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クジ引きで勇者に選ばれた村娘。後に女神となる。  作者: ふるか162号
四章 魔導大国編

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18話 神眼


 グレンさんが倒したゲガガドンの素材は、僕達が貰う事になった。


「師匠。本当にいいんすか? かなりのお金になると思うっすけど、貰っていいんすか?」

「あぁ。俺は妻を亡くしてからはずっと金を必要としていない生活をしている。それに、アロン王国で浄化の灰を知ってからは、魔石を結構ため込んでいる」

「そうなんすか? お金に興味がないのに、どうしてっすか?」

「あぁ。それはな……」


 グレンさんは浄化の灰の存在を知るまでは、倒した魔物は食べる以外はその場に放置していたらしい。

 今は、今回のように僕達二人を特訓に連れ出すための依頼料としてため込んでいるそうだ。


「……え? ぼ、僕達を連れ出すのに依頼料はいくらなの?」

「ん? 二人で千五百万ルーツだ。王種を十匹狩れば充分支払える」


 は?

 千五百万!?

 こ、今回の依頼料って……。


「みつき……。間違いなくいつきが絡んでいるっす。おかしいと思ったんすよ。今回はあしがガストに頻繁に行く仕事があったっす。それをキャンセルさせてでも熊の修行を優先させたというのがあり得ないっす」

「う、うん。今から思えばおかしいことだらけだよね。そうか……、いつきさんは、この報酬を知っていたんだね。いや、交渉もしているかも……。前にラビさんに聞いたら、依頼料の八割が僕達に入るから、一千万ルーツは黒女神に入っているはず」

「帰ったらいつきを問い詰めるっす」

「……そ、それはよいやみだけでやってね。今回みたいな高額の仕事なら多め小遣いを貰えるから、僕はそれでいいや……」

「みつき、いつきにビビってるっすね」

「どうとでも言って……」


 いつきさんがお金の事をちゃんとしてくれているのは知っているからね。無茶をする理由がないだけだよ。



「しかし、ゲガガドンは現れないな。発生型なのだから頻繁に現れると思っていたんだがな。みつき、発生型というのは一定時間で確実に現れるモノなのか?」

「うーん。一概にはそうとは言えないよ。僕が詳しく知っているのはゴブリンなんだけど、ゴブリンは発生間隔が短いんだ。だけど、同じゴブリン族でも上位になればなるほど発生率は下がっていく。王種であるゴブリンキングなんて僕の知る限り一年に一度出現するかどうかってくらいだからね」

「それなら、ゲゴゴドンはどうなんだ? アレも王種だろう? 結構、頻繁に出現していたが?」

「あの沼に三日しかいなかったから正確な発生確率は分からないね。でも、王種のわりにゲゴゴドンは発生間隔が短いと言えば短いのかな?」

「そう言えば、発生型の魔物は無限に増え続けるんすか?」

「増えないよ。発生型の魔物は一定数以上は増えないようになっているんだ。だから無限に増える事ないよ」

「そうなんすか? 不思議っすね」

「うん」


 本当に魔物は不思議だ。


 僕達は引き続きゲガガドンを探すが、一向に見つからない。

 できれば今日中に一匹は狩りたいのに……。


「みつき、【生体感知】では何もひっかからないんすか?」

「うん? 使ってないよ」

「なんでっすか?」

「いや、なんでと言われても……」

「使ってみるっす」

「うん。ちょっと待っててね」


 僕は【生体感知】を使ってみるが、小動物や弱い魔物を感知する事はできたが、ゲガガドンのような強い魔物を感知する事はできない。


「いないのかなぁ……」


 僕がそう呟くと、グレンさんは面白くなさそうにしている。

 僕としてはそんな危険な魔物とは戦いたくないからこのままでいいんだけど……。

 ……うん。

 正直に言うと、少しだけ残念だ。


『何だったら、力を貸してやろうか?』


 ん?

 今の声は?


『オレだ。フレースヴェルグだ』


 え?

