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【15000PV突破】元勇者、転生聖女として俺を召喚し異世界救います。~惚れた大聖女に転生していました。中身は元勇者のおっさんですTS~  作者: 奏楽雅


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第72話:すっげーモヤモヤし始めた

俺は、エルウィンと共に逃げ込んでいたという、氷室のような洞窟に移動した。


(うっわ寒い)

「エ、エルウィンさんは寒くないんですか?」


「これといって…」


流石は高エネルギー生命体…


「寒いですか?どうしましょう」


俺はエーナで飛んだときのように身体に空気の層を作って自身を保温する。


ふう。

ん?


「どうされました?」


「いえ、なんでも、もう大丈夫です魔法で冷気を通しませんので」


「それは良かった」


奥まで進むと広い空間が広がっていた。

そこは神殿のような造りになっていて、中央には女神のような神像が立っていた。


そして、幾人かの吸血鬼の死体が横たわっていた。


「この方々は?」


俺は、うつ伏せに横たわった吸血鬼の死体を仰向けにし、目を閉じてあげているエルウィンに尋ねる。


「我が国が魔族の手を取るのを由としなかった仲間たちです」


俺も死体を、弔うのを手伝う。


「先程の魔族やエドヴァンたちに?」


「はい、みなさん私を逃がすために…」


祈る神が違うかもしれないが、俺も祈りを捧げる。

無益な殺生としか思えなかった。

エドヴァンはどんな思いでこれを行ったのか…


「ここは?エルウィンさんたちが作られたのですか?」


「いえ、私たちが逃げ込んだときには既にありました。近隣の村の方の神殿だったのではと思います」


ここの神像はこの地の神なのだろうか?

初めて見る姿だった。

額に文様がある女神、慈愛と違う表情…

邪悪な気配を感じる。

だが例え邪悪な神でも気候風土にそった恵みが有れば祀られる。そういう類なのだろうか。


「ここへは何時から?」


「国の方針が決まったのが二ヶ月前です。そのあと抗議運動をしたのち追われて点々とした後、半月ほど前にここに辿り着きました」


「半月ですか…」


「はい、半月です、ごめんなさい何かいけなかったですか?」


肩を落とした俺にエルウィンは気を使ってくれる。


「この島に三ヶ月前から奇病。とある事象が流行しているらしく、私はその解明のためにこの島に来たんです」


「奇病ですか?」


「人が突然発火して燃えたり、凍って水分がなくなって干からびたりするんです」


俺の言葉に、エルウィンは驚いた。


「突然発火するなんて信じられません」


いや、お前ら太陽の下だと突然燃えるじゃん。


「人が干からびるなんて…そんなことあるんですか?」


いや、お前らが人の血を加減無く吸うとそうなるじゃん。


「怖い話です」


…いいけどさ。


「なので吸血鬼と関連ある事件かと思ったのですが…」


エルウィンは小首を傾げる「なんで?」と思っているみたいだ。


くっそ可愛いじゃねえか!


「吸血鬼族の話を伺っても」


「勿論」


「吸血鬼族が魔族と手を組む話が、エドヴァンたちとの会話で出ていましたが…」


「はい、昨年、人族の勇者が2人亡くなったとのことで異界の門を閉じることが出来るのか懐疑的になったところで魔族から話が持ちかけられたそうです」


俺の勇者時代、吸血鬼族は人族と魔族の戦いを傍観するだけで何もしなかった。

唯一状況を憂いたエドヴァンだけが力を貸してくれた。

今の吸血鬼族は、人族と魔族の戦いに関心があり動向まで左右しているということか?

それとも勇者時代も同じことが起こっていたのか?


「それで吸血鬼族の王が、魔族と手を組むことにしたと?」


「その通りです。だから私たちはそれは間違っている、手を取るべきはこの世界の住人の人族であると進言したのです」


「だけど聞いてもらえなかった?」


「はい、それで同じ考えの人たちと共に抗議していたのですが…」


「魔族の介入もあって迫害され逃亡に至った?」


「その通りです、見ていらしゃったみたいですね…」


想像のつく流れだからね…


「もう、私しか残っていません。国では誰も反対する者はいません。国は魔族の言いなりになり、最後は滅ぼされることでしょう…」


エルウィンは「残念です…」といって俯いてしまった。


「エドヴァンはその件については?」


「王子ですか?王子は国の方針には従うようです」


「そうか…」苦渋の選択なのかな?そうあってほしい。


「あの、大聖女さんは王子をご存じなのですか?随分アイコンタクトしていたように伺えましたが」


(おふぅ!まあ、疑問に思うよね?)


「古い古い未来の親友かな?」


「??????」

なんですかそれ?なんですかそれ!って顔をされる。


「………」


「実は王子の人族の愛人とかってことありません?」


「はぁ?」

なんだそれ!


「凄い連帯感を感じました」


「ないないない!今日初めて会ったんですよ!」


「うーん、本当ですか?」


ああ、婚約者を俺に取られたとでも思っているのか?斜め上の想像で思いつかなかったけど。


「私は、エルウィンさんからエドヴァンを取ったりしませんよ」


「いえ、それは構わないのですが、エドヴァンはその…女性より男性が好きな筈なので…」


え、何それ初耳。


「人族でも女性を好いていたなら、安心できるというか…」


「ど、どういうことですか?」


「私にはあまり構ってくれず、吸血鬼族、人族含め少年と仲が良く大事にしている気がして…」


……え、あいつそういう趣味なの?


もしかして勇者時代それで俺の世話を焼いてくれてたの?

ええ、なにその情報。すっげーモヤモヤし始めた。



お読みいただき有難う御座います。

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