6/13
6
彼はファミリーコンピュータを机の上に置くと、ボイスレコーダーのスイッチを入れ、紙の束とペンを手元に引き寄せて書く態勢を作ってから、顔だけこちらを振り向いた。古い映画で見た町医者みたいで、正直笑えたね。
「さて、世界中の人間が君を欲しがっている。そのことについて、どう思う?」
突飛な質問に、僕は鼻で笑ってやった。実際は僕の中身は人間と同じではないので、そういう音を立てたというだけだ。こうやって作り物の身体では難しいことをやるのが、近頃の僕のマイブームだ。
「世界中の人間が欲しがるほど、僕に利用価値はないよ。僕が人類の知能を超えたと言われている記念すべき処女作なので、マニアにはたまらないかもしれないけどね。今やもっと性能の高いAIも、人間にそっくりな外見の綺麗なAIもいる。僕なんてせいぜいが型落ち品だよ」
僕はオリジナル・マイケルのことは基本的に好きなのだが、たまにこうして物事を大袈裟に言うところが好きではない。オリジナル・マイケルはボイスレコーダーを作動させているにもかかわらず、五分くらいかけて何事か書き付けてから、「謙遜するなよ」と言った。おいおい、まさかこのペースで続けるつもりじゃないだろうな?




