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LESSON3 黒の契約

朝から海外よろしく大量のサラダ、サラダの山のおかげで、便通はすこぶる良いです。


昨夜の情報を整理してアリッサに紙を保管させた後、食事になりました。本来は王様たちと摂るらしいのですが、昨日丁寧に辞退させていただきました。

朝からあのキラキラをシリーズで見るのは辛い。


なんとなく見慣れたウリセスの顔にほっとする私です。



部屋へ戻ると少し運動不足なので窓を開けてラジオ体操をしてみました。



「ちゃんちゃかちゃららら~…」鼻息まじりにBGMをつけます。アリッサは例のごとくこの部屋の隣に用意された使用人用の部屋で、何か裁断してました。ひらひらはやめてひらひらは。


王宮滞在中の私の服はウリセスのようなズボンにして欲しいと頼んだところ、そうなりました。裁縫道具一式馬車に積んだアリッサの情熱に敬礼。



「もういいかしら?」深呼吸が終わり、ああ、新しい朝。と思っていると、後ろから突然声がかかる。歌と変な踊り―ラジオ体操第一―を目撃された!



「…どちら様で?」入り口に美女が立っていた。どこかで見たと思っていると、彼女は入ってきて、


「エリス・トゥーリ。貴女の監視を勤めるわ。」その時彼女の素性を確認しておかなかったのは私のミスでした。






ウリセスの図書館も凄いと思ったけれど、王宮図書館は半端じゃなかった。

終わりが見えない。


長い回廊を歩き、さらに上ったり降りたり降りたり降りたり降りたり、した後にいくつもの扉をくぐり、さらに鍵つきの扉をくぐって、もーどんだけ歩かせるの一万歩コース!?と思ったところで、目的地に着いた。


「『黒の術師』様、黒の部屋へようこそ。」ヨアキムに匹敵するかのような仕事人―司書の人がそう言うと、私とエリスはその場に残された。



何か、真っ黒なんですけど。




部屋自体はそれほど広いわけではなかった。本棚は一つ。ざっと1段に10冊前後の本が入っているので、300冊くらいあるだろうか。



その全ての表紙が黒、なのである。



「読み辛そう。」ぼそりと呟き、手始めに歴代の『黒の術師』について書かれている本を手に取った。


珍しく、写真つきらしい。


エリスは近くの椅子に座ると、何をするでもなく私を観察していた。読みにくいけれど仕方ない。



『黒の術師 初代 契約者 ヒロキ・カキザキ』



ちょっと。


日本人なんですけど、名前。


ちょっと、待って。


二代目 トウコ・スズキ


三代目 ヨシナリ・マミヤ


四代目 ユウスケ・ヨシオカ


五代目 ミオ・イシカワ



で、私が六代目、っと。勝手に記述されてます。できれば顔写真はスピード写真みたいなのは勘弁して欲しいんだけど。


この書籍はどうやら、彼らが研究した書物についてのリストが載っているようで、リストの本が本棚にあるようだ。


ただ、気になるのが最後の記述。


初代 契約者 ヒロキ・カキザキ―生存不明


二代目 トウコ・スズキ―死亡


三代目 ヨシナリ・マミヤ―死亡


四代目 ユウスケ・ヨシオカ―生存不明


五代目 ミオ・イシカワ―帰還



『生存不明』って!?


し、しかもその後、『帰還』!?


帰還て、帰れるってこと!?どこへ―日本へ!?


よ、よくわからない。何これ、何なのこれ。そもそも何で日本人ばっかり?中にはアジアな人もいると思ったのに。


二代目さんと三代目さんはこちらで結婚して生涯を全うしたようです。略歴から判断するとそうなる。


とりあえず、私はショルダーバック―アリッサが作ってくれた『黒の総本』を入れるための袋―から本を取り出す。


「まさか本になったとか、言わないわよね?」『黒の総本』を取り出して囁く。



『黒の契約 を 黒の術師は行わなければならない』


相変わらず表紙を開いた場所に示される文字。


黒の術師たちの本の1文が光っている。


初代が書いた本だ。私はリストに表示されている場所から本を取り出す。


薄い本だった。



開いた瞬間、頭をがつり、と殴られた気がした。


「…!!」エリスさんが驚いたのを見た後、暗転。





目を覚ますと、エリスさんが私を抱き起こしていた。


「…あ‥」私は礼を言い頭を押えるが、痛くはない。


「急にどうしたの。」エリスさんが驚く。


「あれ…私…」開いた本をそのまま、顔を上げ―――




固まった。



「どうかした?」エリスさんが横で聞く。うん。声は聞こえてる。


ただ――――。


「いえ、ちょっと、変なものが見えただけで。」私は礼を言い『黒の総本』に見えた字にぎょっとして隠す。



『おはよう 我が姫君 目覚めの気分はいかが?』


エリスに隠すようにそれを盗み見て―もちろんエリスには見えないだろうが―目の前の、存在を見る。



そこには、若い男が立っていた。


いや、正確には、宙に浮いていた。そして、彼こそが、


「初代。」



ヒロキ・カキザキに違いなかった。



『ようやくの契約 おめでとう 六代目』文字は以前より遠慮がなかった。そして目の前の男は楽しそうに笑った。

※誤字を直しました。

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