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容疑者たち。

「んっ…あっ…そこっ……だめぇっ……んぁっはぁっ…」アリッサの指が私の背を降りていく。


「リオ、様、ここも良いのでしょう…」指先が肉をつまみほぐしていく。


「…んぅ……っ良ぃ…‥アリッサぁ……」思わず声が出てしまう。だって気持ち良いんだもん。


「ふふ……可愛いですリオ様………」…今のは聞かなかったことにしよう。そうしよう。心なしか距離が近いわアリッサ。





バン!!



「…………………何をしている。」ウリセスが呆然と声をかけてきた。



「ああっ駄目ですよ旦那様!」アリッサは勢いよく扉を開けた主へ走っていく。

「んんん~……よし、大分楽になった。ありがとうね、アリッサ。」私は起き上がり伸びをする。


「リオ様ー。もう少し羞恥心とか持ってください。」アリッサは言う。別に全裸なわけじゃないからいいじゃないの。


「何をしていたんだ?」ウリセスが変な顔をしている。美形が台無しだ。


「リオ様の肩こりその他もろもろをマッサージしていました。私上手いんですよ。」アリッサが言う。



ウリセスが大きな溜息をついたが、何やら声をかけてはいけないオーラが出ていたので、大人しくしていた。




10日前。


ラッキーなことに、こちらでは一週間は10日だった。


私は未だ王宮へ残っている。セラフィナ暗殺未遂の真犯人を探すためだ。

今日から私を監視する人間が来る。面倒だがそれを待ってからの行動となる。


その前に整理しておきたいことがあった。


「アリッサ、できた?」昨晩は遅く、主役に据えられたため身動きもできず、見世物パンダ状態で次から次へと接待をしていたため、肝心の『黒の術』うつす、については確認していなかった。


この術の欠点は、1枚の紙である必要があることだ。例えばノートのようなものにはこの術は使えない。難易度が上がれば可能なのかもしれないが、今の所そういう記述は見当たらない。


故に、広いテーブルに広げて余るくらいの紙を用意してもらった。


紙質はやはり故郷の技術にかなうべくもないが、一応紙ではある。ところどころ微妙な厚さではあるが。


「おー、ちゃんと出てるね。」紙の上に転写された写真と横に書き込まれたアリッサの文字を確認していく。



昨晩確認したのは、五大候とその次に順ずる貴族たちだ。昨夜は平民が入っていなかった。この国では平民からなる議会があったけれど、それとも私が昨晩見落としただけ?いやいや、昨晩はほとんどの人と挨拶交わしましたよ。嫌だったけど。後半になるともう文字の羅列にしか聞こえなくて。会話をするのもおっくうだって、ああいう時に使うのかもね。


それにしても、儀礼的部分を貴族が重んじるにしても、私の紹介はそれほど重いものだとは思えないのだけど、それだけで晩餐を開くものだろうか。



気になるのは100年ぶりの『黒の術師』ということと、私が6代目ということ。これについては王宮図書館へ禁書閲覧の許可を出してもらっているので、今日色々読めるだろう。


昨晩集めたデータは以下。


五大候 東方守護 オーティス候―あだ名:ヒゲ


10日前は自分の領地に居た。

王宮の図書館はここ数年入っていない。本を取り寄せたことはある。

セラフィナとは面識はない。存在は知っている。

妃候補は存在しない。実はまだ新婚さんで奥さんは妊娠中。故に遊びたい放題遊んでいる、らしい。色んな意味でサイテー。


『黒の術師』について


『魔法使いを制する唯一の存在だからな、喉から手が出るほど欲しいだろうよ。え?誰がって?そりゃ…教えて欲しいなら私の…冗談だよ。リオは短気だねぇ。』


思い出してちょっとイラっと来てしまいました。

何で手の甲ではなくて手首の素肌の部分にわざとキスしたんでしょう!?しかもねっとり舐められた!ちょっとぞわりとしてしまったのは内緒です。

もちろん洗いましたけども。


王様の登場で途切れてしまったけれど、この後他の五大候に質問しています。


五大候 西方守護 ラトワイユ候―あだ名:メタボ


10日前は王宮に来ていた。

王宮の図書館は入っていない。

セラフィナとは面識はないが、その存在は知っている。

妃候補は第一息女のシンシアが妃候補として同日王宮へ来ている。もちろん図書館へは出入りしていない。



『黒の術師』について


『わが国に貢献してくれるのを期待している。』


とりあえず、メタボどうにかしろ。

いろんな意味で、親馬鹿で子供自慢がウザかった。典型的貴族のような。




五大候 南方守護 オージェ候―あだ名:メガネ美人


10日前は王宮に来ていた。

王宮の図書館は入っているが、禁書は閲覧していない。

セラフィナとは面識はないが、その存在は知っている。

妃候補は第二息女のテレサが予定していたが隣国との境にある砦にて諍いがあり、帰国が遅れたため欠席。テレサは騎士でもあるらしい。



『黒の術師』について


『本当のことを言えば、よく知らないの。これから知り合っていけばいいと思うのだけど、あなたはどう思う?』


一つ答えを間違えるとヒステリックに怒りそうな女性上司のイメージですが。すみません。蛇のような目だと言ってもいいですか。

親馬鹿はここにもいた。テレサさんは筋肉が凄いらしい。…それも別に自慢するところではないと思う。



五大候 北方守護 エステス候―あだ名:細マッチョ


10日前は王宮に来ていた。

王宮の図書館は入っていない。

セラフィナとは面識はないが、その存在は知っている。

妃候補は今の所直系には居ない。遠い血縁をただいま王宮へ売り込み中。


『黒の術師』について


『少しは役に立つのか。あの忌まわしい魔法使いたちを止めるくらいはできるのだろうな。』


うん。美形だからって言って許されることと許されないことがあるわよね。

典型的、『デリカシーが無い男』。

とりあえず、魔法使いを毛嫌いしているらしい。



五大候 中央守護 イングベルグ候―あだ名:好々爺


10日前は王宮に来ていた。というより、他の候より王宮に隣接する領地のため頻繁に訪れる。

王宮の図書館へ行き、禁書特に黒に関する書籍を閲覧済み。

セラフィナとは面識はないが、その存在は知っている。

妃候補は第一息女、シルヴィア。王太子より3つ年上の最年長。


『黒の術師』について


『ほ。黒とは全て。無理に束縛できるものでもなかろうて。ほ。のう嬢ちゃん、お前さんはどう動くかのう?』


お日様のような微笑の下が黒くないことを祈りたいです。

趣味は盆栽ですか?……チェスのようなものですか。そうですか。何ていうゲームですか。ああ聞いてもわからなさそうなんでいいです。


あだ名は外見からつけてみました。


その他順ずる貴族で昨日会っためぼしいものは皆王宮のある一定の部屋から先は許可なく入れないことになっていた。


図書館も閲覧許可のレベルが上がって、五大候よりは複雑な手続きをしないと入れないらしい。面倒な。


酒の席でもあるから話しやすいだろうと思って王たちのアリバイも聞いてみました。これは結構消耗しました。

肉食獣たちに囲まれた中での決死のリポートは、よくわからない、です。



王族なので当然王宮には住んでいる。図書館は日常に出入りしている。フリーパスな部分が多いのでどこへ行っても咎められることはまず無い。


無茶苦茶自由じゃないですか!


そのうち肉食獣たちに遊ばれそうになったので、ウリセスに避難した時にはもうぐったり。


容疑者、多すぎます。

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