


「ん? 何?」

『皆さんに話しておきたい事があります。入れ替わってもらえますか?』

「あ、うん」


 僕は体の主導権を渡す。

 僕の髪の毛が銀髪に変わり目も銀色に変わる。


「へ? アルテミスさんっす」

「どうかしましたか?」

「不老不死について話しておく事があります」

「不老不死ですか……。研究が成功した事は無いと報告されていますが、成功例があるのですか? そもそも、神族の皆さんは不老不死なんですか?」


 いつきさんもこの話に興味津々で目を輝かせている。


「まず答えから言っておきます。不老不死は存在しません。存在がないのだから、成功報告なんて一切ありません」

「え?」

「ちょっと待つっす。それだと矛盾していないっすか? セリティア様は見た目子供……まぁ、中身も子供だったっすけど、伝承がある限り長く生きているはずっす。セリティア様は不老不死じゃないんすか!?」


 確かに、セリティア様は小さいけど女神様だ。僕達よりも遥かに長く生きているはずだ。


「違いますよ。セリティア……、いえ、神族は不老不死ではありません」

「じゃあ、長寿って事っすか?」

「それも違います。基本的に人に長寿種というモノは存在しません。エルフだけは例外です。アレは神の血を引いていると言われていますが、実はそうではなく神族に近いと考えてくれればいいです」

「神族に近い?」

「はい。神族も不老ではありますが不死ではありません」


 ん?

 どういう事だろう?


「それって、神族は不死ではないから殺そうと思えば殺せるという事ですか?」

「そうです。そもそも、この二つは同時に存在する事はできません」


 同時に存在できない?

 死なないという事は老いないという事じゃないの?

 それに……。


「まず、この二つは手に入れ方が違います。不老というのは資格を得る事で取得可能です。不死については……作為的に作る必要があります」

「ちょっと待つっす。不死になれば自動的に不老になるんじゃないっすか!?」

「それは違います。不老は文字通り永遠に老化する事がありませんから、死ぬ要因(・・・・)がない限りは生き続ける事ができます。神族がこれに当たります」

「死ぬ要因?」

「そうです。病死、事故死、つまり肉体の死……人が死ぬ要素はいくらでもあります。だから、勝てない相手はいるかもしれませんが、殺せない相手はいないという事です」

「でも、不死ならば殺せないじゃないっすか!?」


 よいやみの言う事は尤もだ。

 不死であるという事は死なないって事だ。


「不死は……不死だけが本当は禁忌になっているんです」

「え? どうしてですか?」

「不死は死にはしませんが老化や風化は止められません。どんなに体を大事にしながら生きていたとしても、百年も経てば人は動けなくなる。長寿種ならばそれなりに長く生きる事はできますが、やはり老化はします。そして肉体が滅びた後、体は腐敗していき、骨になり、それもいつかは風化する。そうなれば最後は魂だけになる。本来であれば、魂だけになった場合、死界に行くのですが、不死の魂は死んだ事になっていないので、死界に行けません。魂だけになれば、最後は何もできませんし、永遠にその場に漂う事しかできなくなります。それは幸せですか?」


 ……。

 い、いや、それは永遠の地獄だ。


不老不死の話をどの作品でもしているから、このくじ引きでも説明したか分からなくなってきた。

一応確認はしたけど、説明していた場合かなり書き換えなあかんなぁ……。まぁ、いいか。

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