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【25000PV突破】元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


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第94話:毒には毒

勇者も、たぶん第二皇女のミレーヌも顔に翳が差し窶れていた。


俺たちグレースの話を聞く随分前からこの状況だったなら窶れもするだろう…


足の状態を診たい。


致し方ないだろう。


「勇者様…

ミレーヌ聖女…」


「だ、誰ですか?

誰かいるのですか?

魔族!?」

ミレーヌが驚き、周囲を見渡す。


「だ…ふぶぐぐぐぅ」


俺は誰かを呼ぼうとしたミレーヌの口を急いで手で塞いだ。


(危ない!危ない!)


「ま、魔族ではありません。落ち着いてください。

私は大聖女です」


「ふぐぅ?」

ミレーヌは首を傾げる。


「い、今から姿を見せます、騒がないで下さいね。

マシンガントークも無しです」

あ、マシンガンなんてこの世界にないや…


「ふぐふぐふぐ」

それでもミレーヌは頷いてくれた。

勇者は見えない俺を睨んでいるが…


認識阻害を解除する。


黄金の長い金髪が天空の日差しを受けて輝く俺の姿を顕にする。


目を見開いたミレーヌから俺はそっと手を離す。ミレーヌは声を上げなかった。

逆に膝を地につけ頭を下げて両手を結んだ。


「大聖女ステラフィール様、御身でございますね」

俺のことを知っているような行動だった。


「このような訪問のしかた申し訳なく思います」


「何故、お姿を隠してこちらに?」


あー、んー。どう説明すれば良いんだ?


「私は帝国では権限を剥奪され、捕囚にされました。命も狙われているのです」

いいやもうメンドイから本当のこと言っちゃえ。


「な、何故そんなことに!」


「あっ、シーッシーッ静かに」


「あああ、すみません」

そういってミレーヌは口を押える。


「貴方は第二皇女。ミレーヌ聖女ですね」


「はい大聖女様」


「私の権限剥奪のことは知っていますか?」


「初耳です、大聖女を害するなど想像もできません」


やっぱりこの娘は知らない?