 フレースヴェルグ、話すのは久しぶりだね。


『あぁ。今のお前達にはオレの【神眼】が役に立ちそうだ。どうだ? 使ってみないか?』


 そういえば、前に話した時にそんな事を言っていたね。

 【神眼】というのはどういった力なの?


『お前達の世界には、三つの眼があるだろう? その力をすべて使う事ができ、尚且つ隠された魔力を引きずり出す事ができる』


 それ、凄いじゃない。


『あぁ! オレは凄いんだ!』


 少し、フレースヴェルグが誇らしい顔をしている気がする。


 で?

 どう使うの?


『簡単だ。目を閉じ、心の中で「開眼」と叫べばいい。それで神眼が使える』


 うん。やってみるよ。


 僕は目を閉じ心の中で「開眼」と言ってみる。

 すると僕の体が少しだけ暖かくなる。

 そっと目を開けると、一気に視界が揺れる。


「え?」

「みつき! どうしたっすか!?」


 よいやみが倒れかけた僕を抱きかかえてくれる。

 い、今の何?


「み、みつき。何が起こっているっすか? 目がアルテミスさんと同じ銀色っす」

「あ、うん。フレースヴェルグの力。【神眼】って言うんだって。でもどうして倒れたんだろう? それにすごく気持ち悪い……」

「魔力の枯渇か?」


 グレンさんも心配そうにしてくれる。


「魔力の枯渇? みつきはゼロの魔力っすから、普段は魔力が無いはずっす。枯渇なんてありえないっす」

「しかし、今の症状は魔力の枯渇に似ている。お前も経験があるだろう?」

「確かにあるっすけど。師匠、今日はゲガガドンと戦うのは無理っす。もう帰るっす」


 僕はよろけながら立とうとするけど、よいやみに座らされる。


「みつきの体調が気になるっす。今日はゆっくり休むっす。良いっすよね師匠」

「そうだな……」


 グレンさんは何かを考えているみたいだ。

 僕はよいやみに寝かされる。


「みつき、今日は寝るっす。あしが看病してやるっすから、ゆっくり寝るっす」

「……うん」


 グレンさんは何も言わない。

 呆れられたかな?


 僕は目を閉じ、フレースヴェルグに語り掛ける。


 フレースヴェルグ、どういう事?


『分からん。お前に魔力が無い事は知っているが、今までと同じように闘気で代用しようとしたんだが、闘気では【神眼】は発動できなかった。みつき、済まない』


 ううん。良いよ。

 フレースヴェルグは教えてくれようとしたんだもんね。


『しかし、どうしてこうなったのだろうな』

『当然です』


 アルテミスが怒った口調で会話に参加してくる。


『そもそも、魔力と闘気は別物です。同じならば、みつきは魔法具が使えるはずでしょう?』


 あ……。


『【神眼】は神の力ですよ。ゆづきの様に無限の魔力持ちではない限り人間の身で使えません』

『そうなのか……良かれと思ってやったのだがな……。済まなかった』


 いや、フレースヴェルグは悪くないよ。

 僕達はその後もどうにか【神眼】を使えないか話し合ってみたが、答えは出なかった。


 次の日。

 グレンさんが僕を呼び出す。

 当然よいやみも隣にいる。


「みつき、よいやみ。今回はゲガガドン討伐を中止する」

「え?」

「ぼ、僕のせいだよね……」


 僕が昨日倒れたから……。


「何を言っている? 今のお前の身体では神の力(・・・)は負担が大きい。だから、別の修行を考えた」

「「え?」」

「俺と戦え。もし、運よくゲガガドンが現れたら、適当に協力するなりして倒せ」

「「えぇええええ!!?」」


 それって、いつもの修行をゲガガドン相手にしろって事!?

 そ、そんな無茶な……。


 その後の二日間は地獄のようだった。

 グレンさんの読み通りゲガガドンが途中で発生したのでそれを倒しながらの修行になった。

 一撃では倒せなかったけど、単独では倒せるようになっていたようだ。


 グレンさんは、色々と修行内容を僕に合わせて考えてくれたみたいだ。

 そのおかげかこの二日間で大分強くなれた気がする。

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