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四人目の魔法使い

「馬鹿じゃないの。」



思わず呟いた声は、思ったよりも大きく響いてしまった。


ようやく復活の、主役です。私が主役ですホントです。影薄いけど。


リオです。


いきなり襲撃を受け、いきなり篭城となった私の部屋。


少し振り返ってみましょうか。




部屋で休んでいると、テレサがやってきて、事のあらましを説明してくれた。


それでは何か河の水を止める方法は無いかと、『黒の総本』をぱらぱらとめくっていたのだけど。



『リオ、かまえておけ。』突然現れた文字に驚く間にも、テレサが剣を抜いた。


そして、侵入者は水音に隠れ、ひたりと迫ってきたのだ。


このくそ忙しい時に―少なくとも、砦の皆さんの仕事を増やしてどうする。

故に。

思わず呟いてしまいました。





「はい、説明終わり。」


「誰に言ってるんだ。」テレサが私をかばって立っている。部屋の中には二人の男。一人は銀色の髪に緑の瞳を持つ美丈夫で、もう一人は灰色の髪に橙色の瞳を持つ大男だ。


どうでもいいが、この世界は美形率が高いのだろうか。暗殺者なる者まで美形だと平均値の私は少しやさぐれてもいいだろう。


「リオ、窓から逃げれるか。」えーと。とりあえず後ろを振り返る。窓の下は川で、いくら水位が上がってても落ちたらただじゃすまないだろう。


「仕事じゃなけりゃ、アンタと一戦交えてみたいが、残念、今回はそっちのお嬢さんがターゲットだ。」大男が笑う。どうしよう、敵なのにワイルドだ。


「できれば穏便にしたい。河の氾濫と俺たちは関係ない。『黒の術師』が一緒に来てくれれば何もしない。」銀髪が言う。


「リオ。」テレサの声が促している。うん、でも。


「テレサ、戦おう。」私は本を構える。その瞬間銀髪が動いた。


「ファラン・ディル!!」突然風が襲ってくる。だけど、


「『ゴメンネカウンター。』」ねぇ、この命名どうにかなりませんか。


「!」銀髪さんは私に見事返された自分の風を避けて横へ飛ぶ。そこへテレサが切りつけるが、大男がその剣を大剣で受け止める。


ちなみに今のは、以前かけていた私への対物質攻撃を返す『黒の術』をグレードアップさせたもの。対精霊術も入ってます。


寝る前にかけておいたのが役に立つとは。


「リオ!」テレサの声に我にかえる。銀髪さんが目前です。


「リオが命ず。『伽藍。』」これでどーだ。


『黒の総本』から、黒い触手のようなものが大量に飛び出して銀髪さんを襲う。


我ながら、悪役のような技だ。さすが初代。


グレードアップした私は、リオという仮の名前でも技が発動できるようになりました。この場合、元の名前より威力は落ちるんだけど、それだけMPは減らないというお約束。


「テレサさん、どいて~。『伽藍、ツー(two)』」大男に向かって技を放つ。


「うわぁ…!」大男の悲鳴。すまない。こんな時にも素敵な声だと思ってしまった。


「リオ…」テレサさんがこちらを向く。その瞳が私の右横を見る。


「?」思わず横を見た瞬間、合う目。


「っ」私は思わずベットから立ち上がるが、がっしりと右足をつかまれた。


『伽藍』は本来は大男のようにすべてを覆ってしまう。だから、外からは四角い箱ができているように見えるのだ。


それなのに、この男の目は確かに『伽藍』の間からある。そしてこの男の手は私の右足を掴んでいる。


まるで、『伽藍』との間に別の層があるかのように。


そして、私はこの目を知っている。よく見たのだ。目の中にありえない光が集う現象。


それは、


「【魔法使い】!?」『黒の総本』を閉じて胸に抱える。


男の瞳に力の象徴の光が集う。


「璃桜が命ず!『回避』っ」



黒の触手が飛び散ると同時に身体が飛ばされる。窓に頭をぶつけ、視界が暗くなる。



「……ず『封印』。」『黒の総本』を抱え込み、床の感触に気づく前に意識を失った。






「っ……ててて、いてぇなぁ。お?やったのか…?」大男は銀髪に声をかけると、今の衝撃で気を失ったテレサの剣を蹴って部屋の隅へ滑らせた。


「…あんたのそのうたれ強さだけは化物並みですよ。」銀髪は溜息をつく。自分の今の攻撃は大男だけ除くということはしていない。なのに、平然と立っていられては少々矜持が傷つく。


「んじゃ、持っていきますかね。」大男はリオを抱え上げると肩に背負った。


「悪いね。」床に横たわっているテレサに一言呟くと、銀髪は大男に触れ、次の瞬間にはその場から消えていた。


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