「ミアーナ枢機卿が貴方を大聖女に据えたいみたいです」


「お、ミアーナお姉様が?私に?そんな尊大な…」


「今はその件は置いておきましょう。

勇者レイバーン様…で宜しいですか?」

俺は車椅子の男に向き直ると確認する。レイバーンは薄く首肯した。


「足を見せていただけませんか?」

俺はそう言うと、返事をまたずに足を隠していたブランケットを剥ぎ取る」


「おい!」レイバーンが声を上げる。


「シーッ」俺は人差し指を口元に置いて黙らせる。


レイバーンの足は膝上10センチほどから無くなっていた。


呪いと毒の痕跡が伺える。


「魔族の魔剣ですか?」


「はい、先の戦いで強い魔族がいました…」

ミレーヌがブランケットを拾い上げながら答えてくれる。


「傷口を診たいです。無くなった足は残ってますか?」


「私の部屋へ。足は右足だけ何とか回収し魔法で凍らせています」


「治癒や蘇生の試みは?」


「しましたが、呪いが強く帝国にいる聖女だけでは叶いませんでした」

俺は頷く。

確かにこの状態では治療はできない。


「部屋に案内してください」


「おい…」レイバーンが物申そうとするが、ステラの笑顔を見せ黙らせる。最強だろ。


ミレーヌの部屋は空中庭園から地続きで、そのまま部屋へと移動ができた。

カーテンを閉めて覗かれないようにする。


レイバーンをベッドで横にすると、「ズボンを脱がしてください」と俺は言い放つ。


「え?」ミレーヌの驚き。

「なんだと…」

「治療できません、早く!」

レイバーンの上げる声を、俺はピシャリと被せて黙らせる。


俺だって男の下半身など見たくないんだぞ。


「わかりました」ミレーヌがズボンを脱がせにかかる。

「お、おい」

「抵抗しない!」

俺は押さえつけるのを手伝う。

レイバーンが赤くなるのはどの恥ずかしさからか…


「ミレーヌさん。足を持ってきてください」


「あ、はい」といって部屋を出ていく。

どこに置いてあるんだろう…どこにあっても見たら驚きのパーツだと思うけど。


損傷箇所を見る、ええい手で股間を隠すな。いやそのままでいろ。


既に肉芽がくっついているが、赤紫に変色していて血が滲んでいる。

なんかこう、ウゾウゾ皮膚の中で蠢いてる気がするんだけど…キモッ


毒耐性、呪い耐性の高いはずの勇者がコレとかどんな魔剣で切られたんだか。


俺は手を翳すと、術式を唱える、《グレートピュリファイ》浄化の魔法。

部屋が緑の光に包まれる。


しかし、変色が消えない。


呪いを解くのが先か…


《イレーズカース》正常なる青き光りに包まれる。


レイバーンがこちらを心配そうに見ている。


変色が消えないしウゾウゾが激しくなってる。


「どうですか?」


「かなり酷い呪いのようですね、ですがまだ手は有ります」


《ワーストカースオブエタニティ》

俺は次の魔法を唱えた、永劫最悪の呪い。


赤紫の変色がどす黒い漆黒に変わり光さえ吸い込むような黒い靄が足を侵食していく。


「ぐああぁぁぁぁぁぁあああ!!」

レイバーンが苦痛に悲鳴を上げる。


《ナリファイザカース》呪いを無に帰す呪文。

部屋が翠色に包まれる。足の漆黒と靄が一瞬で弾け飛び、皮膚が白にそして血色を表す肌色へと変わっていく。

痛みも苦痛も消え幸運値も少し上がっているはずだ。


脂汗を浮かべたレイバーンが驚きの表情を向けている。


《エターナルピュリフィケーション》永劫なる浄化も唱える。毒は呪いと違うから忘れてはならない。


「お待たせしました、え?」


ミレーヌが凍った生足を抱えて戻って来た、絵図ッ!

ベッドに近づく前に小さな驚きの声を上げる。


「え、え、え?呪いが消えている…なんで、どうやったら」

ミレーヌが俺へ視線を向けてくる…


「毒には毒、呪いには呪い。より強力な呪いで呪いを上書き、それを既知の呪いとして取り除きました」


「そんなことが……」


(最も聖女は呪いの魔法など知らないし、使えないけどね)


「勉強になります」


チクチクチクチクッ!


(グフッ!)

尊敬のまなざしが胸に刺さる。


「まだ、足の問題があります」


俺はミレーヌから右足を受けとる。


(保存は悪くない、本体と斬り離されたせいか足には呪いがなかった)


《エターナルピュリフィケーション》毒は浄化しておく洗浄効果もあるからね。


俺は手際よく右足をレイバーンの右腿にあてがう。

ちょっと長さが足りない気がする、そこはまあ気にしない。


「レイバーンさん痛いですよ。ミレーヌさんレイバーンさんの手を握っていてあげてください」


「え、はい」

ミレーヌさんがレイバーンの手を握るのを確認すると、空気の層を纏わせた手刀を太腿に振り抜く。

足を失っているとはいえ、大腿動脈が走っている出血は相当なものでベッドが血に染まっていく。


「ギャんん…」

俺は、腕をレイバーンに噛ませて叫ぶのと舌を噛むのを防ぐ。


(ぐう!)


「大聖女様何を!」


《バイオリジェネレーション》俺は生体再生の呪文を解き放つ。


部屋が白い光に染め上げられる。


切断された太腿から肉芽が生じる、右足はその肉芽が切り離された足に繋がりブクブクと泡立つように接続される。

左足は肉芽が玉状に膨れ上がりそこから赤ちゃんのような足が生え早回しの映像を見ているように成長していく。


ミレーヌは言葉もなく見ている。


魔法発動からどれくらい経っただろうか?


部屋に満ちた光が消え、レイバーンの足は元通りとはいかないが、足としての見た目は出来上がっていた。


「左足は欠損を再生するために体力を相当奪っています。右足だけでも有って幸いでした。骨はまだ弱いと思います。栄養を摂ってゆっくり休んでください」


お読みいただき有難う御座います。

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